
最近ではBENDA Motorcycleの導入に向けた動きが話題になった、外国車の輸入販売で知られるウイングフット(東京都足立区)。2024年初夏に英国ブランドBSAの「ゴールドスター」の導入がほぼ確実とのアナウンスがあったが、日本市場への最適化などを経て1年越しに販売が本格化した。
●文/写真:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ウイングフット, BSA(日本語サイト)
50年の眠りから覚めたBSA、復活のファーストモデルがゴールドスター
世界最古クラスの英国ブランド、BSAが再び日本に上陸した。輸入を手掛けるウイングフットが「BSA ゴールドスター」を取り扱い“ほぼ確定”とアナウンスしたのは2024年5月だったが、日本市場への最適化などいくつかのハードルを乗り越え、ついに販売が本格化。すでに20台以上が取扱店やユーザーの元へ旅立ったという。
本国が運営する日本向けBSA公式サイトにはなぜかプライスリストが掲載されていないが、車体色によって異なる価格は122万1000円~135万3000円だ。
以下に新生ゴールドスターの日本上陸第1号の詳細を改めて掲載しよう。
BSAとは、バーミンガム・スモール・アームズ(Birmingham Small Arms)の略で、企業としての創業は1861年までさかのぼる。モーターサイクル部門が設立されたのは1903年、そして最初のプロダクションがリリースされたのは1910年だ。
BSAゴールドスターは1938年から1963年まで製造された、同ブランドの代名詞のようなシングルスポーツだ。当時は世界最速の1台として知られ、350ccまたは500ccの単気筒4ストロークエンジンを搭載。今も名車として多くのユーザーに愛され続けている。
そして時は一気に流れ1973年、BSAは63年間におよぶモーターサイクルの生産を終了し、長き眠りについた。これは主に日本車の攻勢によって多くの英国および欧州ブランドがたどった道と同じだ。
そんなBSAブランドをインド・マヒンドラ社が買収し、子会社としてクラシックレジェンズ社(Classic Legends Pvt. Ltd.)を設立したのは2016年。それから5年を経た2021年に、歴史的ビッグネームである「ゴールドスター」が復活したわけだ。そしてこれが新生BSAの最初の量産モデルということになる。
BSA New GOLD STAR
新しいゴールドスターは、最新の排出ガス規制に適合する水冷DOHC単気筒エンジンを、英国で設計されたというスチール製フレームに搭載。ネオクラシックカテゴリーとしては唯一といっていい“500cc超”のビッグシングル、つまり大排気量の単気筒エンジンを採用しているのが最大の特徴だろう。
この652cc単気筒は、かつてBMWのF650シリーズなどが搭載したロータックス設計のエンジンを基にしているが、シリンダーには冷却フィンが刻まれ、ケースカバーや吸排気系の意匠もクラシカルな雰囲気に改められている。
生産はインドで行われるが、販売されているのは英国をはじめとした欧州西部地域、そしてアジアでフィリピンと日本に導入されている。ちなみに生産国であるインドでは販売されていないが、インドではすでに自転車メーカーがBSAブランドを持っているから、という事情もあるようだ。
ツインが主流のカテゴリーにビッグシングルを投入、さすがの力強さ
撮影(および軽めの試乗)した車両はウイングフットが試験的に輸入した第1号車で、特に日本向けの仕様にはなっていないものだったが、排ガスはクリーンで拍子抜けするほど簡単に検査を通過、登録できてしまったという。
新生ゴールドスターを前にすると、まず目に飛び込んでくるのはやはりビッグサイズの単気筒エンジン。シリンダーにはしっかり冷却効果も得られそうなフィンが存在するものの、冷却方式のメインは水冷だ。
現在のところ、500cc超のクラスで完全なクラシックスタイルの単気筒マシンというのはほかにない。しいていえばハスクバーナのヴィットピレン701があったが、こちらはクラシカル寄りとはいえパフォーマンスシングルであり、さらに最新型は2気筒マシンに置き換えられている。
単気筒エンジンというのは最もシンプルかつバイクの基本。ただ、排気量が大きくなると振動や低速域でのギクシャク感といったネガも出やすく、ゴールドスターではどのように仕上げられているのか気になるところだ。
各部のディテールを見回すと、いい意味で普通。10年以上も前にあったような“インド生産だから”といった生産クオリティの不安は感じさせず、英国スタッフが手掛けたというデザインもよくまとまっている。
サイドカバーに控えめな『GOLD STAR』の文字。元々BSAは銃器を製造する会社だったため3丁の銃がトレードマークになっている。
跨ってみたサイズ感は、ホンダGB350とカワサキW800の中間といったところ。装備重量は213kgあるが、シート高780mmで足着きには安心感があり、それほど重い感じはしない。取り回しでは数値通りの重量感があった。ライディングポジションは旧車の雰囲気に準じたアップライトなもので、タンクへの膝の当たりも自然だ。
エンジンはセル一発で簡単に目覚め、冷えているうちはやや高めの回転を保ちながら単気筒ならではの規則正しいハスキートーンを響かせる。わりと静かだが詰まったような感じはない。丸みのある振動は手元に感じられるものの、652ccと考えれば程よく抑えられていると思う。
最新のアシスト&スリッパークラッチに慣れた方だと少し重く感じるかもしれないクラッチレバーを握り、1速に落とす。シフトタッチには節度感があり(走行中もギヤ抜けなど皆無だった)、クラッチの切れやシフトペダルの剛性感も文句のないレベルだ。
エンジンが少し暖まると回転数は1400rpmあたりで落ち着くが、その前に走り出してもストールする気配はない。アイドリングでクラッチをつないでもスルスルと発進でき、スロットル操作には穏やかに追従する。スロットルを急開するとさすがにグズるものの、普通の操作かつアイドリング回転より低くならなければギクシャクすることもなかった。
力強さが感じられるのは2000rpmからで、街中ではほとんどの場面を3000rpm以下でこなすことができる。そこから4000、5000rpmと回していっても嫌な振動は出ずにトルクが増していき、最高出力45hpを発生する6500rpmを超えて7000rpmあたりまでスムーズに吹け切ってくれる。味わいという点では652cc単気筒という言葉からイメージするほど濃くはないが、ビッグシングルならではのトルクを生かしながら気持ちよく流すことができる特性だ。
このあたり、ロングストロークならではの鼓動感があるロイヤルエンフィールドやホンダの350ccと比べても、2倍近い排気量によるトルク感の違いは明白。ゴールドスターはややショートストローク傾向とはいえ排気量からくる鼓動感があり、中間域での力強さは別ものレベルだった。
インプレといいつつ走行写真がないのは自撮りする技術と機材がなかったため。ご容赦くだせぇ。
扱いやすく従順、カスタムも楽しめそう!
今回は都内一般道のみでのチョイ試乗だったので基本的には街乗りのインプレッションだが、多少はカーブや交差点を曲がった感じもお伝えしたい。
基本的にはニュートラルな特性で、低速域でのブレーキコントロールもしやすい。制動力については慣らしがきちんと済んでいない状態だったのでそこそこだったが、何度か強めに掛けてみたところ当たりがついたようで十分といえるレベルになった。
直進安定性がよく、クルーザーのようなイメージで走らせることも可能。そして曲がるときも難しいことを考える必要はなく、交差点でも多少のカーブでも自然に扱えた。5速のワイドなトランスミッションによって各ギヤの守備範囲は広く、ギヤチェンジに忙しさはない。
ただ、装着してあったピレリ製タイヤ(ファントムスポーツコンプ)はこの車両のおおらかなイメージからすると反応がややシャープ。また、リヤサスペンション(こちらは慣らしが進んでいないせいかも?)やシートにもシットリ感はあまりなく、ちょっと質素な感じは否めないが、カスタムでどうにでもできそうな部分ではある。
※YOUTUBEで「bsa gold star exhaust」と検索するとさまざまなカスタムマフラーのサウンドも聴ける
このほか、ハンドルバーにはUSB端子×2(タイプAおよびタイプC)、左サイドカバー前には12Vアクセサリー端子を備え、最新ガジェットへの電源供給も万全だ。ミラーの視認性は悪くなく、メーターも見やすかった。
クラシカルな車体にビッグシングルという唯一無二の個性を持ち、街乗りやツーリングが得意分野、かつカスタムベースとしても楽しめそうな新生BSAゴールドスター。ニッチ好きが楽しめる1台になりそうだ。
BSA New GOLD STAR
BSA New GOLD STAR
BSA GOLD STAR スペックとスタイリング
主要諸元■軸距1425mm シート高780mm 車重213kg(装備)■水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 652cc 45ps/6500rpm 5.61kg-m/4000rpm 変速機5段 燃料タンク容量12L(WMTCモード燃費24.99km/L)■タイヤサイズF=100/90-18 R=150/70R17 ※諸元は英国仕様
●価格:シルバーシーン-レガシーエディション=135万3000円/インシグニアレッド、ドーンシルバー、ミッドナイトブラック=127万6000円/ハイランドグリーン=122万1000円
BSA GOLD STAR ※写真はハイランドグリーン
BSA GOLD STAR ※写真はハイランドグリーン
BSA GOLD STAR ※写真はハイランドグリーン
BSA GOLD STAR ※写真はハイランドグリーン
各部のディテール
BSA New GOLD STAR
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(BSA)
充実してきた普通二輪クラスの輸入モデル この記事で取り上げるのは、日本に本格上陸を果たす注目の輸入ネオクラシックモデルばかりだ。それが、中国のVツインクルーザー「ベンダ ナポレオンボブ250」、英国老[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
低中回転域とリヤブレーキがスムーズな走りにつながる 新生BSAのゴールドスターは、ビッグシングルエンジンを搭載した新型ネオクラシックモデル。レースではこれまで単気筒エンジンばかり操縦してきたので、そも[…]
BSA復活を世界の二輪市場に知らせる2台の新型車 BSAブランドが再び動き出したのは2016年。自動車や二輪車、物流や不動産など多角的に事業を展開するインド/マヒンドラ・グループが、新たに起ち上げたク[…]
世界のバイクメーカーをビビらせた初のアドベンチャーモデル オールドファンならご存じのBSAはかつてイギリスで旋風を巻き起こしたバイクメーカー。ですが、1973年には一旦その幕を下ろし、2016年にイン[…]
最新の関連記事(新型バイク(外国車/輸入車) | 新型ヘリテイジ/ネオクラシック)
軽くて足つき抜群の相棒バイク 「バイクに乗りたいけれど、重くて取り回しが不安」「ちょっとコンビニに行くのに大型バイクを出すのは面倒」。そんな不満を感じたことはないだろうか。重いバイクは所有感を満たして[…]
4/4:ドゥカティ「スクランブラー・ナイトシフト・エメラルド」 ドゥカティの人気ネオクラシックモデルに、都会の夜を彩る新色「スクランブラー・ナイトシフト・エメラルド」が追加され、4月4日に発売となる。[…]
憧れのレトロバイク、でも「維持費」と「トラブル」が心配…そんな悩みを一掃する新星が登場 大型バイクは重くて車検も面倒。かといって中古のレトロバイクは故障が怖いし、維持費も馬鹿にならない。そんな悩みを抱[…]
ロイヤルエンフィールドのDNAを具現化した、2台の記念碑的モデル 「CLASSIC 650 125TH YEAR ANNIVERSARY SPECIAL EDITION(125周年スペシャル‧エディシ[…]
画一性を嫌うライダーに向けたアーバン・カフェレーサー ドゥカティはネオクラシックを体現し、時代を超越した魅力を持つ「Formula 73」を発表した。デスモドロミック機構を初搭載した1970年代の「7[…]
人気記事ランキング(全体)
ツーリング仕様の「後付け感」や「ゴチャゴチャ感」を美しく解決 スクーターに快適性を求めてあれこれパーツを追加すると、ハンドル周りがゴチャつきがち。スマホホルダーにUSB電源、そして今やツーリングの必須[…]
憧れのビッグバイクに普通自動二輪免許で乗れてしまう 憧れのビッグバイクに普通自動二輪免許で乗れてしまう、そんな夢のような試乗会があることを知っているかな? その名も「那須MSLステップアップ試乗会」だ[…]
安心・安全なツーリングに役立つ最新式アイテム 風を切って走るのが心地よい、ツーリングに最適な季節がやってきた。お気に入りの愛車で遠出をする計画を立てているライダーも多いはずだ。しかし、見知らぬ土地の道[…]
モンキーを中心に4ミニが560台超も集まる 新緑の香りが心地よく残る東京サマーランドの特設会場。今年もこの場所に、日本全国から規格外の情熱を持ったミニバイクたちが集結した。熱いモンキー愛を持つオーナー[…]
バイクを降りた後も自然に過ごせるカジュアルなアウターが欲しい ツーリング先での街並み散策や、お気に入りのカフェでの休憩時。いかにもバイク用といったデザインのウエアでは、周りの風景から浮いてしまうと悩む[…]
最新の投稿記事(全体)
2026モデルのYZF-R3は3色ともカラーリングをリニューアル! 2026年モデルのYZF-R25/R3は、カラーリングを全面刷新。2026年モデルのYZF-Rシリーズの共通イメージを纏う「ディープ[…]
曲面にもフィットする軟質ベースを採用 ハイエースや軽バンなど、トランポとして活躍する車両のダッシュボードは平面が少なく、吸盤タイプのスマホホルダーが取り付けにくいケースがある。 星光産業の「EXEA […]
昔風の硬派なルックス、中身は超絶フレンドリー CB1000 HORNETをベースに開発され、ʼ25年11月にデビュー(SEはʼ26年1月)したのが、かつてのCB750Fを思わせる外観が与えられたCB1[…]
注目は「メッシュ×オンライン」の融合! 新通信方式『B+FLEX』がもたらすストレスフリーな世界 今回のトピックは何と言っても、先行して発表されたプレミアム最上位機種「B+COM 7X EVO」に続き[…]
フッ軽親子。インカムで話しながらのツーリング!GOOD JOB! とにかく、気持ち良すぎました!!!最高なバイク日和。 今回は父もともに出発。 朝7時に集まり07:30までには出ようと話していたのに、[…]
































































