
旧車か現行車か、ノーマルエンジンかチューニングエンジンかを問わず、内燃機関にとってスパークプラグの点火火花は必要不可欠。吸排気パーツを交換したりバルブタイミングやカムシャフトをを変更しようとも、最終的にプラグから火が飛ばなければ意味がない。つまりエンジンの潜在能力を引き出せるか否かは、点火に懸かっている。そんな点火システムに深く関わり、絶版車から最新モデルまでさまざまな車種向けに独自製品を販売している、ASウオタニについて取り上げる。
●文/写真:栗田晃 ●外部リンク:ASウオタニ
構成要素のすべてに技術的な裏付けがあるSP2シリーズ
そもそも山口県のバイクショップからスタートしたASウオタニ。SP2フルパワーキット/SP2パワーコイルキット/SP2ハイパワーコイルセットといったオリジナル製品は、今では点火系チューニングやカスタムに欠かせないパーツとなっている。
SP2シリーズが信頼される最大の理由は、イグニッションコイルやコントロールユニットなどの構成要素のすべてに、技術的な裏付けや理論があることだ。
ユーザーが直接観察できない燃焼室内の点火火花を強くするには、ノーマルコイルより発生電圧と電流の大きなコイルが必要で、そのコイルにノーマルより大きな電流と電圧を流すために、容量の大きなトランジスタを採用したコントロールユニットを開発する。ASウオタニは、ホームページでこうした情報を開示し、ノーマルの点火系に対する優位性を理論的に解説している。
さらにSP2フルパワーキットのコントロールユニットは、車種ごとのノーマル点火カーブを解析した上で独自の点火マップを設定し、シャーシダイナモや実走行テストを経て仕様を決定した機種別専用設計である点にも注目したい。
一般的な4ストロークエンジンは、アイドリングから回転数が上昇するにつれて点火時期が早まっていく。その変化の割合や最大進角はエンジンごとに異なるが、ノーマルエンジンに装着しても機能するよう設定されており、純正の点火系にコンタクトポイントを採用する絶版車のアップデート用パーツとしての魅力も大きいのだ。
SP2フルパワーキット GSX400/250E-1(コードセット付き)
「ザリ」「ゴキ」のニックネームで呼ばれるスズキGSX400/250E。両モデルとも発売から40年以上を経過しており、点火系に不調を抱えている車両も少なくない。
GSX400/250E用SP2フルパワーキットは、同車ユーザーの熱いリクエストに応えて開発された新製品で、同じタイミングで4気筒エンジンを搭載したGSX400F用フルパワーキットもリリースされた。
タイミングローターやピックアップASSYまでボルトオンの専用部品を設計しているため、新規開発は一朝一夕にできるわけではないが、ASウオタニが今後とも注目すべきパーツメーカーであることは間違いないだろう。
【SP2フルパワーキット GSX400/250E-1(コードセット付き)】 ●価格:10万6150円
コードセット付きキットには、プラグコードコネクタかしめ済みコードが付属する。このコードは外皮にUOTANI SP2 CORDと印刷された専用品だ。
適応車種はGSX400E-1/2/GSX250E-1/2。絶版車界隈では「ザリ」と呼ばれるモデルで、ノーマルの点火系はコンタクトポイント式。ハイテンションコードとプラグキャップが付属しないキットは10万100円。
SP2フルパワーキットの鍵を握る、小型軽量で強い二次電圧を発生できる閉磁路コイルを採用したSP2パワーコイルと、独自の設計回路で構成されたSP2コントロールユニット。
コントロールキットの点火カーブは、ノーマルの特性をベースとしながらシャシダイナモや実走行によって決定し、さらに進角モードと遅角モードを設定することで、エンジンチューニングや走行パターンに応じて点火マップを切り替えられる。レブリミットスイッチによる最高回転数設定も可能。
ノーマルのポイント点火を無接点式に変更するためのタイミングローターとピックアップASSYも専用品。ピックアップ取り付け部の座面やクランク端部形状は車種ごとに異なるため、実車を元にした開発が不可欠。
「ザリ」と呼ばれるGSX400E-1/2/GSX250E-1/2と、「ゴキ」と呼ばれるGSX400E-3/4/GSX400E-3/4/5は、ノーマルの点火系やポイントかフルトラか以外に、ノーマルイグニッションコイルの端子形状やタンクボトム形状の仕様変更によりコイルステーの形状が異なり、サブハーネスやコイルステーもザリ用とゴキ用で異なる。完全ボルトオンへのこだわりだ。
SP2フルパワーキット GSX400F(コードセット付き)
【SP2フルパワーキット GSX400F(コードセット付き)】 ●価格:10万9450円
適応車種はGSX400F(’81〜)/GSX400FSインパルス(’82〜)。ハイテンションコードとプラグキャップが付属しないキットは9万6800円。
SP2コントロールユニットには、ノーマルに準じた基本点火カーブを基準に最大で平均8度進角させた4パターン、最大10度遅角させた5パターンの点火マップが書き込まれており、スイッチ操作で簡単に設定できる。
SP2コントロールユニット/タイミングローター/ピックアップASSYといった構成パーツは、すべてリペアパーツが用意されている。万が一破損してしまった際も部品単位で交換できるのはありがたい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
泥や油汚れの洗浄は強アルカリなのに優しいマッドマックス一択!! 食器を洗う食器用洗剤やボディソープは毎日使用するものだが、その成分を意識することは少ないだろう。これ以外にもさまざまな洗浄剤があるのは「[…]
オイルフィルターとフィルターレンチのラインアップが豊富 メンテナンスの第一歩で最も重要な項目が、エンジンオイル交換とオイルフィルター交換だ。潤滑や放熱によって劣化するオイルと、エンジン内部のゴミや異物[…]
スマートさでエレクトロタップを圧倒するのがギボシ端子による接続 スマートフォンより大きな画面で情報が読み取りやすく、ドライブレコーダー一体式の製品もあり、価格的にもスマホよりリーズナブルなものも多いこ[…]
ガレージのインテリアにも適したカギ付き大容量7段引き出し収納 整理整頓や紛失防止、作業効率アップなど機能面でのメリットが多いのはもちろん、モチベーションアップに果たす役割も大きいのがツールキャビネット[…]
PMCが販売するADVANTAGE KYBフォークはカワサキZ系のレストアやカスタムに最適 逆輸入絶版空冷4気筒車が大人気となった1990年代初頭、フロントには倒立フォーク、リヤはアルミスイングアーム[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
鉄は錆で崩れゆくのが宿命か 古いバイクの部品、そのほとんどは鉄でできています。であるがゆえに錆びやすく、そしてレストアともなると出くわすのがこれ。 サビが進行すると腐食で穴が開いてしまったり(↑)極め[…]
割れたフェンダー復活作戦 今回は、割れて半分になってたフロントフェンダーの復活作戦です。 ヤマハのポッケ用なのですが、なにせ1980年式という古さ以上に、エンジン冷却?のためのスリットがある形状ゆえの[…]
いま錆の電気分解がアツい!(個人的に) 「錆落とし」 バイクやクルマのレストアで切っても切れないのが、まさにコレ「錆」との戦いですよね。鉄と酸素が結びつくと錆になる。そのままだとどんどん進行して鉄を侵[…]
夏の猛暑が招く「空気圧高すぎ」のブラインドスポット 多くのライダーは「空気圧は自然に減るもの」と思い込んでいる。そのため、しばらく放置していても「少し減っているくらいだろう」と楽観視しがちだ。しかし、[…]
すわカウルが資源になる時代到来か ※今回の内容は神奈川県相模原市を例に取り上げています。お住まいの地域のルールについては、各自治体のHP等をご確認ください。 バイク弄りをしていると、地味に処分に困るの[…]
人気記事ランキング(全体)
APトライクのカーター最新作「GOAT180」 「APtrikesシリーズ」で国内トライク市場の普及を牽引する神奈川県相模原市のカーターが、満を持して発表したのがこの「GOAT180」だ。車名にある「[…]
80年代バイクブームの熱狂が蘇る!「ハルネ小田原」で繰り広げられるレジェンド作品の競演 かつて「週刊少年マガジン」のページをめくり、エキゾーストノートの幻聴に胸を焦がしたあの夏の日々が、小田原の地下街[…]
20周年の系譜と「アウト・トリン」の意志 ベトナムにおいて2006年に誕生して以来、見た目はスクーターながら中身は歴としたMTミッションという、アンダーボーン型スポーツバイクのジャンルを確立したのが「[…]
メッシュジャケットの性能を最大化する「インナー選び」が残暑を制する 8月も後半に入り、暦の上では晩夏を迎えたものの、日中の道路上は相変わらず逃げ場のない猛暑が続いている。走行風を効率よく取り込むメッシ[…]
フェラーリF1直系の超軽量カーボン構造。先入観は今すぐ捨てるべし このマシンを開発したのは、元フェラーリF1のエンジニア、ヴィンセンツォ・マッティア。2017年にVINS社を立ち上げつつ、すでに201[…]
最新の投稿記事(全体)
力強いグラフィックパターンのニューカラーが4色追加されて魅力倍増! 『HORNET ADV RECOIL』は、ホワイトとブラックをベースとする全4色のカラーバリエーションが展開される。 メインカラーと[…]
GS Trophyシーズン到来 オフロードでの走行シーンを力強く支えるライディングギアから、バイクを降りた後や普段使いにも取り入れやすいアイテムまで、これからのGS Trophyシーズンを彩るラインア[…]
中国国内の最高速記録を叩き出した「V4 SR-RR」 2026年6月15日、中国江西省の上饒(シャンラオ)自動車試験場。そこで中国のモーターサイクル史を塗り替える歴史的な瞬間が訪れた。CFMOTO(シ[…]
アグレッシブ&コミカルでユニークなグラフィックモデル グラフィックモデルとして第2弾となる『Z-9 KABOOM』は、アメリカのコミックを彷彿とさせるグラフィックを帽体全面に描いたグラフィックモデルだ[…]
ターボ時代は別として、911がレースシーンで見せつけた強さの源泉は軽さとトラクションの良さに尽きるかと。また、水平対向エンジンの頑健さ、かつ低重心というメリットも無視することができません。そんな定説の[…]
- 1
- 2























































