
ハーレーダビッドソン唯一の中型免許で乗れるX350。純正のサスペンションはストリートでは申し分ない。ワインディングでも想像以上に良い動きをし、しっかりと踏ん張ってくれる。しかし、サーキットへ持ち込み、タイムをコンマ1秒以下の単位で削っていく作業をしていくと、「もう少し」「ここがこうなってくれたら」などと不満が出てくるのだ。そこでオンロード/オフロード用サスペンションカスタムの代表格とも言えるテクニクスでX350の足まわりをモディファイしてもらった。
ナイトロン:サーキット走行に向けたサスペンションカスタム
X350のサーキット走行で最初に困ったのがバンク角のなさだ。足つきは良いが、車高が低く、ステップやせっかく交換したモリワキ製のサイレンサーを擦ってしまう。
純正サスペンションのプリロードを強くかけ、姿勢をケツ上がりにして曲がりやすくし、ダンパーも目いっぱいかけたことで、バンク中に擦りにくくなった。しかし、純正のセッティング幅の限界に達し、沈み込みを体感できない、ガチガチで不安定な仕様になってしまった。
このままではいつか破綻し、転倒することが目に見えている。そこで好みの仕様に変更でき、細かなセッティングにできるナイトロンの導入を決意。店頭にて自分仕様のサスペンション製作を相談することにした。
まずは純正と同様の長さ/バネレートのナイトロン製リヤショックを預かり、サーキットに持ち込んだ。自分の身体を新たなサスに合わせるための慣らしと動きを把握するため、しばらくは何もいじらずに走行。その後に車高を上げ、プリロードとダンパーの調整をする。結果、バネとダンパーをもっと固くした方が良い、と言う結論に達し、再度作り直してもらうことになった。
さらに、フロントサスペンションの内部をテクニクスの高性能カートリッジに変更してもらった。ダンパーがストロークを制御し、コーナー時にブレーキをしっかりと残したまま不安なくバンクができるようになった。
一方でリヤは、スプリングとダンパーを強化したことで、コーナリングから加速までの加重変化をしっかりと感じつつスロットル操作をできるように。こちらでも安心感が増し、高いスピード域でのコーナリングを試したくなったほどだ。
より自分好みで安心でき、自分を次のステップに誘ってくれるサスペンションカスタムを広くおすすめしたい。
イギリス生まれ、日本で組み立てた高性能リヤサスペンション
【NITRON NTR R1シリーズ】1997年に英国で創業し、2005年に日本上陸。国内外の2輪4輪レースで活躍している。日本ではテストライダーがしっかり乗り込んだ上で仕様を決め、製品化。別体式タンク/油圧プリロード仕様など必要に応じて仕様変更、オーバーホールも可能だ。X350用(編集部特別仕様開発中・ナイトロンジャパンに相談を)
テクニクス:アウター/インナーチューブは純正のまま中身を一新し、より優れた性能に進化
【TECHNIX TASC(Technix Advanced Smart Cartridge)】内部のみを高性能カートリッジに変更することで、安価に高性能なフロントサスペンションを手に入れることができる。プリロード、伸び側/圧側のダンパーを簡単に調整する機能が備わっているので、自分の好みの動きにしたり、走るシチュエーションに合わせてのセッティングが可能に。X350用(編集部特別仕様開発中・テクニクスに相談を)
ナイトロンにはハーレー用ラインナップも。ナイトスターRH975用は4種類から選択が可能。写真はSTEALTH TWIN R3 Series。ピギーバックタイプの別体式タンクで、フルアジャスタブル(23万9800円)。店頭で試乗体感も可能だ。22年式以降のローライダーST用や空冷スポーツスター用などをラインナップしている。
ジャパンクオリティを生み出すテクニクススペシャルファクトリー
【テクニクス(Technix)】●住所:埼玉県春日部市下柳43−1 ●電話:048-795-4423 ●URL:https://technix.jp
テクニクスの工場でひとつひとつを検品し、日本人ライダーに合わせて組み立てられている。ナイトロンではこれを「JAPAN QUALITY」方式とし、すべてのサスペンションに採用。レースはもちろん、ストリート/2人乗り/ローダウンなど細かな相談にも応じてくれる。
ハイパープロ:ふだんはしっとり。スポーツ時に奥で踏ん張るコンスタントライジングレートがX350にグッド!
X350のサスペンションはサスペンションの長さ/ストローク量/取り付け方法が複雑に絡み合い、プリロードを少しかけるだけで、上下の動きを感じにくい硬いフィーリングのサスペンションになってしまう。ハイパープロは、独自に考案された不等ピッチで巻かれたスプリングが、ストリートで走る分には柔らかく、スポーツラインディングではしっかりと硬く踏ん張るという、不思議なサスペンションだ。
【HYPERPRO モノショックエマルジョンボディー】オランダ生まれのシルキーな乗り味が特徴のサスペンションで、アクティブが日本人に合わせた乗り心地にセッティング。X350用はプリロード/リバウンド/車高調整が可能。フロントスプリングをセットしたストリートボックス/ローダウンスプリングもある。 ●価格:13万6400円
カフェレーサー職人抹茶いぬのハイパープロインプレ
「独自のスプリングがストリートでは穏やかに路面のギャップを吸収。サーキットではしっかり踏ん張るので、ひとつの理想形ですね。他社のスプリングでは再現できない唯一無二的存在。減衰も1クリックの変化が分かりやすく、触って試して調整を楽しめます」
抹茶いぬもX350を購入! レースに向け着々とモディファイ中。彼が勤めるモトロマンの顧客からの注文で制作したX350。何度もセッティングのために乗り、さらに編集部が楽しむ様に感化され、自分用のマシンを購入。セパハン&バックステップとカフェレーサー仕様にカスタム。サーキットだけでなくストリートも楽しんでいる。
トライジャ×YSS:いち早くレースシーンへ投入。筑波職人好みのサーキット特化型サスペンション
X350でサーキットに、そしてレースに出たいと編集部が考え始める前から実践していたのは、ハーレーダビッドソンジャパンに属する宮中氏。さまざまなレースに参戦し続け、2023年の筑波ロードレースJP250ではシリーズチャンピオンに輝くなど、実績を持つ選手だ。2024年の筑波TTでは、彼のオーダーで製作されたトライジャオリジナルのYSSサスペンションを装着。そこで得たデータを元に開発されたレース仕様品が発売した!
【YSSサスペンションX350専用TRIJYAオリジナル レース仕様】YSSは1983年にタイで創業し、アジアを中心にバイクメーカーの純正サスとして採用されてきた実績を持つ。近年はレースでも活躍している。X350用はプリロード/伸側減衰調整/車高調整が可能。純正比乗車時シート高-3cmのローダウン仕様もあり(8万3600円)。●価格:9万4600円
純正よりも全長が伸び車高アップ。筑波を知り尽くす宮中氏のインプレ
「純正は足つき重視でバンク角が不足。全長を伸ばしたいと考えていました。そんな折、トライジャ様のYSS製ローダウンリヤサスを発見。特別にアイボルトを長いものに変更し装着したところ、長さとは関係なくリアの不安な挙動がなくなり、安心して走れるように」
YSSとトライジャが共同開発。レースでテストし、さらなる高みへ。すでにトライジャが販売していたYSSローダウンサスをベースに、長いエンドアイへ交換したレース仕様品。全長は純正よりも19mm伸び、さらに10mm長く調整できる。宮中氏は「リアが上がることで、キャスターが立ち、1次旋回がとても良くなり、好みの車体姿勢になった」と語る。
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