
現行ラインナップには存在しなくなった魅力的なハーレーたち。同じ名前を冠していても、スタイルや搭載エンジンはその時代によって違う。この企画では、そんな過去の魅力的な車両をレッドバロンの豊富な中古在庫車からピックアップし、そのヒストリーに迫る。
●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:栗田 晃 ●外部リンク:レッドバロン
シンプルな装いの中に強烈な個性も持ち合わせる
初代誕生は1957年と、じつに66年も昔のこと。ビッグツインモデルととともに、長きにわたりハーレーのラインナップに欠かせないシリーズとして人気を博してきたXLスポーツスターは、2022年式をもって絶版となったことで、ますます中古車市場で注目を集めている。
今回紹介するのは、アイアン883。その排気量から“パパサン”と親しまれた伝統の系譜で、容量12.5Lの燃料タンクや、フロント19/リア16インチの足回りはスポーツスターらしいトラディショナルな装い。これぞスタンダードといえる普遍的なフォルムが目を惹く。
ハーレーの次世代スポーツモデルがフルモデルチェンジされ、心臓部を水冷60度Vツインに刷新したことで、古くからのファンらにますます人気が高まりつつある空冷XLスポーツスター。なかでも、トラディショナルなフォルムのアイアン883は引く手あまただ。
全身をブラックアウトしたダークカスタムを施したXL883Nがデビューしたのは、2010年。足つき性を考慮し、前後サスペンションをローダウン。低く身構えるとともに、フォークブーツを備えるなどし、新潮流だったネオレトロなテイストをいち早く盛り込んでいた。
取り回ししやすいなど扱いやすさに磨きをかけ、女性ライダーやビギナー層にも支持される一方で、ショック長のストロークを犠牲にしたことが、衝撃吸収性の限界を低くし、コンフォート性や運動性能を下げてしまった。撮影車両はプレミアムライド・エマルジョンサスペンションを標準装備し、快適性やスポーツ性能が向上した2017年式。タックロールのソロシートやラウンド型エアクリーナーなど専用パーツを備えるとともに、9本スポークのキャストホイールはアルミ地を見せて、黒とのコンストラクトを際立たせている。
ニューモデル発表会で「履き込んだデニムのように、汚れがそのまま味わいになる」と担当デザイナーが話していたことが、今も記憶に鮮明だ。
ヘッドライトバイザー/シンプルなソロシート/軽快なショートフェンダー/テールライト一体式のウインカーなど、余計な装飾を排したスタイリッシュさで、飽きが来ない。また、ミッドコントロールのステップや、純正カスタムパーツとして設定されていたプレミアムライドエマルジョンサスペンションを標準装備したことで、スポーツ性能も高くなった。扱いやすさからビギナーや女性に好評を博しつつ、上級者も成熟されたハンドリングやロングストロークならではのトルクフィールに唸った。
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