
「ナメんなよ!?」・・・あっ、別にオラついてるわけじゃないです。ネジです、ネジ回しの話です。昔からネジ回しには7対3の法則というものがあります。押す力と、回す力のバランスですね。バイクやクルマ、自転車のメンテナンスに留まらず家具の組み立てや日曜のちょっとしたDIYでもねじ回しの機会はあるでしょう。余計な手間を増やさないため、そして後悔しないためにもここはひとつ「7対3の法則」を覚えておいて損はないですよ~!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
固着したネジと会ったら黄金ルールを思い出せ
バイクをメンテナンスしたりレストアしたりしているとしょっちゅう出会うのがコレ「固着したネジ」です。
はい、今回も遭遇しました。古いモンキーのクラッチのカバーですね。ココ、ちっこいネジがプラスになってるんですよ。
すぐ回るかと思ってたのにこれが回らない。うん、かなりガッチリと固着してるようですね(ちょっとヤな感じ)
ここは要注意ですよ? なんたってナメやすいプラスネジ。油断したら一発でアウト。こんな小さなプラスネジ、もしなめてしまったら形状的にも外すのがとても困難になります。なんたって便利アイテムでも掴めない形状ですからね~侮れないのです。ここは焦らずに思い出せ「ねじ回しの黄金ルール」を!
「押すチカラ7割、回すチカラ3割」
作業性に優れとても扱いやすいプラスネジなのですが、これがちょっとでも固着するととてもややこしい存在となるのは皆様も体験をもってご存知でしょう。
ドライバーでのネジ回し。これは基礎的なノウハウですが「押すチカラ7割に対して、回すチカラが3割」これに尽きます。ドライバーの先端形状が進化しようが、ビットが高級品になろうが、原理原則はマジで変わりません。おそらくこれからも変わらないのでしょう、きっと。
最近は、なめかけたネジを回せるドライバーや救出ツール、摩擦を高めるケミカルなど、便利な商品がたくさん出ています。本当にすごいです。でも、ハナからなめないのが一番に決まっているのです。
もう一度言いましょう。ドライバーでのネジ回しの基礎。「回すこと」ではなく、「押すこと」。これが大切です!
怖いのは「カムアウト現象」
なぜ「押し」が大事なのか。それは、カムアウト(ビットが抜け上がる現象)を防ぐためです。ネジに対してドライバーを押し付けないで回すとどうなるかちょっと想像してみてください。
固いネジを回そうとするとき、意識はつい「回す」ほうへ行きがちですよね?しかし、押しが弱いと、回転トルクがかかった瞬間にドライバーの先端が「ぬるっ」と浮き上がります。これが「カムアウト」現象です。
浮き上がると接触面が極端に減り、一点に力が集中します。するとドライバーの先端もネジの十字も痛み、最悪「なめ」ます。一度なめたネジは元には戻りません。ちなみに「なめきった」ネジはこうなります(↓)。
こうなってしまうと、もうドライバーは使えません。なめたネジに強いドライバーでも無理。溝を掘ってマイナスドライバーで回すか、穴を開けて逆タップで抜くか、何かしらの方法で掴むしか方法がないのですよ。なんにしても手間が何倍にも膨れ上がる。奥まった場所のボルトだったりするともうアウト、ですよね~。
電動工具こそご注意を!
最近は道具も便利になって電動ドライバーやインパクトドライバーなど、電気の力で回転する工具が安価に容易に手に入るようになりました。これはこれでとても便利なのですが、ことプラスネジを回すとなると、じつはハンドツール以上に気をつけなきゃいけないのです。
小さいものでも予想以上のトルクで回転したり、急に高速回転するものも多いので、一瞬の油断で「カムアウト」になりやすいのです。筆者も経験あるのですが、ビットを押し付ける前にボタンを押してしまい「あっ」と思ったときにはナメていた・・・なんてこともありました。
ちなみにこんなカンジ(↓)
道具が進化してもやっぱり基本は変わらないのです!
いざ尋常に勝負!
そんなわけで話を戻しましょう。今、ワタシは、このモンキーのクラッチカバーを開けないと作業が進まないのですよ。基本をしっかり守りながらいざ尋常に勝負!
「押し7:回し3」これを実践しようとするとこんな感じ。
今回みたいに縦方向であれば、とにかく体重を乗せ、真上から軸をブレさせないように押し付けます。回す力はむしろおまけみたいな感じ。押し付けた体ごと回す勢いで挑みます。
ふんっ! と押し付けてぐいっとまわ・・まわ・・・ま、回りませんね! 手強いな・・・。
かくなる上は「ショック」を追加
こうなったら仕方がない。ここで「ハンマーの一撃」を加えます。
用意するのはドライバーの軸が握りのお尻まで通っている「貫通ドライバー」
(大きな声じゃ言えませんが、緊急事態の応急対処として、通常のドライバーでもハンマーで叩いたことがあります。意外とねじ回しぐらいの衝撃だったらそうそう壊れるものでもないのでそういう方法もあるということだけちょっと覚えておいてくださいね。あくまでも自己責任でお願いします)
ハンマーで叩く方法でもねじ回しの基本はまったく変わりません。可能な限りドライバーをぐいっと押し付けて、ほんの少し回転方向に力を加えておきます(←コレ大切)。そうすることによって手動式の「簡易ショックドライバー」になるわけです(これが侮れないのですよ!?)
そんじゃ、いってみましょう。
まずは、軽めに何回か叩いてドライバーの先端をネジにしっかり食い込ませます。ネジ山が傷んでるとちゃんとフィットしてないことがあるのでこれがかなり有効な準備となります。
ネジがしっかり食い込んだのを確認したら「押し7:回し3」これをしっかり意識して、回転方向にちょっと力を入れながらハンマーを振り下ろします。
「カンッ!!」
ここまでしっかりやれば、よほど(腐食やサビなど)のことがない限り、ネジは回ってくれるはずです。油断せず、しっかり押し付けながらチカラを加えると・・・
・・・おおっ!?
回りました~!!
侮らずなめずにご安全に!
最後になりますが、固着したボルトに対して安物の工具は危険です。安いドライバーは先端の精度がお世辞にも良いとは言えず、食いつきが甘く、硬度も低いため、要するに「なめやすい」のです。
また、先端が傷んだドライバーを使い続けるのも危険です。「まだ使えるしな~」という気持ちはわかりますが、カムアウトを誘発しやすいです。それと、インパクトドライバーなどの交換式ビットもうついつい交換を渋りがちですが要注意。肝心要の勝負所で、取り返しの付かないミスをやりかねません(←経験者!!)。
まとめ:焦らず慌てず基本に着実に
ねじ回しを初めてした時なんて思い出せないほど昔のこと。今まで何度ネジをなめてきたか数えきれませんが、同時にこのルールを知ってからはネジに「完敗」したことは(ほぼ)ありません。焦らず慌てず基本を忘れずにしっかりと「押すチカラ7割、回すチカラ3割」を忘れなければ確実に失敗を減らせるはずです。
次に固着ネジと出会ったとき、焦らずこの「7:3の黄金ルール」を思い出してください。きっと勝てます!! この記事が少しでも多くのネジを救うことになれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
3Dプリンターで特殊工具が作れる 「3Dプリンターで工具を作ることはできるのか?」 はい、作れます。ていうか実際に作って、ちゃんと使えました! 今回はそのレポートでゴザイマス。今回、3Dプリンターで作[…]
レストアは固着との戦い!と言うけども 古いバイクに固着したボルトやナットは付き物ですよね。 ヤマハのポッケをいっちょ直したろうかと意気込んだものの、コイツの固着っぷりが尋常じゃなかったんだ、いやホント[…]
実は使ってます、カネヨン まず結論から言うと、筆者は使ってます。バイクのアルミ部品磨きに、クリームクレンザーを使うのです。 たとえば(↑)腐食して白く粉を吹いたようになってしまったアルミ部品。ちょっと[…]
久しぶりにバイクを動かそうとしたら… えっとですね。しばらくの間、愛車のヤマハDT50に乗れていなかったのですよ。で、久々に乗ってみようかと思いまして、駐輪場から引っ張り出そうとしたわけです。 そした[…]
絶版車のコンディション維持に欠かせない純正部品同等の品質と性能を持つ「規格部品」 毎年のようにモデルチェンジを行うことでパーツ点数が膨大になったのがバイクブーム、レーサーレプリカブーム時代の純正部品事[…]
最新の関連記事(工具)
3Dプリンターで特殊工具が作れる 「3Dプリンターで工具を作ることはできるのか?」 はい、作れます。ていうか実際に作って、ちゃんと使えました! 今回はそのレポートでゴザイマス。今回、3Dプリンターで作[…]
久しぶりにバイクを動かそうとしたら… えっとですね。しばらくの間、愛車のヤマハDT50に乗れていなかったのですよ。で、久々に乗ってみようかと思いまして、駐輪場から引っ張り出そうとしたわけです。 そした[…]
昭和は自分でバイクを直せた時代? 筆者の肌感ですが、昭和の頃は、バイクも車も自分で直してしまう人が今よりずっと多かったものです。ドライブ中にエンジンが故障しても道端で直したり、ツーリング先でトラブルが[…]
ボルトやナットが落ちないナットグリップ機能も魅力 ソケット外周のスプリングとスチールボールを組み合わせた、コーケンならではのナットグリップソケットと、六面式ボールジョイント機構を組み合わせたソケット。[…]
PACKOUTシリーズの工具収納システムに連結できるコードレスワークライト M12 PACKOUT シングルワークライトは、ミルウォーキーツールのM12バッテリープラットフォームに対応したコードレスL[…]
人気記事ランキング(全体)
世界限定499台、ハイブリッドシステムを採用したラ・フェラーリ ラ・フェラーリはフェラーリが2013~2016年にかけて限定生産した、ハイブリッドシステム「HY-KERS」を搭載する最高峰のハイパーカ[…]
二輪のふらつきにサヨナラ。四輪がもたらす圧倒的な安心感 自転車や二輪の電動モビリティに乗っていて、低速時や荷物を積んだ時のふらつきにヒヤリとした経験はないだろうか。特に歩道走行モードのような低速域では[…]
愛車のガソリンタンクは、美しい状態をキープしたい… 愛車の美観を維持する上で、ガソリンタンク周辺の傷は多くのライダーが頭を悩ませる問題である。特に給油時、ヒンジ付きのタンクキャップを全開にした際、イグ[…]
未塗装樹脂パーツ、白っぽくなっていませんか? 最近のバイクでは必ずといって良いほど採用されている素材が「未塗装樹脂パーツ」です。 未塗装樹脂パーツとは文字通り塗装していない樹脂製パーツのことです。黒や[…]
レトロなスタイルは好きだが、急ブレーキの不安は消したい 「クラシックなデザインのバイクに乗りたいけれど、安全装備がついていないのは不安だ」。雨の日のマンホールや、パニックブレーキでのタイヤロックにヒヤ[…]
最新の投稿記事(全体)
エボスポが帰ってくる!! 日本市場で販売台数の約4割を占めた時期もある絶対的人気モデル「スポーツスター」。2021年12月に登場したフォーティーエイト・ファイナルエディションを最後に、その歴史はいった[…]
ファンティックの考える「スクランブラー」とは!? ファンティックの代表車種「キャバレロ」はスクランブラーと呼ばれるスタイルですが、野口代表はどうお考えですか? 「スクランブラー。スクランブル=緊急発進[…]
誕生当時は出張修理用マシンだった⁉ トライクの歴史を紐解けば、当初は修理工具を積んだ移動サービスカー「サービカー」にたどり着きますが、これは1930年代のオールドファッション。近代的なモデルは、200[…]
80年代の熱気を呼び覚ますジェットヘルメットに最適なアイウェア 日差しや走行風、巻き上がる砂埃から目を保護するゴーグルは、快適なライディングに欠かせない装備。特に小ぶりなジェットヘルメットや、クラシッ[…]
世界限定499台、ハイブリッドシステムを採用したラ・フェラーリ ラ・フェラーリはフェラーリが2013~2016年にかけて限定生産した、ハイブリッドシステム「HY-KERS」を搭載する最高峰のハイパーカ[…]
- 1
- 2




















































