
ついに乗ることができました、APトライク250! いや~、スゴかった。何がすごかったって、排気量が2倍になっただけじゃなくて、ちょっとした違いでこうも性格は変わるのかとビックリしたコト。試乗つっても近所をちょろっと走るだけじゃなくて、幹線道路やら峠の上り下りやら、しまいにゃ高速道路も走ってみた感想をレポートいたしますよ~!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ) ●撮影協力/外部リンク:株式会社カーター
乗ってみた! APトライク250
やっと乗るチャンスがやってきました。APトライク250を作った、株式会社カーターさんのご協力によるものです。ありがとうございます!
開発時から話を聞いていたので、やっと乗れてとても嬉しい。
以前は同様にAPトライク125も体験させてもらったのですが、そちらでは箱根の坂を登ってみたり、限界まで荷物を積んでキャンプに行ったり楽しませてもらいましたが、はたして今回のAPトライク250はどのようなマシンなのでしょうか? ワクワク。
「APトライク」とは?
ちょっとおさらいしておきましょう。APトライクは前一輪、後ろ2輪の合計3輪という、トゥクトゥクのようなトライクと呼ばれる乗り物。一番目を引くのはそのコンパクトな車体で、そのサイズはというとこんなカンジ。
5分で洗車できちゃいそうなちっこいボディー。
- 全長: 2200mm
- 全幅: 1000mm
- 全高: 1650mm
筆者を横に置くとその小ささがよくわかるでしょう。
乾燥重量が248kgと、バイクで考えると重い部類ですが、軽トラと比べるとほぼ1/3の重さなので、平地であれば押して動かすことは容易です。車庫入れの苦手な人だったら自分で転がして仕舞えちゃうというお手軽さ。実際やってみるとすごく楽しい! このAPトライクの特徴はというと…。
- 車検不要!
- 車庫証明不要!
- ついでにヘルメットも不要!
- 保険はバイク用で安くて
- それなのに3人乗り!
・・・という、ちょっと夢のようなマシン。車両区分は「側車付き軽二輪」で、125ccバージョンはノークラッチミッションを採用していることから、オートマ限定の普通四輪免許で運転(!)できるのです。
APトライク250は、エンジンが空冷から水冷になり、排気量も125ccから250ccにアップ。変速時のショック軽減という目的からミッションはクラッチ式の5速変速+後退になり、それに従い運転免許もMT普通四輪免許となったのでご注意をば。
見た目は同じでも中身は別物「2倍にばーい」
今回のAPトライク250では、それまでの125と比べて排気量が2倍になりました。エンジンの出力である馬力もほぼ2倍になったことから、単純に加速と最高速がアップするだけ・・・と思いきやさにあらず。乗り物としてほとんど別物になったと言っても過言ではありません。
まずエンジンパワーだけで考えると、トルクが増大したことによって行動範囲が圧倒的に広くなりました。
実のところ、125cだと坂登るのがしんどいんのですよ。「遅い」って言うよりマジでしんどそう。アクセルひねりながらも「頑張れ頑張れ」と応援したくなっちゃうぐらい。なんたって125ccエンジンで232kgの車体を引っ張るのは、それはつらいですよね~。
それに対して250は乾燥重量が微増の248kg。これはエンジンの大型化と冷却水ラジエーターの分の重量なのですが、馬力はほぼ二倍の11.5kW (15.6ps)になってます。これがまた効果てきめんなんだ!
幹線道路も余裕で走れちゃう。250ccって素晴らしい!
125ではつらかった幹線道路の加速がいたって余裕。それどころかちょっと回せば流れをリードすることも可能です。また、当然坂道でもパワフルで、APトライク125と同じように旧箱根峠七曲りを走ってみましたが、とくにネタにならないぐらいに普通に登っちゃいました(ホントに普通すぎるぐらいに)。
平地でも坂道でも普通に加速ができるということは、周囲の車に気を使わなくて済むということ。これはすなわちいらのストレスが溜まらないということです。ちょっと足を伸ばす時などは、これがとても大きい。
APトライク125のキャッチコピーは「チョイ乗りトライク」でしたが、APトライク250のキャッチコピーは「ガチ乗りトライク」なのもうなづけるのです。
ミッションが変えてしまったキャラクター性
そしてもうひとつ重要な変化が変速クラッチの方式。APトライク125は自動遠心クラッチを装備していて、ドライバーはクラッチ操作をしなくて良かったので、ギア付きでありながらオートマチック扱いでした。
ハンドルまわりはほぼバイクそのもの。
エンジンから伸びたシフトレバーを左手でガチャコンガチャコを動かすのがコミカルで可愛くて、どっちかと言うと女性的なおもちゃ感が強い乗り物でした(それがAPトライク125の楽しさでもあった)
それに対してAPトライク250は、一般的なオートバイと同じように左手でクラッチを直接操作する方式。シフトチェンジは床から生えているシーソー式のペダルで、ロータリー式ミッションを操作しながら走ります。そうすると必然的に左手で操作していたブレーキが右足のフットブレーキになるわけです。
つまり右手でアクセルとブレーキ、左手でクラッチ、左足でシフトチェンジで、右足でブレーキという。車みたいな椅子に座ったまま、四肢すべてを使って操作することになります。
これには大きく分けて2つの側面があって、1つはシフトチェンジが迅速かつスムーズにできるということ。クラッチ操作ができるのでギアのつながりをコントロールしやすく、変速時のショックを少なくできることです。
そしてもうひとつの側面はどちらかというとネガティブなもので、車と違って足のかかとを休ませることはできず、足を浮かせた状態でブレーキやシフトの操作をしなければならないのですよ。これは今後形状が変わったりカスタムパーツも出ると思うのですが、現状では足が浮きます。これが地味に難しい。
変速の少ない大きな道を走るならともかく、加減速が多い峠道を走るとなると、これがまたかなり忙しい。これらの影響で実際走ってる時の感覚としては、APトライクの125と250をまったく別の乗り物に感じてしまいました。
125はおもちゃ感覚でコミカルに走れるのですが、250はまるでプロペラ飛行機を操縦しているような繊細な感覚がありました。とはいえ、プロペラ飛行機は乗ったことないので勝手なイメージですが(汗)。
雄々しいぞ! APトライク250
なんかこうして文章にしてみると、APトライク250は「めんどくさい乗り物なの?」かって思われるかもしれませんが、いやいやむしろ逆なんですよ。乗るのが難しいほど燃える?みたいな。同世代以上の皆様は同感でしょでしょ?
これぞまさに男のオモチャ! 今のバイクやクルマじゃ味わえないスリルがここにあるんですよっ!!
気持ちよく走れるとすっごく嬉しい。楽しい!
ちなみに250ccのエンジンは、もともとはオートバイ用なのだそうです。通常なら重量のあるトライク用にエンジンフィーリングを変えるものなのですが、あえてカムプロファイルはそのまま、2輪用のフィーリングを残しているのだそう。そのおかげでカタログスペック以上に高回転に感じるエンジンは、かなりエキサイティングな味付け(!)となっています。
言い換えると、バイク乗りからすればとても馴染のあるフィーリングなのですが、車しか乗ったことない人が乗ったらちょっと驚くかもしれないですね。しかも車体は3輪トラックという特性上、急ハンドル切ったりすると片輪が浮いたり、そのまま転倒(!)するリスクがあります。250ccになってパワーが上がった分、加速もフィードもアップしているので、より一層ドライバーの慎重さが問われるわけです。
と言っても何もしなくても倒れるバイクに乗ってるライダーにとってはどうってことなくても、これも4輪しか乗ってないドライバーにとっては、なんとも刺激的なマシンであることは間違いないでしょう。逆に言えば、普通四輪免許で250ccバイクのようなフィーリングを味わえるのはお得と言えるかもしれません。
以上がAPトライク250に試乗してみた感想です。
これらをひっくるめて考えてみると、APトライク250はかなり攻撃的な男性的乗り物だと感じましたね。125と250、見た目はほとんど同じだけど生息地が違う生き物みたい。例えるならヒグマとパンダぐらい違う印象でしたね!
最後にぶっちゃけた話をすると、APトライクは125も250も、すでに完成された国産四輪車のような乗り物とは別物です。
むしろ、ユーザーがカスタムしたり改良したり自分好みにチューニング(調律)することによってはじめて「完成」することができる、いわば「未完成の素材」といったマシンだと言えるでしょう。人間が居なければ走ることができない、その場に倒れてしまう二輪のような不完全さを残しているからこそ芽生える愛着もあるのではなかろうか、そう考えます。
そういった点においてはAPトライク250はなかなかに骨のある雄々しきマシンと言えるでしょう!
ちなみに株式会社カーターさんでは、この「APトライク125」「APトライク250」は、購入前に試乗することを強く推奨しています。あくまで三輪トライクという乗り物であることを試乗してしっかり理解してからの購入がよろしいかと思います。詳しくは販売代理店にお問い合わせください!
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
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