
「さぁツーリング行くぞ! 遠出するし、タイヤの空気圧は・・・高めに入れときゃオッケーでしょ。」なんてこと、ありませんか? 実はそれ、ルートによっては危険なことになるかもしれません。タイヤの空気圧の見落としがちなリスクとその対策について、オジサンライダーの経験談を語らせてください~!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
空気圧のチェック。「適正圧」には意味がある
タイヤの空気圧管理、ちゃんとやってますか? この「ちゃんと」管理ってとこに、実は落とし穴があるんですよね~。たとえば、空気圧が低いとグリップ力が低下したり、タイヤの変形で本来のコーナリング性能が発揮できなかったり、高速道路での走行時にタイヤが波打つ現象「スタンディングウェーブ現象(最悪バーストする現象)」を起こしたりと、低圧におけるデメリットは有名な話です。
ですが、空気圧が「高い」時のデメリットはどうでしょうか? タイヤの空気は自然に抜けていきます。それゆえに定期的なタイヤ空気圧のチェックが必要になるのですが、それが面倒だからと「空気を多めに入れちゃえ~」という対策をする方もいらっしゃることでしょう。
これは街中を通勤したり通学したり買い物したりといった、日常使いならそれほど問題にならないのですが、いざツーリングとなるとちょっと事情が変わってくるのです。それは・・・「気圧」です!
標高が上がると空気圧も上がる!
タイヤの空気圧というのは、それ単体で決まっているわけではありません。実は、「大気圧」との相対的なバランスで成り立っているのです。つまり、場所が変われば空気圧も変わる。とくに標高が高くなるような場所では、その変化が如実に現れます。
ツーリングでは山道を走ることもありますよね。そういう時、タイヤの空気圧は「上がる」方向に変化します。それはなぜかというと、標高が上がる→大気圧が下がる→タイヤの内圧が相対的に「高くなる」・・・という仕組みなんです。じつはそれが、危険なリスクになることもあるのですよ。
【実録】乗鞍スカイラインでスッ転んだ思い出
ここで、実際に筆者(=私)が経験したタイヤの空気圧管理の失敗談を語らせてください。あれは(かなり)昔のこと。キャンプを含むロングツーリングをしていた時に、荷物が多かったので、タイヤの空気圧を少し高めに設定していました。あれは乗鞍スカイラインだったと思います(昔はバイクも走れました)。
最初は快調に走っていて、標高が高くなるにつれて眺望が開けて、目の前に景色にワクワクしながら走っていました。それが、標高が上がるにつれて徐々に違和感を覚え始めたのです。
最初は「路面が荒れているのかな?」という、ガタガタ感を感じるところから始まって、「なんかハンドリング軽くなったね?」とコーナリング時の変化へ。そして、「なんか怖い!」という、タイヤ接地感の低下になっていきました。
そして、下りに差しかかったコーナーで「あっ」と思った時にはスコーン!と転倒していて、荷物をぶちまけてしまったのです。まるで氷に乗ったような感覚。スリップを立て直す余裕もなく、一気に地面に叩きつけられました。
まさか夏場に路面が凍結してるはずもなく、「高地の涼しさと乾いたアスファルトの影響で、タイヤが冷えすぎたのか?」と触ってみたら、あきらかに異常なまでにパンパンになってることに気づいたのです。
見たことのないタイヤの張り! 触っただけでわかる高圧力になっていました。
今にも爆発しそうな気がして、そりゃもう急いで空気を抜きましたよ。キャップを緩めてバルブを爪で押すと、勢いよく空気が出るわ、出るわ。みるみる萎んでいくタイヤがとんでもない圧力だった事を教えてくれているようでゾッとしてたのを今でも思い出します。
下山してガソリンスタンドで給油ついでに空気を入れ直したとき、お店のおっちゃんに事のあらましを話したら、「高地では空気圧がハネあがるんだよ」と大笑いされたのは、今となってはいい思い出です。
ツーリングは空気圧チェックを忘れずに!
乗鞍スカイラインは極端な例だとしても、富士山や山中湖、志賀草津高原ルート、ビーナスラインや箱根などなど、標高が1000mも超えればタイヤの空気圧は変化します。
荷物の多さや二人乗りなど、「適正」な空気圧は変わりますが、そこにツーリングルートも考慮のひとつに入れてみてください。せっかくの絶景も、ハンドリングが不安定だったら楽しめないですからね~!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
旧車の開発に使われた”鉱物油”にこだわる 1992年に創業した絶版車ディーラーのパイオニア・ウエマツ。販売だけでなく、整備にも徹底して力を注いできた同社がそのノウハウをフィードバックし、旧車に特化した[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」、今回は大ヒット街道まっしぐら、女性人気も高いホンダ「レブル250(S[…]
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
創業60年以上の老舗メーカーの強力アルカリクリーナーに注目 モータリゼーションの先進国・アメリカでは早くから洗車やディテーリング産業が確立しており、より短時間で効率よく愛車を輝かせるためのケミカル製品[…]
最新の関連記事(ツーリング)
「ETC専用化等のロードマップ」の現状 2020年に国土交通省が発表した「ETC専用化等のロードマップ」。その名の通り、高速道路の料金所をETC専用化にするための計画書だ。これによると、ETC専用化は[…]
房総半島の意外な魅力「素掘りトンネル」 東京から小一時間で行けるのに意外と秘境感あふれる千葉・房総半島。ここには味わい深い素掘りのトンネルが多数存在する。そんな異次元空間を求めて、半日だけショートツー[…]
2年に一度、世界各国から勝ちぬいたGSライダーが競う祭典への道 BMWモトラッドは、「インターナショナルGSトロフィー2026」に出場する日本代表選手を決定する国内選考会を2025年10月11日(土)[…]
いまも動き続ける伊豆半島。地形も人の営みもつくった 伊豆半島の「田方(たがた)平野」という地名は、当地を訪れるツーリングライダーにどれぐらい認知されているだろうか。ちなみに筆者は知りませんでした(爆)[…]
犬吠埼を目指し、走景に染まるハーレー乗り かつてはハーレーは、乗り手を育てる乗り物だった。走っている途中で不調を訴え、時には急に呼吸を止めたりもした。だから乗り手は路肩にバイクを寄せ、工具を片手に処置[…]
人気記事ランキング(全体)
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
その姿、まるでGB400TT MkIIの正統後継者! 欧州ホンダは、2025年も例年通りカスタムコンテスを開催。これは正規ディーラーがホンダ車をベースにカスタムを手がけ、オンライン投票で最優秀マシンを[…]
圧倒的に軽いCB1000Fコンセプト。足着き性も良好だ CB1000FコンセプトをCB1300スーパーフォアと比較すると、前者の方がコンパクトで引き起こしも圧倒的にラク。ただ跨ってみると意外と大柄な印[…]
フェイスリフトと前後サスペンションの再設定 ホンダが「XL750トランザルプ」の国内2025年モデルを発売する。CB750ホーネットに似た2眼ヘッドライトを新たに採用し、センターダクトを設けたウインド[…]
最新の投稿記事(全体)
1位:CB400FOURは前期型→後期I型/II型でなにがちがう? 1974年に初登場したホンダCB400フォアは、初代とそれ以降でなにが違うのかを紹介した。ご存じ初代モデルは全車408ccのために発[…]
“Neo Retro”ロードスポーツ:2016年モデル 発売は2016年4月15日。現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロ[…]
2003年モデル概要:MotoGP直系の先進技術を取り入れたSSとして登場 2003年当時、最先端のMotoGPマシンだった「RC211V」で培った先進技術とスタイリングを随所に取り入れ開発された。初[…]
歴史的な価値のあるパーツに使われることが多いマグリコート ホイールやエンジンカバー、といっても一般的な市販モデルではなく、アフターマーケットパーツやレース用のホイールやカバー類に使われることの多い、マ[…]
ネオクラシックながら”新しさ”で対抗 ヘリテージやネオクラシックと呼ばれるカテゴリーで、登場以来絶対的な人気を誇るカワサキのZ900RSシリーズ。現代スポーツネイキッドをベースに、名車Z1を絶妙にアレ[…]
- 1
- 2