
販売台数8年連続1位(401cc以上小型二輪部門)と、絶対王者として君臨するカワサキZ900RS。“カッコいいバイク”の象徴と言えるZ1をオマージュしたフォルム、そして直4の咆哮は、ライダーの心を惹きつけてやまない。そんな人気モデルが2026年にフルチェンジ。エンジンや電子制御、ライディングポジションなど各部がアップデートされた。2027年モデルも登場したが、基本的な部分はこの2026年モデルと同じ。今回は2026モデルの開発者のインタビューをお届け。なお肩書などはすべて取材当時のものだ。
●文:伊藤康司 ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:カワサキ
Z1はレジェンドではなく「レガシー」
技術管理総括部 電子制御部第一課 高田裕人さん
──まずは2026年のフルチェンジのお話を伺う前に、そもそもZ900RSを世に出した経緯から教えていただけますか?
当時(Z900RS登場前)はカワサキの旧車や中古車が非常に人気で、価格が跳ね上がった時期でもあり、ライダーの皆さんから「欲しくても買えない」という声がありました。そこで社内から、カワサキとして歴史的な名車をもう一度作るべきでは、という話が出たのです。
海外ではZ900が売れており、エンジンのポテンシャルは十分にあるので、そのプラットフォームをベースに、何ができるかを考えました。
ポイントになったのは、やはりZ1への憧れです。とは言え“Z900ベースでZ1なんて作れるワケない、Z2なんて無理だ”という意見が多かったのも事実です。しかし社内にZ1に乗っている社員も大勢おり、自分たちもバイク乗りなので、開発を進めていくことができました。それで出来たのがZ900RSです。
──タイルはもちろん、エンジン特性なども当初から狙いがあったのですか?
ベースのZ900はスーパーネイキッドですが、Z900RSはヘリテージ的な立ち位置ですよね。そのため“目標性能”を設定するのが非常に難しかったんです。
そこでライダーが求める性能はなにかを検討し直し、乗った瞬間に“おっ!”っと思える低速の「インパクト」が欲しいという話になりました。そこで、低速からトルクを繋いでいって、という風にエンジン特性を突き詰めてきました。
──性能目標は達成されたんですよね?
ハイ、ただ少し元気過ぎたかもしれません。低速でのエンジンフィーリングに対するご指摘をいただくこともありましたが、それが原因かもしれません。
──その声を今回のフルチェンジに反映したのですね。最高出力が上昇していますが、数値的な目標があったのですか?
Z900RSを発売したときに、20代や30代の若いライダーからも想像以上に支持いただき、その世代からは「もっと回して走りたい」という要望もありました。そこで、2026年モデルでは高回転域をもっと元気に回るようにしたことで、結果的に最高出力は116PSになっています。
──新型には電子制御スロットル(ETV)やIMUなど電子制御も多数投入していますが、これもユーザーから要望があったのですか?
電子デバイスの投入は時代の流れが大きいですね。クイックシフターやクルーズコントロールは、ユーザーの皆さんからかなり求められるようになったので。
──クイックシフターはテスターの青木宣篤さんもかなり高評価でした。
変速時にショックが出たり空打ちしたりしないように、これまでの経験を活かしながらZ900RSに最適なセッティングで作り込んでいます。
新旧Z900RSのエンジン性能比較
国内モデルは日本専用のライディングポジション
──ハンドルやシートも変更していますが、こちらの改善の意図は?
これもユーザーさんからのもっとポジションをコンパクトにしてほしいという要望が大きいです。そこでナローハンドルとシートで、日本人の体形に合うようにセットアップしました。
──というコトは、従来モデルはグローバル向けの大柄なポジションだった?
いえ、じつは従来モデルもシートは日本向けに設定し、ハンドルも欧州仕様とは異なりました。今回はさらに市場の声に耳を傾け、より快適性を高める形にしました。なのでZ900RSの国内モデルは、日本専用のポジションになっています。
──本当に細かく対応しているんですね。最後に、カワサキにとってZ900RSはどのような存在だと考えられていますか?
カワサキにとって「なくてはならないバイク」ですね。我々の最大の遺産(レガシー)であるZ1をオマージュして本気で作ったバイクですから、今こうして支持されていることを嬉しく思うと同時に、責任も強く感じています。
カワサキアパレルニュース
レーシングスーツでもお馴染みのフランスのバイクアパレルブランドIXONとカワサキのコラボで生まれた「カワサキ|IXON」から、ライディングジャケット2種が登場。いずれもブラックとアンスラサイト(ダークグレー)の2色で、サイズはS/M/L/LL/3L。
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