
2026年に登場したカワサキの「Z500」と「Ninja500」。250cc譲りの軽量コンパクトな車体に、451ccへ排気量アップした余裕のエンジンを搭載した注目の2台。今回は元GPライダーの青木宣篤氏が徹底試乗。「使い切れるパワー」の真価や、ネイキッドとフルカウルの乗り味の違いをリアルにインプレ。
●文:伊藤康司 ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:カワサキ
不安なくステップアップできるプラス53ccのアドバンテージ
2026年2月に販売開始したZ500とNinja500は、海外ではZ400/Ninja400(日本では現行モデル)の後継として2024年から販売されており、「国内導入」が始まった形だ。
Z400/Ninja400は排気量を除けば、エンジンレイアウトやシャシーを共有するZ250/Ninja250との兄弟車。そのためZ500とNinja500も、250系のシャシーに400系(398cc)から451ccに排気量を拡大したエンジンを搭載した、というのが基本的な作りである。
エクステリアに関しては、スーパーネイキッドのZ500はZ7ハイブリッドの流れを汲むトリプルLEDヘッドライトのフロントマスクが与えられ、Ninja500はZX-6R系の顔つきになり、燃料タンクやシートカウルの形状も250/400系とは異なる。
前述したように海外ではZ400/Ninja400の後継モデルだが、日本では新型としてラインナップに追加。もちろん日本は海外と異なる免許制度や税制などで車両区分が異なるので単純に比較はできないが、少々不思議に感じる向きもあるだろう。ありていに言えば“はたして売れるのか?”という疑問だ。
じつはカワサキによると、ステップアップで大型二輪免許を取得したが、できるだけ軽量コンパクトなバイクに乗りたいという声が、現在は意外と多いという。それならZ250/Z400やNinja250/Ninja400から乗り換えても、サイズや重量はほぼ変わらずにパワーやトルクに余裕があるZ500/Ninja500が選択肢に上るのではないか。その意味で、新たな市場開拓の実験的な位置づけもあるそうだ。
また少々マニアックかもしれないが、小さなサーキットを走りたい、ジムカーナに適したバイクが欲しいという層にも向けている。
ちなみにアメリカにおける2025年度の速報値では、カワサキがホンダとハーレーダビッドソンを抜いてシェアのトップとなり、その中で一番売れたのがNinja500とのことだ。
走りの満足度を高める、使い切れるパワー
Z500/Ninja500のエンジンは、400系からストロークを延長して451ccに排気量を拡大し、最高出力は48→53PSに、最大トルクは3.8→4.4kgf-mにアップ。はたしてこのスペック、スポーティに走らせるとどうなのか?
「コレで十分でしょう! いや、本格的なレースとかなら、もっと排気量やパワーがあって速いほうが良いのは当然だけど…それを誰もが使いこなして振り回せるかといったら、現実的に難しいでしょ。もちろん100馬力、200馬力のようなスペックは“スゲェのに乗ってるぞ!”っていう楽しさや満足感もあるんだけれど、なかなか使い切れないから。
だけどこのくらいのパワーなら“もっと速く走りたい!”って思いながらバイクの性能を全部使い切っている感じがして良いと思う。
比較的パイプが細いトレリスフレームも、僕がコースで頑張るとヨレヨレな感じもあるんだけれど、普通にスポーツ走行を楽しむならこれくらいのほうが安心感があっていいかな。あまりガチガチだと疲れるし、一般道やツーリングならなおさらでしょ」
振り回せるスーパーネイキッドか、落ち着いたフルカウルツアラーか
Z500とNinja500ではカウリングの有無だけでなく、ワイドなパイプハンドルと少し絞ったクリップオンハンドルの違いがある。また、キャスター角はNinja500が24.5°で、Z500は24.3°とわずかに立っている。この違いは乗り味にどう影響するのだろうか?
「Ninja500はフルカウル装備だけど、フィーリングとしてはスーパースポーツではなくてツアラー的な味付けだね、ハンドリングも落ち着いているし。対するZ500はハンドリングの自由度っていうか、スポーティに振り回せる感触が強い。これはライディングポジションだけの違いじゃないと思う。
個人的にどっちが好きかと聞かれたらZ500かな。じつはNinja500はハンドルを絞っていて身体に近いから、僕の体格だとちょっとだけ窮屈な感じなんで…。でも小柄な人ならNinja500がしっくりくるかもしれない。とは言えこれは、使い方や走る場所でも意見が変わるだろうね(青木宣篤)」
軽量コンパクトで使えるパワーのZ500とNinja500の存在が、新しいバイク選びの基準と楽しみ方を提案しているのかもしれない。
【ライダー:青木宣篤】1971年生まれ。ポケバイ、ミニバイクを経て1989年に史上最年少で国際A級昇格。1993年からWGP250、1997年にWGP500でルーキーオブイヤーを獲得。モトGPにプロトンKRで参戦、スズキのMotoGP開発ライダーとしても活躍し、長年にわたって知見を蓄えてきた。
Kawasaki Z500
主要諸元■全長1995 全幅800 全高1055 軸距1375 シート高785(mm) 車重167kg(装備) ■水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ 451cc 53ps/10000rpm 4.4kg-m/7300rpm 6段リターン 燃料タンク容量14L ■タイヤF =110/70R17 R =150/60R17 ■価格84万7000円
Kawasaki Ninja500
主要諸元■全長1995 全幅730 全高1120 軸距1375 シート高785(mm) 車重171kg(装備) ■水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ 451cc 53ps/10000rpm 4.4kg-m/ 7300rpm 6段リターン 燃料タンク容量14L ■タイヤF =110/70R17 R =150/ 60R17 ■価格89万1000円
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