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販売台数8年連続1位(401cc以上小型二輪部門)と、絶対王者として君臨するカワサキZ900RS。“カッコいいバイク”の象徴と言えるZ1をオマージュしたフォルム、そして直4の咆哮は、ライダーの心を惹きつけてやまない。そんな人気モデルが2026年にフルチェンジ。エンジンや電子制御、ライディングポジションなど各部がアップデートされた。2027年モデルが8月(Black Ballは9月)から発売されたが、基本的な部分はこの2026年モデルと同じ。今回はフルチェンジの是非を、我らが青木宣篤が徹底チェック。2026 Z900RS Black Ball Edition、CAFEの2モデルを斬る!
●文:伊藤康司 ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:カワサキ
大人気バイクが8年目のフルチェンジ。ルックスからは解らない進化とは
──2017年の東京モーターショーで世界初公開されたZ900RS。名車Z1をイメージさせるティーザー動画なども相まって、登場前から鳴り物入り。そして発売後は小型二輪(400cc超)クラスで新車販売台数トップを独走し続ける絶対王者として君臨する。
そのZ900RSが2026年モデルでフルチェンジを敢行。一見するとルックス的にはカラー変更やマイナーチェンジと思しき変化だが、エンジン内部パーツから吸排気系、そして電子制御に至るまで全域で刷新されたのは、2017年の登場以来初めてのことだ。
2026年モデルとしては、フルチェンジを記念したブラックボールエディションとビキニカウル装備のCAFE、そして足周りのグレードアップやドラレコなどを特別装備のSEの3車種をラインナップ。
とは言えルックスも車体構成も前モデルを踏襲…というより堅持するだけに、その変化はいかほどなのか? 熱い走りと豊富な知見を持つライダー青木宜篤が袖ヶ浦フォレストレースウェイを激走して、その真価を語る。
カワサキZ900RS(2026年モデル)
【ライダー:青木宣篤】1971年生まれ。ポケバイ、ミニバイクを経て1989年に史上最年少で国際A級昇格。1993年からWGP250、1997年にWGP500でルーキーオブイヤーを獲得。モトGPにプロトンKRで参戦、スズキのMotoGP開発ライダーとしても活躍し、長年にわたって知見を蓄えてきた。
手を加えた部分がすべてプラスに。特性も電制もとにかく丁寧に進化
最初に答えを言っちゃうと、従来のモデルとルックスは変わらないけれど、中身は“まったく別モノ”に進化している!ってこと。これは正直言って想像していなかったね。
ちなみにここで話すのは、今回のサーキット試乗で最初に乗った、Z900RSブラックボールエディション(以下BB)、次にCAFEの感想です(編注:SEはまた別の記事にてお届け)。
まずはエンジン。試乗前の技術説明で前モデルと新型のトルクカーブの比較図を見せてもらったんだけれど、新型は低中回転のトルクを随分と削っていて“大丈夫かな~?”って思ったんだけれど、それがギクシャク感をキレイに解消してくれている。そして高回転域では本当にスコーッと抜けるような加速をしてくれるセッティングになっているんだ。
エンジン本体はカムシャフトのプロフィールを変えたりクランクのフライホイールマスを軽くしているそうだけど…、フライホイールを軽くすると、大抵は乗りずらくなるんだけどね(笑)、エンブレもギクシャク感が出たりして。ところがそんなマイナスがまったく無くて、プラスにだけ持っていっている、相当に良いですよ、コレは。
Z900RSのエンジンは948ccで、1000ccスーパースポーツよりは少ないけれど、かなり大きいじゃないですか。しかも前型では低速寄りに全振りしたセッティングでしょ。
じつは前モデルに乗った時に、それは感じていたんですよ“ずいぶん下が元気な特性に振っているな~”って。半面、上はそれほどでもないというか、頭打ち感があるというか…。もうひと踏ん張りが無くて、そこは犠牲にしているんだなって。
この特性だと初心者やビッグバイクに慣れていない人だと、ギクシャクというより“ドンつき”に感じちゃうんですよ。アクセル開けるたびに「うわっ、うわっ(汗)」って、怖いのが先に立っちゃう。
アクセルコントロールって意外と難しいじゃないですか。慣れている人は問題ないけれど「少しだけアクセルを開ける」という微調整が難しくて、開けすぎちゃうのがギクシャク感に繋がってしまうから。
とは言えZ900RSって、すごい売れ筋モデルじゃないですか。そういうバイクの特性をイジるのって、メーカーにとってすごく勇気がいることだと思うんです。それをこんなに上手く作り込んでいるのは大きなオススメポイントですよ!
そして電子制御も秀逸。まず新型は電スロ(ETV:電子制御スロットル)装備になった。僕は電スロ化するとワンテンポ遅れてくるようなイメージがあったんだけれど、それが無い! ちゃんと作り込んでますよ!!
【カワサキ Z900RS】主要諸元■全長2100 全幅815 全高1135 軸距1465 シート高820(mm) 車重217㎏(装備) ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 948cc 116ps/9300rpm 10.0㎏-m/7700rpm 6段リターン 燃料タンク容量17L ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/ 55ZR17 ■価格183万7000円
驚くべきは電制の調教
そして電スロ化によってKQS(クイックシフター)が標準装備されたけれど、これがスゴく使える! じつはクイックシフターやオートブリッパーって、ツーリング向けとサーキット向けでは、基本的には設定を変えないとダメなんですよ。「ツーリングで楽するためのシフター」なのか「スポーツ走行でスピーディに走るためのシフター」なのか、本来求めているところが違うから、点火カットの時間とか、燃料カットもするのかとか…。
スポーツ向けなら、強く素早くパシッと操作して、最小限のカットでシフトチェンジできれば良いけれど、ツーリングだと普通に“カチャン”でしょ? これだとシフターが反応しなかったりギヤが入らなかったりするんですよ。ところが新型Z900RSのクイックシフターは、弱くゆっくりの操作でも“大丈夫ですよ、ギヤ送っておきますね”ってやってくれる。そして今回のスポーツ走行みたいにパンパンやっても反応が悪くない。
たとえばZX-10Rのようなスーパースポーツならコースやレースを速く走る前提だから、作りや設定もその方向で良いけれど、Z900RSは街乗りやツーリングが主体とは言えサーキット走行を楽しむ人もいて、使い方の幅がすごく広いじゃないですか。そこに対応するのって、けっこう大変だと思うんですよ。
他にも驚いたのが、ウィリーした時にすごく優しくトトトトトってフロントが下がっていくところ。じつはウィリーコントロールって、けっこう雑にいきなり切れるみたいな感じで強制的にドスンと落とされるバイクも少なくない。ところがZ900RSは優しく“トトトトト…はいダメだよ君”みたいに下がるから、すごく綿密に制御しているんだな~って。
でもZ900RSは特にウィリーコントロールを装備しているワケじゃないようなので、新装備のIMU(慣性計測装置)が車体姿勢をしっかり検出して、トラコンとかがすごく綿密に働いているんでしょうね。
カワサキZ900RS
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