
5月26日からはじまった2025年のマン島TTは、史上2回目となるシニアTT中止によって幕を閉じた。シニアTTが中止されたのは2012年以来。朝から降っていた雨も上がり路面が乾いていたものの、強風による危険が生じたことが理由だ。
●文/写真:ヤングマシン編集部(山下剛)
スーパーストックTTではCBR1000RR-Rが勝利
シニアTTの中止によって、2025年のマン島TTは6月6日に行われた、スーパーストックTTレース2、サイドカーTTレース2、スーパーツインTTレース2の3レースが最終となった。
スーパーストックTTレース2では、ディーン・ハリソン選手(CBR1000RR-R)がレース1に続いて勝利してこのクラスを制覇。サイドカーTTもレース1と同じ顔ぶれが表彰台に上がり、ライアン選手とカラム選手のクロウ兄弟(ホンダ LCR)がTT4連覇を果たした。スーパーツインTTレース2では、パトン S1-Rを走らせたマイケル・ダンロップ選手が2位に26.775秒差をつける圧倒的な速さで勝ち、TT通算勝利数を33に伸ばした。
多彩なマシンが出場することで注目のスーパースポーツTTレース2(6月4日)は、レース1を制したマイケル・ダンロップ選手(パニガーレV2)が連覇。ダンロップ選手はこのクラスで8連勝、通算15勝目を挙げ、その地位を確固たるものとしている。
マン島TT 2025 スーパースポーツTTレース2結果(10位まで)
順位 | ゼッケン | ライダー | マシン | タイム(3周) | 平均速度(mph) |
1 | 6 | マイケル・ ダンロップ | Ducati Panigale V-Twin 955 | 01:11:29.191 | 126.670mph |
2 | 3 | ディーン・ ハリソン | Honda CBR600RR | 01:11:55.372 | 125.902mph |
3 | 8 | デイビー・ トッド | Honda CBR600RR | 01:12:11.226 | 125.441mph |
4 | 1 | ポール・ ジョーダン | Honda CBR600RR | 01:12:49.232 | 124.350mph |
5 | 16 | ジェイムズ・ ハインド | Suzuki GSX-R750 | 01:12:52.316 | 124.262mph |
6 | 7 | ジョシュ・ ブルックス | Honda CBR600RR | 01:13:01.532 | 124.000mph |
7 | 9 | マイク・ ブラウン | Yamaha YZF-R6 | 01:13:23.794 | 123.374mph |
8 | 13 | ドミニク・ ハーバートソン | Ducati Panigale V-Twin 955 | 01:13:25.136 | 123.336mph |
9 | 12 | イアン・ ハッチンソン | Yamaha YZF-R6 | 01:13:34.682 | 123.069mph |
10 | 18 | マイケル・ エバンス | Triumph Street Triple 765RS | 01:13:39.168 | 122.944mph |
今年のマン島TTは予選ウィークから天候に翻弄された。予選はほぼ半分が中止となり、決勝レースも最高峰クラスのシニアTTが中止。昨年も悪天候に見舞われたが、今年はそれ以上の混乱の中でレースが続いた。1周60kmに及ぶスネーフェルマウンテンコースは、市街地が晴れていても山間部が雨や強風といったことがめずらしくなく、逆もまた然りだ。
最終日の今日もスタート/フィニッシュとなるグランドスタンド周辺では昼すぎに雨がやみ、路面も完全なドライになっていた。しかし山間部で強風が止まず、走行中のマシンの挙動に悪影響がおよぶことから、主催者はやむなく中止の判断を下したのだった。
最後にあらためて全レースの優勝者を挙げて、2025年マン島TTのレポートを終わりにしよう。
レース(開催月日) | ライダー | マシン |
スーパーバイクTT(6/2) | デイビー・トッド | BMW M1000RR |
スーパースポーツTTレース2(6/2) | マイケル・ダンロップ | ドゥカティ・パニガーレV2 |
サイドカーTTレース1(6/2) | ライアン・クロウ /カラム・クロウ | ホンダLCR |
スーパーツインTTレース1(6/3) | マイケル・ダンロップ | パトン S1-R |
スーパーストックTTレース1(6/3) | ディーン・ハリソン | ホンダ・CBR1000RR-R |
スーパースポーツTTレース2(6/4) | マイケル・ダンロップ | ドゥカティ・パニガーレV2 |
サイドカーTTレース1(6/6) | ライアン・クロウ /カラム・クロウ | ホンダLCR |
スーパーストックTTレース2(6/6) | ディーン・ハリソン | ホンダ・CBR1000RR-R |
スーパーツインTTレース2(6/6) | マイケル・ダンロップ | パトン S1-R |
デイビー・トッド選手(BMW M1000RR)
マイケル・ダンロップ選手(ドゥカティ・パニガーレV2)
ライアン・クロウ選手/カラム・クロウ選手(ホンダLCR)
マイケル・ダンロップ選手(パトン S1-R)
ディーン・ハリソン選手(ホンダ・CBR1000RR-R)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(レース)
ウエットレースで痛恨の転倒 2025年5月24日・25日に宮城県スポーツランドSUGOで開催された全日本ロードレース第2戦、SUPERBIKE in SUGO。JSB1000以外のクラスにとってはこれ[…]
難しい路面状況を利用して前に出る 悔しい開幕戦の途中リタイアから約1か月、全日本ロードレースの第2戦が5月下旬、宮城県のスポーツランドSUGOで行われた。 第1戦のモビリティリゾートもてぎでは序盤5周[…]
7回目のTTで平均速度175km/h超え 2017年からマン島TTに参戦し、今年で7回目のTTを迎えた山中選手はスーパーツインTT(650~700cc2気筒)に出場。6月3日に行われたレース1(3周を[…]
水野涼は転倒負傷、鈴鹿8耐に間に合うか?! アッという間に6月ですなぁ。鈴鹿8耐に参戦するチームは、今週、来週のテストに向けて準備に追われているところです。全日本ロードレース選手権は、まだ2戦しか終わ[…]
終始トップ争いを展開し、2位に50秒以上の差をつけてチェッカー! 4番グリッドからスタートしたF.C.C. TSR Honda Franceは、「集中力を保ち、慎重な走行を重ね、難しいコンディション下[…]
最新の関連記事(モトGP)
ヨーロッパラウンドで欧州勢が本調子に MotoGP第8戦イギリスGPが行われた週末は、「モータースポーツ・ウィークエンド」で、なんだか忙しい日々でした(笑)。まずはMotoGPですが、娘がモータースポ[…]
運を味方につけたザルコの勝利 天候に翻弄されまくったMotoGP第6戦フランスGP。ややこしいスタートになったのでざっくり説明しておくと、決勝スタート直前のウォームアップ走行がウエット路面になり、全員[…]
地元ライダーの大活躍で盛り上がったフランスGP MotoGPは第6戦フランスGP、第7戦イギリスGPを終えています。フランスGPはめちゃくちゃお客さんが入っていましたね! ヨーロッパに住んでいる僕の感[…]
ベストソーシャルメディアアクティベーション賞を獲得したSNS投稿 まず体制発表会の前にピンクフロイドの『狂気』からインスパイアされたジャケットをアップ。『狂気』の原題、“THE DARK SIDE O[…]
MotoGPライダー使用率No.1は大谷翔平ともコラボしたあのメーカー 新緑が眩しい5月から6月にかけては1年でもっとも過ごしやすい季節だといわれますが、実はこの時期、晴天時の紫外線の強さは真夏とほと[…]
人気記事ランキング(全体)
オートマ・AMT&ベルトドライブ採用の250ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収めることでも知られる、中国・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが[…]
懐かしのスタイルに最新技術をフル投入! 2025年3月の東京モーターサイクルショーで詳細が発表されたヨシムラヘリテージパーツプロジェクト。対象機種は油冷GSX-R750とカワサキZ1となっており、GS[…]
K-2439 フルメッシュロングジャケット:スタイルと機能を両立するツーリングジャケット 腰までしっかりと覆う安心感のあるロング丈でありながら、後襟から袖口へ流れるように入ったラインデザインと、ウエス[…]
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
機能豊富なマルチパーパスフルフェイスのシールドを外した、さらに身軽なフォルム 『TOUR-CROSS V』は、アライヘルメットが’23年6月に発売したマルチパーパスヘルメットだ。高速走行時の空気抵抗を[…]
最新の投稿記事(全体)
4Gで安心を提供する最新スマートモニター 「AIO-6シリーズ」は、従来のバイク用ナビゲーションシステムが「道案内」や「車載モニター」に限定されていたのに対し、4G通信技術を搭載している点が最大の特長[…]
アウトドアレジャーに適した人気の原付二種 「スーパーカブ」シリーズの中で究極のアウトドアマシンとして支持されてきた“ハンターカブ”の名を受け継いだHonda CT125 ハンターカブ。2020年6月2[…]
履きやすさそのままに雨天時の不快を防ぐ機能満載 「MT074WP」はダイヤル式ライディングシューズ「MT074」の派生モデルだ。履きやすさはそのままに、メッシュライニングの下に建物の外壁や屋根にも使用[…]
遂に50ccクラスへ足がかりをつくる! 1980年にドイツのIFMA(ケルンショー)で、カワサキがAR50/80とオフロード車のAE50/80を発表したとき、世界のバイクメーカーに衝撃が走った。 なぜ[…]
「背肩シート・セットで蒸れんゾ・インテグラ―レ」とは? これまで多くのライダーが夏の「熱」や「蒸れ」に対して様々な対策を講じてきた。高機能なインナーウェア、メッシュ構造のジャケット、あるいは空調ウェア[…]
- 1
- 2