
ハーレーダビッドソンのトライクを「リッチな年寄り向け」などと考えているとしたら、認識が甘いというもの。なにしろ、フルモデルチェンジされた足まわりや、大幅な軽量化、そしてミルウォーキーエイトのたくましいエンジンで操る乗り物が楽しくないわけがありません。しかも、バイク同様に風を切るライディングが普通免許だけで味わえるとなれば、夢が広がること間違いないでしょう。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:石橋 寛
誕生当時は出張修理用マシンだった⁉
トライクの歴史を紐解けば、当初は修理工具を積んだ移動サービスカー「サービカー」にたどり着きますが、これは1930年代のオールドファッション。近代的なモデルは、2009年に「トライグライド ウルトラ クラシック」がデビューしたものの、トライクのオーソリティ「レーマン社」とのコラボレーションでした。
その後、自社生産に切り替わるとランニングチェンジを続け、ついに2026年モデルでフルモデルチェンジ。最新のミルウォーキーエイトを搭載し、いわば生粋のハーレーダビッドソン製トライクとして生まれ変わったのです。
新型トライクの目玉はなんといってもリヤサスのアップグレード。従来のリジッドでは路面の凹凸を拾うと車体が激しく揺さぶられ、ハンドル操作に影響が及ぶこともありました。が、新たに採用されたドディオンアクスルは、ライダーへの衝撃の強さは従来の1/3ほどに軽減。旋回中もイン側のリヤタイヤがしなやかに路面を捉え続け、接地感が大幅に向上しています。
デフのセッティングはもちろん、足まわりそのものの軽量化(-30kg)もされた結果、トライクとしては破格の快適性や走行性能がもたらされたといえるでしょう。
2026年モデルのストリートグライド3は573万9800〜630万800円。長距離の快適性にも配慮したスタイルをベースに、2輪モデルと同じフェアリングを装備したトライク。
エンジンも117ciへとアップグレード
もっとも、軽量化といえども車重は537kgというヘビー級。そこで、これまでの114(1868cc)に代わり、可変バルブタイミング機構(VVT)を搭載した「Milwaukee-Eight VVT 117(1923cc)」エンジンへとアップグレード。
3500rpmで170Nmもの最大トルクを発生するとのことですが、実際に乗ってみると2000も回せば身体が置いていかれるような加速が味わえます。
また、「コーナリングエンハンスト・アンチロックブレーキ(C-ABS)」をはじめ、「トラクションコントロール(C-TCS)」など、3輪の横方向加速度まで計算してくれるスマートテクノロジーのおかげで、最上級のスリルを最大限の安全性で得られるというのも新型の大きなメリットに違いありません。
さて、一般的なライダーがトライクに乗ると、最初はコーナリングの違いに戸惑いを覚えることに。トライクの場合は体重移動で曲がるというより、ステア操作がものを言うからです。しかも、前の1輪だけで後ろの2輪を追従させるわけですから、それなりの腕力が必要。
ちなみに、アメリカでは「コーナー外側のハンドルを押す」とアドバイスされるそうですが、それは体格も腕力も優れたライダー向け。でなければ、内側のハンドルを引くほうがよほど合理的で、体力も奪われないはず。これさえ慣れてしまえば、トライクのコーナリングは思いのほか楽しく、またスリリングで新鮮な悦びにあふれたものとなるのです。
とりわけ、緩い下り坂でコーナーが続く場面などはパワフルなジェットコースター感覚。ライダーはもとより、パッセンジャーもヘルメットの中で奇妙な絶叫がもれること請け合いです。
フルモデルチェンジによって、エンジンもM8 117ユニット(1923cc)へと変更されて怒涛のトルク(170Nm/3500rpm)がもたらされています。
215/45R18のリヤタイヤはもはやクルマに等しいサイズ。ドリフト走行にはワンサイズ下げるのがおすすめです(笑)。
コーナー内側のハンドルを引くコーナリングに慣れてしまえば、トライクほど痛快&豪快な乗り物は滅多にありません。
バック機能がより便利&安全に進化
こうした乗り味を力強く演出しているのが、M8 117ユニット。前述の通り、フルスロットルをためらうほどのトルク感と、怒涛のような脈動はハーレーダビッドソンの真骨頂です。直線番長と呼ばれようと、アクセルを全開にしたストレートの爽快感は他に比べようがありません。
また、巨大なピストンを使っているわりにレスポンスは優れているため、先のハンドリングをマスターすれば、車線をまたぐような走りは瞬間移動に等しいもの。トライクの巨体がこれほど俊敏に走るとは、まったく予想もしていませんでした。
最後に、バックギヤがアップデートされたこともお伝えしましょう。従来はバック用のモーターを装備していたのですが、新型はスターターモーターを共用することで軽量化にも貢献しています。また、電子制御が操作をカバーするため、両手でハンドルを握った状態でバックすることが可能となりました。ライダーの身体が安定した状態で操作できるため、より安全、かつ便利な機能となったわけです。これなら、バイクの経験が浅い、あるいは乗ったことがない方でも安心して乗り出せるはず。
ともかく、トライクは普通免許で運転できる乗り物としては抜群の面白さと爽快感に満ち溢れています。普通のハーレーが重くて辛くなったというシニアライダーだけでなく、とにかく風を切る乗り物好きならチャレンジしない選択はありません。
ロードグライド3はシャークノーズフェアリングをベースから継承。553万5200〜563万9700円と値段は張るものの、気持ちの良さはプライスレス!
ストリートグライド3 走りのイメージ
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