RR-Rの敵は化け物か!?

’20ホンダCBR1000RR-R国内フルテスト【パワーチェック編】

待ちわびた”ガチなホンダ”が、「CBR1000RR-R」という最高のカタチで戻ってきた。その本気度を測るべく、ヤングマシン編集部では国内最速のフルテストを敢行。メーカー発表の最高出力値はエンジンのクランク軸での数値とされ、実際に後輪に伝わる出力は、駆動系ロスなどで下回ることがほとんど。RR-Rの公称値は217.6psだが、パワーチェックの結果はいかに…。


●取材協力:EGUKEN Garage ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

今回のパワーチェックは4速で計測。グラフ横軸が速度となってしまったため、同一回転での差は判別できないが、S1000RRは後輪の実測値がカタログ値と同一という驚異的な数値をマーク! やや辛めというダイノジェットのダイナモでこの数値だから、クランク軸なら230psを超える計算だ。その影に隠れてしまうものの、217.6psのRR-Rが後輪202psなのは至極真っ当で、駆動系のロス(8~10%)を考慮しても公称値どおりなのは間違いない。

上のグラフの横軸を時間に変換したものが下のグラフ。スロットルグリップを全開にし、レブリミッターが作動するまでの所要時間を示したものだ。両車とも同じ回転数から全開にしているが、S1000RRの方が素早く吹け、リミット到達時間は3秒も速い。計測を担当したEGUKEN Garageの江口氏は、「RR-Rは右手を全開にしても、特に低~中速域で電子制御のスロットルバタフライがあまり開いていない」と推察。これは高出力車を扱いやすくするための、近年ではごく一般的な手段。逆に言えばRR-Rはまだ速くなる余地がある!?

ライディングポジション比較

CBR1000RR-R:サーキットユースに完全に割り切る

シート高はS1000RRとほぼ同じだが、シート下側のフレームカバーが内腿にあたることなどから、足を真下に伸ばせない感覚。両足の指先が接地する程度の足着き性だ。実際に走らせればS1000RRより小さく感じるが、燃料タンクの横幅があるため、またがった直後は大柄なイメージを持ちやすい。シートに対してハンドルは遠くて低く、垂れ角はあるがそれほど絞られていないので、かなりの前傾姿勢を強いられる。スパルタンだ!

S1000RR:公道走行のことも考えた優しさを感じられる

足着き性に関して、両足のつま先のみが接地するという点はRR-Rと同じだが、より自然に足を真下に伸ばせる感覚。シートや燃料タンク後端からは、スリムなイメージを得やすい。トップブリッジにハンドルを一体化する独特な設計のおかげもあり、シートに対してハンドル位置はそれほど低くない。加えて、ハンドル幅がRR-Rと比べて狭く、なおかつ絞られているため、RR-Rよりもハンドルが近く感じられる。ツーリングもできそう!

その他のディテールも比較

CBR1000RR-R

【特許出願中技術の塊】RC213Vと同じボア・ストローク値を持つ並列4気筒エンジンには、チタン鍛造コンロッドやDLCコーティングカムシャフトも使われる。排気系は、サイレンサーに加えて排気バルブもアクラポヴィッチ社と共同開発。

SP仕様は、フロントブレーキキャリパーにブレンボ製のスタイルマ、マスターシリンダーにブレンボ製のセミラジアルポンプを採用し、前後サスがオーリンズ製の電子制御式となる。

【当然のフルカラー】満載の電子制御機構を確実かつ直感的に操作できるよう、大型化だけでなく解像度アップも図られた5インチフルカラー液晶ディスプレイを搭載。IMUはボッシュ製の6軸。

S1000RR

【シフトカムテクノロジー】吸気バルブタイミングに加えてリフト量まで可変させるシフトカムで、低回転域の穏やかさと高回転高出力化を両立。フィンガーフォロワーアームにはDLCコートが施される。

上級版のうちMパッケージは、カーボンホイールと軽量なMバッテリー、上質なMシートなどを備える。セミアクティブサスのDDC仕様も選択でき、今回のテスト車両はこちら。フロントブレーキキャリパーは、米国ヘイズ社製の対向4ポット。

【サーキット用も複数】視認性に優れる6.5インチのフルカラー液晶ディスプレイは、一般走行用のモードに加えて、サーキット向けに3パターンの画面が用意される。ボッシュ製6軸IMUを搭載。

最新の記事