折れたネジを溶接して抜く! 短くなったスタッドボルトにアーク溶接機を使ってみた
回らないネジ、折れたボルト…どうしても抜かないと作業が進まない! 溶接機をバシッと使って、思い切りトルクをかけて回したい! なんて思ったことはありませんか? 今回は、抜くのに非常に苦戦する「折れてしまったスタッドボルト」をアーク溶接機で一挙に解決。溶接ができるとこんなこもできてしまうというオハナシです。それでは早速行ってみましょう~!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
ボルトが折れてる! 事故車をレストアしていたときの話…
これは、ヤマハのSR400をレストアしていたときの話。その車体は事故車だったので、装着されていたフロントフォークが曲がっていました。そこで中古品をヤフーオークションで落札、購入したのです。
レアな部品にもかかわらず思わぬ安値で落札。それもそのはず、そのフロントフォークのアウターチューブの下部を見てみると…。はい、スタッドボルトが折れてました!
ダブルナット:スタッドボルトリムーバーなしで抜去する方法
スタッドボルトを抜く時は「スタッドボルトリムーバー」なる工具を使うのが簡単で手っ取り早いのですが、そんなブルジョワジーな工具を持ってないワタシは昔ながらの原始的な「ダブルナット」という方法で外します。
スタッドボルトのネジ部にナットを2つ噛ませて、お互いにシッカリ締めこんでから、テンションを維持しつつナットごとスタッドボルトを回して緩めて外す…というのが「ダブルナット」。ちなみにこのとき、2つのナットの間にスプリングワッシャーを入れると強度がアップします。
ただしこの「ダブルナット」は、今回のようにスタッドボルトのネジ部分が折れて短くなっていると使うことができません。また、折れ方によってはさきほどの「スタッドボルトリムーバー」も使えないことがあります。
ただでさえ高トルクで締め付けられているスタッドボルト。こうなるとうまく掴むことができず、回す手段がないとお手上げになってしまうところですが…そんな時に頼れるアイテムが登場いたします。
いでよ、アーク溶接機! 溶接は工作以外にもこんな使い方もあるのです
ここで、満を持して登場しましたるはアーク溶接機! スタッドボルトにネジ頭がないなら、溶接して取り付けてしまえ! という強引かつ乱暴な思想(笑)です。
折れたネジを溶接して抜く その1:ナットを取り付けて溶接
まず、折れたスタッドボルトに少しでもネジが残っているなら、ナットを無理やりにでもねじ込んでください。ネジ部分ごと折れてしまっていても、すっぽりかぶさる大きさのナットを用意すれば大丈夫。
溶接機のアースをしっかり接続したら、スタッドボルトの軸とナットの内側を溶接します!!
作品を作ってるわけじゃないし、強度さえ出せればいいので見た目はお構いなし。穴が開く心配もないので、強い電流で思いっきりやっちゃってください。
ちなみに「半自動溶接機」でもできますが、こういった溶け込み重視の強度が欲しいときは圧倒的にアーク溶接機のほうが有利です。
ナットとスタッドボルトがデロッと溶け合っていれば完璧。くっついてしまえばこっちのものです。
折れたネジを溶接して抜く その2:外すのは冷ましてから!
溶接直後は熱膨張でスタッドボルトも太くなってしまっているので、まずはクールダウンするのを待ちましょう。
温度が下がればもう大丈夫ですので、ナットにあったスパナやレンチを使って、普通に回して緩めてください。もしここで溶接が割れたり溶接不良でくっついてない場合は、グラインダー等で少し削ってからまた溶接してください。
しっかり溶接さえできていれば、十中八九スタッドボルトは簡単に外れてくれるはずです。はい、お疲れ様でした~!!
折れたネジを溶接して抜く その3:タップを使ってネジ穴掃除!
ただアーク溶接の性質上、溶接対象には電流が流れているため、スタッドボルトとフロントフォークのネジ穴に余計なスパーク(異常な放電現象)が発生している可能性があります。タップがあればネジ穴をきれいに整えてから、新規にボルトを取り付けましょう!
今回は折れたスタッドボルトの抜去に溶接を使いましたが、大きな機械の固着ボルトを回すときや、シャフトを抜く時にも同様に溶接を使うことがあります。製品や作品、部品作りとして溶接することもありますが、こうした作業の補助にも有用。ハイグレードなものでなくても十分使えるのでご興味のある方は溶接機をチェックしてみてはいかがでしょうか?
このこの記事が、どこかの誰かの参考になれば幸いです。今回もご視聴ありがとうございました~!
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