
「FRPでオリジナル部品を作ってみたい!」・・・なぁんて人は少数派でしょうが、FRPの原型づくりには「油粘土」が個人的にイチオシです。そう、子供のころこねくり回した記憶があるアレです。「完璧じゃなくていい」「まずは手軽に挑戦してみたい」「自分が納得できればそれでOK!」という方には、とても扱いやすい素材なのですよ。FRP工作に興味があるマイノリティな貴殿の参考になればと思い、「油粘土を使った原型づくり」の記録をお届けします~!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
割れたフェンダー復活作戦
今回は、割れて半分になってたフロントフェンダーの復活作戦です。
ヤマハのポッケ用なのですが、なにせ1980年式という古さ以上に、エンジン冷却?のためのスリットがある形状ゆえの破損率の高さ(?)からか、すっかり貴重品なのですよ。
たま~にヤフーオークションに出品されたりもするのですが、目ん玉がちょびっと出てしまうぐらいのお値段だったりして。
しかもね。諸事情により「2つ必要」という事態なので、これはもう自作しかないっしょ?ってことで・・・ン十年振りというFRP工作と相成ったのがことのはじまりなのですよ。
「FRP工作」と言えば・・・①今あるものの追加工(オーバーフェンダーやエアロ)、②割れたFRP補修(サーフボードやタンクやキャンピングカー)、③オリジナル部品製作、④既存部品のコピー制作とまあ、ざっくりこんなものでしょうか?
今回の作業は③と④のハイブリッドになるのですが、④を除けば①~③には「造形工程」があります。造形、つまりは自分の手であたらしいカタチを作るってことですね。
ただでさえ難易度が高い印象のFRP工作、ゼロから形を作るなんてハードル上がりすぎでしょう。そもそもどうやって立体物をデザインするのか? 石膏だったり、スタイロフォームのブロックから削り出したり、発泡ウレタンを吹き付けたりといろいろあるのですが、ちょいとここで「手抜き」をさせていただきます!
油粘土がイチオシの理由
FRP原型の造形で、初めてFRP始めたころから使ってるのがコレ(↓)油粘土です。
油粘土。
そう、幼稚園や小学生低学年ぐらいまで使ってたアレです。机の中の「お道具箱」に入れていて、たまに引っ張り出して遊んでいましたっけか。
この油粘土、溶剤で溶けるとか、硬化しないので積層時に変形するとか、熱に弱いとか、諸々の理由で厳密にはFRPの原型には推奨できるものではありません。以前指摘されたこともあるのですが。
ですが・・・個人的な印象としては、今のところ(まったくと言っていいほど)不具合を感じてないです。いや、正しくはメリットのほうが上回っているから使っている、といったカンジでしょうかね。
とはいえ、完璧を目指す方や、精密な精度が欲しい方、そしてシッカリキッチリ作りたいというガチ勢にはおススメできません。だって、油粘土だもん。子供の手で捏ねることができる知育玩具ですもんね~。
だけど、それゆえにすぐ使えるし、いくらでも再利用ができるし、加工性に優れているのが最大のメリットでもあるのです!
ゲタとベース型で効率化してみた
ハタと気づきました。「これって、油粘土が大量に必要じゃね・・・?」。そうなんですよね。フロントフェンダーは浮いている部品であり、しかも半分になっちゃっているので、水平取ろうにも安定してくれません。それを油粘土の造形で補おうとすると、とんでもない量が必要になってしまうのですよ。てことで。
文明の利器「3Dプリンター」でフェンダーを持ち上げるゲタと、おおまかな形状を作った芯をつくってみました。こんなカンジ(↓)
・・・はいっ! ここでみなさまの心の声を受信いたしました。「そこまですんなら、ハナから3DCADでフロントフェンダーの雌型を作っちゃえば?」
はい、わかります。至極ごもっともなご意見です。当方も最初はそれを思い付きはしたのですが、すぐに却下しました。以下、その理由です。
よくよくみなくても、フロントフェンダーって複雑なアールが入り組んでいるのです。筆者の稚拙な3D-CADスキルでは、とてもじゃないけどモデリングなんかできやしない!
ていうか、そもそも参考にするノーマルフェンダーが手元にないのでスキャニングもできないしで、失った部分はネットの写真から想像で作るしかないのですよ。ってな理由から、ざっくりとした形状にとどめて、あとは指先の動くまま、気の向くまま油粘土で造形してみるのです。
指先が楽しい油粘土造形
じゃっ! さっそく行ってみましょう。開封して取り出した油粘土
あ、今は白なんですね。昔みたいに緑じゃないんだ。
手始めにひねってから捏ねてみると、とても扱いやすい。ひんやりして気持ちのいい感触。ああ、これだコレ!
そして「無臭」って書いてあるけど、本当に驚くほど無臭です。あの鉱物油っぽい臭いがない。ついでに手がヌルヌルしない。予想外の進化に素直に感心します。・・・すごいな!!!
で、本題の造形は至って簡単。
ちぎって、くっつけて、整形するだけ。なんかもうこの時点で「とっても楽しい♪」
あぁ、オレってば油粘土をコネるのが好きだったのか。
童心にかえるどころか、純粋無垢な「カタチを生み出す快楽」がムクムクと蘇ってくる50歳の夏。こりゃ、油粘土工作にはストレス解消やリラックス効果があるんじゃね?って思ってしまいました(←って思ってあとから調べたら本当にそうらしいですね!)
盛り付けて 切って「水」で整える
はじめる前のイメージとしては、油粘土を「盛り付け」してからヘラで「撫でて成形」していくつもりだったのですが、実際にやってみると「削る」、そして余計な部分を「カットしていく」方法が左右バランスとれていいようですね。
そして最終的に表面を整えていく段では、指先に「水」をつけることによって驚くほどなめらかに整形ができました。
そう。「油」粘土って言う割に水に溶けるんですよね~。つけすぎると柔らかくなりすぎてしまいますが、そんな時はティッシュなどでちょいちょい吸い取ってやればヨシ(タオルやウエスだと跡がつきます)。
大まかな形ができてきたら、最後は正面からバランスみながら両手で左右同時にととのえていきます。
ニンゲンの体って面白いもので、両手を同時に動かすと容易にミラーリングしてくれるのね。コレが侮れない。
離型剤良好で雌型完成
ほい、完成!!
「なんとなく」で造形できてしまって、これ以上があるのか?ってぐらいにラクチンでした。
そして、ゲタと型がうまく行きすぎてしまった(?)のか、けっきょく油粘土の一梱包すら使い切りませんでした。粘費(=粘土消費率??)がやたらに良好でした~!
とはいえ、油粘土の原型なので、さぞ変形しやすいかと思いきや・・・
PVAの補強?で強くなった
離型剤(PVA)でコーティングすると表面に膜ができて、想定外の強度がでました。ちょっと押したぐらいじゃ変形しないぐらいに。うん、これなら遠慮なくガラスクロスの積層ができますね~!
ちょっと厚めに積層して、硬化させて、
油粘土はそのままでも離型性に優れている。ぽこっと外れちゃう。
型抜きしたら雌型の出来上がり! ちなみに油粘土はそのままでも離型剤に優れている上に柔らかいので、FRP硬化後はあっさりと取り外すことができます。
まだある油粘土の利便性
油粘土のメリットは続きます。
なにせビギナー作業なのでガラスマット積層時に空気が入って、雌型に穴が複数できたのですが、ここに油粘土を詰め込めば簡易的なパテの役割もはたしてくれます(跡はでますが)
また、雌型のヘリに油粘土を盛り付けておくことで、FRP積層後に抜きやすくする効果も期待できます。
パテのように完全フラットにすることはできませんが、それでもほとんど手間なしで近い仕事をしてくれる油粘土はアレコレ優秀なのですよ。
自由に造形できる快感♪
雌型まで出来ちゃえば、あとはとんとん拍子に進みます。
雌型に離型処理してからガラスマットを積層すれば・・・
ほいっ! ついに半分オリジナル形状のフロントフェンダーができました~!!
とはいえ、油粘土でって以前に直観頼りで鼻歌歌いながら整形したものなので、歪みもあればデザイン的にも純正とは違うものが出来上がりました(当たり前ですが)。
正直なところ、出来上がったフェンダーのクオリティはとりあえず60点? 赤点ギリギリクリアってカンジです。・・・でも、いいのです。プライベーターだから! 歪みも凹みも愛着感でカバーできるのです。それよりも、作ってみなけりゃ成し得なかった「自由に造形できる快感」のほうが圧倒的に勝るのです。
敷居高くてあきらめるよりもとりあえずって形で挑戦できるのがなにより嬉しい。
「FRPでオリジナルパーツを作ってみたい!」って思う人がはたしてどれぐらいいるのかわかりません。きっと少数派と思われますが・・・そんなマイノリティなアナタへ、この「いい加減だけど楽しいやり方」が届きますように。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました~!
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