[バイク歴史探訪]  働くハーレー“サービカー”は、かつてアメリカの“軽トラ”的存在だった!?


●文:モーサイ編集部(原久三) ●写真:八重洲出版 ハーレーダビッドソン

ハーレーダビッドソンは3輪モデルも作っている

「いつかはハーレー」などと言われるように、憧れのバイクメーカーとして知られるハーレーダビッドソン。

多くの人にとって、ハーレー=大型バイクのイメージしかないかもしれないが、じつはハーレーは3輪モデル「トライク」も作っている。

日本では、大型自動二輪免許を持っていなくても普通自動車免許を取得していれば乗れるので、トライクは二輪免許の取得をためらっている人などから支持されているモデルだ。

ハーレーダビッドソンの純正トライク「トライグライドウルトラ」(2021年モデル)。エンジンは最新の1868ccOHV空冷ツインの「ミルウォーキーエイト114」を搭載。

だが、昔のハーレーダビッドソンの3輪モデルは現在の豪華なスタイルとは違っていて、それは市民のための“簡素な働く乗り物”だった。言わば日本の“軽トラ”のような存在で、配達用の商用車/広告宣伝車などさまざまな場面で大活躍していたのだ。

当記事では、そんなハーレーダビッドソンが作った3輪モデル・サービカーについて紹介しよう。

自動車ディーラーなどに向けた出張修理用車両として、1932年に登場

世界恐慌による不景気が蔓延している中、ハーレーダビッドソンは1932年にユニークかつ簡素的な構造の3輪モデル「サービカー」を発表した。

サービカー登場以前にも、サイドカーのカー側を荷台として配達などに使用する「サイドバン」という存在はあったが、サービカーは自動車ディーラーや修理工場のサービスマンが出張修理に使うことを想定し、牽引用のアタッチメントもオプションで設定されていた。「サービカー」というネーミングは、サービスカーをもじって付けられたものなのだ。

サービカーは、当時登場間もないベビーツインの750ccフラットヘッドのVツインエンジンを搭載し、配達用商用車/広告宣伝車/警察の駐車違反車両取り締まり用としても数多く採用された。一日中低速走行してもオーバーヒートが少なく、タフな低圧縮型エンジンの利を生かし、使い勝手に優れた実用車としてさまざまな場面で活躍していたのだ……

※本記事は2022年3月25日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。