
ハーレーダビッドソンの2023年モデルをまるごと紹介。今回は、世間を騒がせているかつてのパパサンの役割を担うモデル、ナイトスターとナイトスタースペシャルを試乗した。
●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:磯部孝夫 ●外部リンク:ハーレーダビッドソンジャパン
ナイトスタースペシャル:オールマイティさで“パパサン”後継へ!
見た目の通り軽快感があり、アグレッシブな走りを堪能できる。その一方で、車体は絶えず安定したまま落ち着いて動く。フロント19インチらしいおおらかなハンドリングで、唐突に切れ込んだり、不意に挙動が乱れて収束できないという不安も感じない。
考えてみれば、排気量が1000ccにも迫ろうかというビッグバイクである。ハーレーダビッドソンではエントリーモデルの役割もこなしてみせるが、コーナーを駆け抜けていようが、高速巡航していようが、余裕あふれる走りが味わえ、急かされるなんてことがない。
スポーツカテゴリーといえども、根底にあるDNAにクルーザーの遺伝子が組み込まれ、グランドツーリングである兄貴分たちと血を分け合っていることが感じられるのだ。
結果的にオールマイティで、街乗りからツーリングまで幅広いシーンで相棒にして良かったと感じられるキャラクターとなるのが、ハーレーのスポーツモデルだ。
XLスポーツスターがそうだったように、後継となるレボリューションマックス系もまたバリエーションを増やし、着々とラインナップを拡張しようとしている。
単純にエンジンの排気量だけを見ても、空冷時代は883と1200という2本立てを長きにわたって続けたが、水冷化した現行機種でもまた975と1250があり、両モデルでシャーシを共通化。シリーズ化され、兄弟車は今後もますます増えていきそうだ。
今回、新たに登場したのはナイトスタースペシャル。次世代を担うレボリューションマックス975Tを心臓部とするナイトスターが2022年にデビューしたばかりだが、ネーミングが示すとおり上級仕様という位置づけになる。
エンジンが剛性ストレスメンバーを担う3分割フレームに、ツインショック式のリヤサスペンションを備え、フロント19/リヤ16インチというオーソドックスなホイール径など車体の基本構成はそのまま。
パッセンジャー用のセパレートシートを追加装備し、指針式メーターをフルデジタルにグレードアップするなど、スペシャルの名にふさわしい装備内容を持つ。アルミ鋳造ホイールは、細身のY字スポークが立体的にクロスする凝った造形で、足もとをゴージャスに引き締める。スタンダードがビキニカウルを外したことで、フェアリングの有無でも差別化が図られているのも見分けるポイントとなった。
また、オートクルーズコントロールを搭載するほか、タイヤ圧モニタリングシステムも加えるなど、電子制御もより充実している。ナイトスターのライディングモードはスポーツ/ロード/レインの3つを設定できるが、スポーツスターS同様に自分だけのカスタム走行モードも2つ追加された。
ブルートゥース接続によるスマートフォンとのリンクも可能で、ナビ画面を102mmのカラースクリーンに表示し、ヘッドセットを使えば、音声案内や音楽が聴け電話通話などもできる。電脳面でも上級モデルと胸を張って言える内容だ。
そして、目を引くのはなんと言っても70年代グラフィックスを採用したダミータンク(エアボックス)カバーだ。AMF時代のレインボーカラーを採用したメダリオンはファン垂涎で、引っ張りだこの人気となるのは間違いない!
メダリオンでAMF時代のレインボーカラーを再現したり、ツインショックのリヤサスペンションなど、伝統を感じるオーソドックスな車体の中で、雨天走行での加速時などに後輪が過度に空転するのを防ぐトラクションコントロールシステム(TCS)や、過度のエンジンブレーキによる後輪スリップを抑制するドラッグトルクスリップコントロールシステム(DSCS)など、ハイテクな電子制御を搭載。クルーズコントロールも追加装備し、スマートフォンやヘッドセット等の連携もBluetooth接続で可能だ。 [写真タップで拡大]
上級モデルと呼ぶにふさわしい充実の内容
車体価格はベーシックとなるビビッドブラックで237万3800円。ツートーンの設定はなく、モノトーンは240万6800円。つや消し黒はアイアン883などの高年式スポーツスター、イエローやブルーは1970年代あるいは1990年代頃までのXL系を彷彿とさせる。
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