
かつては各地から集まったライダーで大いににぎわった上野も、今はマンションなどが建ち並び、その様相は大きく変わってしまった。その一画で今なお営業し続けるバイク用品店「RABEE」の店長さんと、元「D’s」の店員さんに"バイク街"の昔と今を語ってもらった。 ※本記事はMotorcyclist2016年1月号に掲載されていたものを再編集しています。
情熱は昔も今も変わらず
「土日ともなると、ヘルメットとその周辺パーツだけで1日の売り上げが200万円、それに加えて革ツナギやグローブ、ブーツなどの用品関係だけで1日に500万円とか600万円とかの売り上げがありました。今ではまず考えられない額ですよ」
かつて上野バイク街の一画を占めていた用品店「D’s」に勤め、アールエスタイチで営業を担当(取材当時)する海野さんは当時の様子をこう語る。
インターネットや量販店が充実する前の関東近郊では、中古車やバイク用品といえば上野まで買いに行くのが相場だった。
今では想像もつかないが、一番上の写真のように、土日ともなると3車線あるうちの1車線が完全に駐輪場となるほどのバイクで埋め尽くされた。
「レジに革ツナギを抱えた若い子たちが並ぶんです。たいていの子はローンです。クレジットカードも今ほど一般的じゃないし、16とか17の子は親の保証が必要になるから、電話して許可をもらうんです。でも親は革ツナギを買うことなんて聞いてないから、そこでひと悶もん着ちゃく始まるわけですよ。当時は安いので7~8万、だいたい10万円くらいでしたけど『月5000円くらいだから大丈夫だよ』とか。当時はお台場に何もなかったから、それを着て船の科学館の辺りを走ってましたね」
当時のメインユーザー層はレーサーレプリカにまたがる血気盛んな若者たち。
交差点ではウイリーや信号GPさながらの張り切りぶりが見られ、あるいは月ごとに登場するニューモデルの姿を求めたり、雑誌広告に載っていた新製品の現物を間近に見たりと、かつてのバイク街は行くだけで何かが発見できる街だったのである。
一方、今なおこの地で営業を続けるバイク用品店「ラビー」店長の相原さんは現在の様子をこう語る。
「40代、50代の人がメインなのは確かですが、若い人も以前に比べてちょっと増えてきたかなって感じです。ニンジャ250Rの登場などがきっかけで20代の人も乗るようになったようです。リターンライダーもそういうバイクを求める向きはありますし、そんなバイクが出てくれるとこちらも潤う、みたいなところはありますから」
ラビー店長の相原実樹典さん(右)とアールエスタイチの海野洋三さん
今の若い人は堅実で、ローンを組んでという人は皆無に近いそうだが、それ以上に異なるのが安全性に対する考え方だ。
「安全なものを着たいという意識は確実に高くなってます。逆に年配の人でプロテクターは要らないからそのぶん安くしてくれという人はいます」
革ツナギにしても、今は年に1回問い合わせがあるかないかくらいだそうだが、サーキット走行や講習会用に欲しいと考えている人も決して少なくはないそうだ。
しかし価格がネックになるようで「今だと1番安いものでも13万〜15万円くらいします。ほかのメーカーさんですと10万円以下のものや特価でヨンキュッパのものが人気があるようです」と海野さん。
ラビーの場合、今では仕事帰りの会社員や海外からの観光客などの立ち寄りで、売り上げは平日のほうが高い。
また、売り上げの比率も4割くらいが海外からの観光客で占められ、〝爆買い〟もよくあるという。
「特に外国人観光客ですが、たぶん選ぶのに一生懸命なんでしょうけど、商品を見る目とかキラキラしていて、楽しんでいるのが伝わってくるんです。店内に貼ってある当時のバイクのポスターとか見て、知っているならまだしも、2ストディオの全タイプを持っているという人とか(笑)。バイク好きの傾向は洋の東西を問いませんね」
上野に生きる人、または訪ねてくる人の情熱は昔と同様か、むしろそれ以上に熱いものがあることは確かなようだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
ホンダ・スズキと同じく、浜松で創業した丸正自動車製造 中京地区と同様に、戦後間もなくからオートバイメーカーが乱立した浜松とその周辺。世界的メーカーに飛躍して今に続くホンダ、スズキ、ヤマハの3社が生まれ[…]
80年代、80ccであることのメリットに、金欠ライダーは着目した 高校生が自動二輪中型免許(当時)を取ったはいいけれど、愛車をすぐ手に入れられるかは別問題。資金の問題が立ちはだかるのだ。2年ごとの車検[…]
ヤマハ AG200(1985年2月発売)「AGはAGRICULTURE=農業の略」 直訳すると車名は「農業200」だが、いわゆる農耕地での移動や運搬に使われるバイクのこと。ホンダのCTシリーズと成り立[…]
’80年代の国内市場は短命モデルの宝庫でもあった 若年人口の増加も手伝い、国内でのモーターサイクル販売需要も多かった’80年代。エンジンは空冷から水冷化が進み、サスペンションもフレームも日々進化が見ら[…]
6年連続トップ人気の軽二輪! レブル250の魅力を500と比べつつ検証 2017年4月、250/500が同時発売されたホンダのレブルシリーズは、登場当初、かなり異色のクルーザーモデルに感じられた。エン[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
モンキーを中心に4ミニが560台超も集まる 新緑の香りが心地よく残る東京サマーランドの特設会場。今年もこの場所に、日本全国から規格外の情熱を持ったミニバイクたちが集結した。熱いモンキー愛を持つオーナー[…]
ホンダNSR50が、12インチの景色を変えた 前後輪12インチの50ccロードスポーツバイクといえば、ホンダ「NSR50」「NSR80」を思い浮かべるバイクファンは多いことでしょう。それというのも、こ[…]
ホンダの“R”だ! 可変バルブだ‼ 1980年代に入ると、市販車400ccをベースにしたTT-F3やSS400といった敷居の低いプロダクションレースの人気が高まってきた。ベース車として空冷直4のCBX[…]
世界を熱狂させた「キング」の象徴 インターカラー(スピードブロック)の歴史を語るうえで、絶対に外せないのが「キング」ことケニー・ロバーツの存在である。1978年から1980年にかけて、ロードレース世界[…]
レプリカブームの始祖、RZ250/350誕生 ヤマハは1950年代の創業以来、2ストローク専業メーカーとして名を馳せていたが、1970年代に入ると4ストローク車の台頭や世界的な排出ガス規制の波に直面し[…]
最新の関連記事(交通/社会問題)
一定のレベルを超えると風の危険度は一気に増す バイクの面白さのひとつは、夏の暑さや冬の寒さを直に肌で感じながら走ること。必ずしも快適なばかりではありませんが、それゆえに非日常感や自然の中に生きている実[…]
201409081219 1. 連絡会議のまとめ【第3回 2026年3月24日】 2025年5月から始まった「市街地における自動二輪車等の駐車スペース確保に係る関係省庁連絡会議」(以降、連絡[…]
「バイク業界は減速傾向」まだそんなこと言ってるの? いつからか、国内二輪市場の概況を説明する際に枕詞に使われるのが「減速している」です。 たしかに、1982年の販売台数327万台に比べると、直近の20[…]
1. 国交省がバイク駐車に関する連絡会議を設置 2025年5月、国土交通省は、バイクの駐車スペース確保に関する施策推進に役立てることを目的に、関係行政機関相互の連携のもと、関係省庁を横断する[…]
バイクは首都高に乗れなくなる⁉ ETC専用入り口化が爆速激増中! 2026年3月、うがちゃんこと宇賀なつみさんをキャラクターにした首都高速道路株式会社のTVCMが大量に放映されていました。 内容は、首[…]
人気記事ランキング(全体)
アドベンチャー特有の「ノーズダイブの恐怖」を過去にするハブステア 背が高くサスペンションのストローク量が長いアドベンチャーバイクは、ツーリングで快適な反面、ハードブレーキング時にフロントが大きく沈み込[…]
免許不要で乗れる4輪モビリティの高い利便性 免許を返納した後の足代わりや、ちょっとした荷物を運ぶ際の手段として、何を選ぶべきか。シニアカーでは積載量に限界があるし、自転車では体力的な不安が残る。そんな[…]
ツーリングの「迷子」と「風の疲労」、最新のXMAXがすべて解決する 「知らない道へのツーリングはスマホのナビ頼りだが、画面が小さくて見づらい」「高速道路を使った長距離移動は、風圧による疲労がしんどい」[…]
「私自身もブラックを予約しているんです」 「“CB”はクリエイティブ・ベンチマーク(Creative Benchmark)として、その時代ごとにおけるバイク作りの基準であるべき」とは若手だった頃に、今[…]
大型バイクの重さに疲れた大人へ。190kgの軽快ボディが日常を変える 迫力あるネイキッドに乗りたいけれど、取り回しの重さに疲れてガレージから出すのが億劫になっている。そんな悩みを持つライダーにこそ、Z[…]
最新の投稿記事(全体)
誰もが安全、安心にサーキットを楽しめ、スキルアップも BMWやドゥカティといった有名輸入車を広く取り扱うミツオカグループ。サーキットエクスペリエンスはモトラッドミツオカ鈴鹿が中心となって開催しており、[…]
旅の始まりからエヴァの世界へ。空港近隣店舗を巡る「AIRPORT TOUR 2026」 北海道から九州まで、飛行機を降りた瞬間からエヴァの世界観に浸れるイベントが「AIRPORT TOUR 2026」[…]
歴史の息吹を自らの手で所有する悦び 1926年の創業以来、数々の伝説的なレースでの勝利と、心を揺さぶる美しいデザインで世界中のライダーを魅了してきたドゥカティ。その100年にわたる栄光の軌跡を、現代の[…]
アドベンチャー特有の「ノーズダイブの恐怖」を過去にするハブステア 背が高くサスペンションのストローク量が長いアドベンチャーバイクは、ツーリングで快適な反面、ハードブレーキング時にフロントが大きく沈み込[…]
「私自身もブラックを予約しているんです」 「“CB”はクリエイティブ・ベンチマーク(Creative Benchmark)として、その時代ごとにおけるバイク作りの基準であるべき」とは若手だった頃に、今[…]
- 1
- 2











































