
目覚ましい発展を見せる電子制御技術。自動クラッチ/電子制御スロットル/ACC/ABS/トラクションコントロール…しかし「いや俺のテクが上だろ」と思うライダーも少なくないのでは?今回は電子制御スロットルについて解説しよう。
●文:宮田健一
出力調整を極限まで最適化&他技術との連携で相乗効果
キャブやFIスロットルボディの吸気量を決めるバタフライの開閉をワイヤーで繋がったスロットルグリップで人間が直接調整していたのが旧来の方式。これに対してグリップの先に繋がっているのはアクセル開度を読み取るセンサーのみとし、速度やエンジン回転数などと合わせてECUが計算した結果から最終的なバタフライ開度をマシン側で決定するのがライドバイワイヤーの別名を持つ電子制御スロットルだ。
その最大のメリットは、やはり電子制御される燃料噴射量や点火時期と相まって最適な出力調整が行えるということ。予期せぬ急加速などを防ぎやすいのはもちろんのこと、スポーツ/ストリート/レインといった複数のパワーモードもより高機能で実現しやすくなる。ダウン方向のクイックシフターも電制スロットルが自動ブリッピングしてくれるおかげで実現した機能だ。
また燃焼効率を常に最適化できるため、最新の排ガス規制をクリアするには今や必需品。燃費向上にも大いに貢献する。実は電制スロットル車が一気に増えてきたのは、この排ガス規制が一番の要因だったりするのだ。デメリットとしては、読み取ったスロットル位置からECUで計算処理してバタフライの開度を決めるため、どうしても発生してしまうタイムラグ。とは言え、それが気になるのもレースなど極限速度の場面くらいで、ECU処理能力も劇的に進化した今ではストリートで乗っているかぎり気になる場面はまずないのだ。
CBR1000RR-Rのスロットルバイワイヤシステム。スロットルバルブの開閉を、ホンダ二輪車として初となる2個のモーターで行い、2気筒ごとの開度を独立して制御できる。
青木宣篤’s EYE
青木宣篤氏
最近のMotoGPでちょっと話題になったのが、電子制御スロットルだ。ライダーからしてみればスロットルレバーの調整は命のようなものだ。スロットルレバーを微妙に開閉しながら微妙にトルクをコントロールし、自分が求めるだけのトラクションを得ている。そして「完全に電気的な電制スロットルはコントロールしにくい!」と、最近ではあえてワイヤー(配線のことではなく、針金的なワイヤー)巻き取り式にしているのだ。リアルワイヤー巻き取り式にはスプリングが使われているし、ワイヤーそのものの摺動抵抗もある。それらの反力や引っかかり感が、「スロットル開度20%ぐらいでホイールスピンをコントロールする」といった微妙な操作をやりやすくしているのだ。
電子制御によってデジタル化が進んでいるものの、ライダーはやっぱりアナログのフィーリングから逃れられない。常に人間の感覚に寄り添いながらでしか進化できないのが、バイクというものなのだ。面白いですね。(ノブ青木の上毛グランプリ新聞Vol.29より)※詳細は下記リンク参照
電子制御スロットルにアナログなワイヤーを遣うベテラン勢 最近のMotoGPでちょっと話題になったのが、電子制御スロットルだ。電制スロットルは、もはやスイッチ。スロットルレバーの開け閉めを角度センサーが[…]
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
構造から見る「ハイパーVTEC」の合理性 多くのライダーが魅了されるCB400SFの「ハイパーVTEC」。バルブ数切り替えという複雑なシステムを量産車に落とし込んだホンダの技術力には、改めて敬意を表し[…]
元々はレーシングマシンの装備 多くのバイクの右ハンドルに装備されている“赤いスイッチ”。正式にはエンジンストップスイッチだが、「キルスイッチ」と言った方がピンとくるだろう。 近年はエンジンを始動するセ[…]
ピーキーに力強くより、先がイメージできる変化率、欲しいのはアテにできるトラクションの過渡特性! 私、ネモケンが1975~1978年に世界GP転戦したとき、親しかったバリー・シーン(Barry Shee[…]
バイク向けの次世代コネクテッドクラスター かつてオーディオ機器を生産し、現在はカーナビやドライブレコーダーといったモビリティ向けの製品を主力としているパイオニアが、2026年1月6日(火)~9日(金)[…]
いまや攻めにも安全にも効く! かつてはABS(アンチロックブレーキシステム)といえば「安全装備」、トラクションコントロールといえば「スポーツ装備」というイメージを持っただろう。もちろん概念的にはその通[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
ブレーキング:鍵はイニシャルブレーキ 旋回への準備を整える区間で重要となるのが、初期制動=イニシャルブレーキである。コーナーの進入でいきなりガツンッとレバーを握り込むと、前方向へのピッチングが必要以上[…]
はじめに:“速さ”でなく“スムーズさ” 皆さんは、私、フレディ・スペンサーのことをどういうライダーだと思っているだろうか? 前走者のインに飛び込んだり、コーナーの立ち上がりでホイールスピンを続けるなど[…]
すでに13年も続いている人気イベント 初心者むけと言いつつ、いきなりサーキットが舞台というと「ハードル高くね」と思われがち。ですが、「バイクで遊ぼう」にはツナギのいらない「街乗りクラス」の設定があるの[…]
1.「裏ペタ」という不思議なカスタム SS系やストリートファイター系のカスタムバイクで、時折見かけることがある「裏ペタ」。要はナンバープレートを、リヤフェンダーの内側に貼り付けるカスタム(!?)のこと[…]
まるでスポーツカーのような佇まい! 都会に溶け込むクールデザイン 一目見ただけで「お、格好いいな」と思わせるのが、このバイクの持つ力だ。ヤマハの誇るスポーツスクーター「MAXシリーズ」のDNAを継承し[…]
人気記事ランキング(全体)
ありきたりなデザインへの不満を吹き飛ばす、独創のカフェレーサー 「最新のネイキッドバイクはどれも似たような顔つきで、ガレージに置いたときのワクワク感が足りない」。そんな大人の不満を、一瞬でかき消してく[…]
愛車のガソリンタンクは、美しい状態をキープしたい… 愛車の美観を維持する上で、ガソリンタンク周辺の傷は多くのライダーが頭を悩ませる問題である。特に給油時、ヒンジ付きのタンクキャップを全開にした際、イグ[…]
ツーリングの「迷子」と「風の疲労」、最新のXMAXがすべて解決する 「知らない道へのツーリングはスマホのナビ頼りだが、画面が小さくて見づらい」「高速道路を使った長距離移動は、風圧による疲労がしんどい」[…]
力強いトライバル模様をモノトーンで表現 『KAMUI-5 NOTRA』は、鳥の羽や葉脈を思わせる幾何学的なトライバル模様を特徴としたグラフィックモデルだ。トライバル模様とは、部族・民族を象徴する模様の[…]
毎日の「ちょっとそこまで」をもっと身軽に、もっと楽しく 車を出すほどの距離ではないけれど、自転車では荷物が重くてしんどい。雨の日や日差しの強い夏場はとくに移動が億劫になってしまう。そんな日常のモヤモヤ[…]
最新の投稿記事(全体)
未塗装樹脂パーツ、白っぽくなっていませんか? 最近のバイクでは必ずといって良いほど採用されている素材が「未塗装樹脂パーツ」です。 未塗装樹脂パーツとは文字通り塗装していない樹脂製パーツのことです。黒や[…]
第5戦フランスGPで勢力図激変。最強ドゥカティを襲う異変とは? 小椋藍くんの3位表彰台によって、アプリリアは第5戦フランスGPで同社最高峰クラス史上初の1-2-3を達成した。第5戦フランスGP終了時点[…]
12インチホイールと103kgの軽さが生み出す無類のファンライド ホンダのグロムは、12インチの小径ホイールと車両重量103kgという圧倒的な軽さにより、初心者からベテランまで純粋な走る喜びを味わえる[…]
長距離ツーリングの退屈さを打ち破る、圧倒的なオーラ 「長距離を走れるツアラーは快適だけれど、デザインがどれも似たり寄ったりで刺激が足りない」。そんな不満を心の奥底に抱えながら、ガレージに収める特別な1[…]
3Dプリンターで特殊工具が作れる 「3Dプリンターで工具を作ることはできるのか?」 はい、作れます。ていうか実際に作って、ちゃんと使えました! 今回はそのレポートでゴザイマス。今回、3Dプリンターで作[…]
- 1
- 2





































