
1982年前後から沸き起こった一大バイクブーム。ホンダとヤマハによる原付クラスの販売拡大競争によって、330万台もの出荷台数を記録した。1980年代中盤以降にはレーサーレプリカモデルが隆盛を誇ったが、同時に拡大したマーケットに対応すべくさまざまなモデルが投入された。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:レッドバロン
現在も機種名として残るレブルやエリミネーターが生まれた時代
スポーツモデルやレーサーレプリカモデルが主流だった250ccクラスに、空冷2気筒エンジンを搭載した異色のアメリカン・ホンダ レブルが登場したのは1985年。“反逆”を意味するレブルという車名もまた、レプリカモデルに傾倒する風潮へのシャレとして効いていた。
そしてその2年後の1987年に登場したのが、ヤマハV-MAXと双璧をなすドラッガーであるカワサキエリミネーター900のスタイルを継承したエリミネーター250だ。“反逆”のレブルと“排除する者”のエリミネーターは、主流派とは一線を画したスタンスで根強い人気があった。時代を経て2020年代に、レブル/エリミネーターの名が生き続けているのも、それぞれのインパクトが強かった証拠である。
1987 ホンダ レブルスペシャル:1980年代バイクブームの最中に誕生、10年以上販売されたロングセラー
専用設計されたセミダブルクレードルフレームに、既存の250Tマスターをベースとしたエンジンを搭載してデビューしたホンダ レブル。同時代にヤマハXS250スペシャル/スズキGSX250L/カワサキZ250LTDがあったが、アメリカンモデルとしての本格的な作り込みが魅力的だった。
ちなみにVツインエンジンを搭載したヤマハXV250ビラーゴのデビューは1988年である。移り変わりの激しい250ccクラスにあって、マイナーチェンジを繰り返しながら1994年モデルまで継続販売されたのも特徴だ。
【1987 HONDA REBEL SPECIAL】
1985年の250ccクラス出荷台数1位は盤石のホンダVT250Fで、2位がヤマハFZ250フェーザー、3位がヤマハRZ250RRで、レブルが4位に食い込んでいた。シンプルなメーターまわり/フロント18&リヤ15インチタイヤ/660mmのシート高など、こだわりと扱いやすさを両立させていた。レブルスペシャルは、シリンダーヘッドカバーとヘッドライトリムをゴールドに、クランクケースカバーやウインカーボディをクロームメッキ仕上げとしたのが標準モデルとの相違点。
1996 カワサキ エリミネーター250SE:250ccクラスを超えたマッチョなスタイルと軽快な走りが魅力のドラッガー
兄貴格の900/750/400と同様に、スポーツモデルのエンジンを転用したドラッガーコンセプトを継承してデビューした、エリミネーター250。ボリューム感のあるスタイルながら車両重量は154kg(初代)と軽量で、最高出力40馬力のDOHCエンジンと相まって想像以上の速さが魅力だった。
初代登場の翌年1988年にはビキニカウルを装着したSE、さらに1989年にはスポークホイールのLXとバリエーションを拡充。ZZR250/エストレヤ/バリオス発売後も、1990年代半ばまで製造された息の長いモデルである。
【1996 KAWASAKI ELIMINATOR 250SE】
実際にはスリムで軽量なのだが、140/90-15サイズのリヤタイヤの視覚的効果かどっしり見えるエリミネーター250。初期モデルはスピードメーターのみだったが、ビキニカウルを持つSEでは1万6000回転のタコメーターが追加された。シリンダーヘッド左側にレイアウトされたエキゾーストパイプから、スラッシュカットされたサイレンサーにつながるマフラーのレイアウトも独特。カモノハシと呼ばれるリヤフェンダーのまわりの造形もエリミネーターならでは。
1995 ホンダVRX400ロードスター:NV400カスタム由来の52度Vツインを搭載。ゆったりとしたロードスポーツモデル
ホンダ独自の挟み角52度のVツインエンジンを搭載した、オーソドックスなロードスポーツモデル。このエンジンは1983年のNV400カスタムに端を発し、1988年に登場して大ヒットモデルとなったアメリカンモデルのスティードや、マニアックな人気を博したブロスに採用されてきた歴史があった。
それらに対して、前後17インチ/右2本出しマフラー/2本ショックのVRXロードスターは、実用面では不満はないもののインパクトが足らなかったのかもしれない。1995年に登場しながら短命に終わったモデルである。
【1995 HONDA VRX400 ROADSTER】
28度と寝かされたキャスター角と1510mmという長めのホイールベースながら、アメリカンとは趣を異にするデザイン。写真の車両は小径ヘッドライトを装着してウインカーを移設しており、スポーツスター的でもある。前後のホイールは、17インチアルミリムに48本スポークを組み合わせることで、足まわりの力強さをアピールしている。周囲はCB400スーパーフォア/XJR400/GSX400インパルス/ZRXといったスポーツネイキッド全盛で、このキャラクターは不利だったかも。
本記事で紹介した車両は、レッドバロンの在庫からセレクトしたもの。レッドバロンの中古車が注目に値するのは、絶版車や中古車で“主役級”とは呼べないモデルも手厚くラインナップしていること。独自にストックしたパーツで中古車の修理に対応する、レッドバロンならではの“パーツ保証”は、メーカー純正部品が販売終了となっていることも多い絶版車に安心して乗り続けられる大きな安心材料となっている。全国306店舗で常時4万1250台のバイクを在庫しているレッドバロン、他人と違う絶版車選びに役立つことだろう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
前後バランス配分が崩れてしまったフロントまわりを構築 フロントフォークの動き云々もあるが、動き以前に長さが違って前後バランス配分が崩れてしまうと、まともに走れなくなってしまうのがバイクだと思う。とりわ[…]
歴史的な価値のあるパーツに使われることが多いマグリコート ホイールやエンジンカバー、といっても一般的な市販モデルではなく、アフターマーケットパーツやレース用のホイールやカバー類に使われることの多い、マ[…]
走行回数の多さと模擬レースのセットでコストパフォーマンスの高さは折り紙付き 絶版車やクラシックマシンでサーキットを走行してみたいが、レースに参戦するほどではない。あるいはクラシックレースにエントリーし[…]
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
2023年モデル概要:400クラス唯一のクルーザーとして登場 カワサキ「エリミネーター/SE」の初公開は、2023年3月17日に開催された大阪モーターサイクルショーでのこと。発売はその約1ヶ月後となる[…]
シート&タンクが単色化。フレーム色も独自設定 発売は2024年7月25日。主要諸元に変更はなかったものの、カラーリングが変化。2023年モデルよりも、初期のモンキー125に近い、シンプルなカラーリング[…]
アメリカの野生動物や軍隊に由来する車名 「最強」「最速」そして「独自のルックス」をイメージするカワサキブランドのルーツといえば2ストロークマシンの怪物500SSマッハⅢと4ストローク4気筒キングZ1を[…]
燃料タンク部分に収納スペースと給油口はテールカウルの思いきった新しいデザイン! 1990年4月、スズキはいかにもエアロダイナミクスの良さそうなフルカバードボディの250cc4気筒をリリース。 最大の特[…]
ホンダCBR250RR(2021) 試乗レビュー 全方位にスペックアップした2021年モデル 2020年モデルからの変更箇所は多岐に渡る。 ピストン、ピストンリング、コンロッド、バランサーシャフト、バ[…]
最新の関連記事(レッドバロン)
岡崎会場はイベント内容も参加台数もスペシャル! 全国300店以上の直営店舗を持つレッドバロンが運営するユーザー参加型のリアルイベント「ファンファンミーティング」。レッドバロンでバイクを購入したレッドバ[…]
バイク専用サーキット・那須モータースポーツランド 東北自動車道の那須ICから約15分。那須高原を通って那須甲子線(ワインディング)の入り口まで30分強という好立地にある那須MSL。この2輪用サーキット[…]
レッドバロンお膝元・岡崎(愛知県)で開催 全店直営300店舗のバイク販売店・レッドバロンのユーザー参加型イベント『Fan Funミーティング』。2025年第1回目となる今回は、なんとレッドバロン本社が[…]
2002年、「Vロッド」誕生 2002年式から2017年式まで、ハーレーのラインナップに名を連ねたVロッドシリーズ。その系譜を辿るのも興味深い。現行モデルのパンアメリカ/スポーツスターS/ナイトスター[…]
同じバイクでも走りは全然違う! 購入後に高額な修理代がかかってしまうケースも ’22年の生産終了後、中古車市場でより人気が高まっているCB400SF。試乗車の1台は走行距離1万1600km、もう1台は[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかって[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
ネオクラシックながら”新しさ”で対抗 ヘリテージやネオクラシックと呼ばれるカテゴリーで、登場以来絶対的な人気を誇るカワサキのZ900RSシリーズ。現代スポーツネイキッドをベースに、名車Z1を絶妙にアレ[…]
実は”ホンダエンジン”時代からの愛車だった マンセルがF1のパドックで乗っていたのは、ホンダのダックス70(CT70)でした。1988年モデルとも、1987モデルとも言われていますが、いずれにしろ当時[…]
◆今回のPRO解説者:以前にはネオクラ車の解説記事もお願いしたバイクデザインのプロフェッショナル。1980年代前半に某社に入社したベテランで、オンロード系をメインに排気量の大小を問わずさまざまな機種を[…]
最新の投稿記事(全体)
2023年モデル概要:400クラス唯一のクルーザーとして登場 カワサキ「エリミネーター/SE」の初公開は、2023年3月17日に開催された大阪モーターサイクルショーでのこと。発売はその約1ヶ月後となる[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
※価格や発売時期は独自の情報に基づく本紙予想です。販売店へのお問い合わせはご遠慮ください。 ターゲットはZ900RS。プライスも真っ向勝負?! 5年前に「CB-Fコンセプト」を目にした時の歓喜は忘れら[…]
CB1300SF/SB“ファイナルエディション”としての存在感をもっと強く! 今回、CB1300SF/SBファイナルエディション向けにラインナップされたマフラー/ステップ/ドレスアップパーツなどには、[…]
シート&タンクが単色化。フレーム色も独自設定 発売は2024年7月25日。主要諸元に変更はなかったものの、カラーリングが変化。2023年モデルよりも、初期のモンキー125に近い、シンプルなカラーリング[…]
- 1
- 2