
三ツ星シェフが心酔する職人の包丁捌きや、稀代の演奏家を心服させるプロデューサーの審美眼。ジャンルは違えど、その道の頂点を極めた者が、同じく妥協なき領域に棲む者の仕事に触れた際、言葉を失い、ただ深く「唸る」瞬間がある。ここに紹介するサンダンスによる“スーパーXR”の最新作が生まれた背景もまた、そうした「プロが惚れ込むプロの仕事」、その典型といえるものだ。
●文/写真:渡辺まこと ●外部リンク:サンダンスエンタープライズ
乗り手の心を捉えて離さないスーパーXR
じつはこのマシン、オーナーは某大手メーカーで辣腕を振るうトップエンジニア。当然、諸般の事情によりその素性は明かせないが、日常的に世界最先端の工学と向き合う人物が、己の理想を具現化するものとして選んだのが、他ならぬスーパーXR。
古典的な空冷エンジンでありながら、圧倒的なパワーとトルク、そして官能的なフィーリングを高次元で両立させている点に何より感銘を受けたとのことだが、件のエンジニア氏によれば「空冷OHV45度Vツインという形式で、なぜこれほどの完全燃焼が果たせるのか」という点や、機械としての完成度の高さこそが驚愕すべき部分だという。
事実、あらゆるエネルギーを路面を蹴る力へと変換する性能をこのマシンは有するが、その副産物として排気音は図太さの中に、静かさすら感じさせるもの。それは爆音で誤魔化す必要のない、純粋な効率の証明に他ならない。
スペックだけでは語れない乗り手の心を捉えて離さないスーパーXRの魔力は、登場から30年を超えてもなお、色褪せるどころかむしろ増大しているように思う。本質を知るプロをも唸らせる──その事実こそが、このマシンの到達した高みを何よりも雄弁に、強く物語る。
車体を取り巻く佇まいは良い意味でカスタムバイクのソレではなく、あえていえばメーカー・クオリティの空気感。軸出力120ps/5200~7000rpm 、トルク13kg-m/4800rpmの性能は伊達ではない。
メーターには視認性に優れたエースウェル製オールインワンを装着し、サンダンス製スリムスタータンクとテールカウルを組み合わせることで、スタイルアップと車体の軽量化を両立するこのマシン。
オイルタンクはサンダンス製のバレルタイプを装着し、灯火類にはキジマ製テールランプと極小型ウインカーをチョイスすることで、すべてに於いて軽量化が果たされる。
心臓部には、左右独立ポートの専用ヘッドとビレットシリンダーで構成されるスーパーXR1200コンプリートモーターを搭載。
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