
1980年代を通じて過熱し続けたレーサーレプリカブーム。このスペック至上主義の時代には、わずか1馬力の差がマシンの命運を分けることもままあった。今回はカワサキの持てるハイテクを注ぎ込んだマシン、カワサキZXR400を取り上げる。※本記事はヤングマシン臨時増刊『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク323選』からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
最後に出てきたスゴイやつ
1988年、GPZ400Rでストリート路線を進んでいたカワサキが、スポーツ性能を追求したZX-4を投入する。E-BOXフレームの採用など、実力こそ確かだったものの、ツアラー然としたスタイルのため、リアルレプリカを求めるライダーから高い支持は得られなかった。
この反省から、頑としてレプリカ路線を拒否してきた同社が本腰を入れる。ついに初の本格レプリカ、ZXR400/250の登場である。
今までの遅れを帳消しにすべく、装備は先進的かつ過激だった。同社自慢のサイドカムチェーン式水冷直4は超高回転型で、250のレブリミットはCBR250RRに並んで市販車最高の2万1000回転。市販車初の倒立フォークや新気導入システムのK-CAS、ラムエア(250のみ)などF3ワークスレーサーZXR-4譲りのハイテクを満載した。フレームは当然アルミで、エンジンを包み込むE-BOXと呼ばれる高剛性シャーシを採用した。
実力の高さは折り紙付きで、400がデビュー年に早くも鈴鹿4耐を制覇。翌1990年、国際A級TT-F3で鶴田竜二が、カワサキに同クラスの年間タイトルを初めてもたらした。
最強4ストレプリカの呼び声も高く、本物の速さを求める走り屋に愛されたZXR。ライバルが消えゆく中、1990年代後半までレプリカの代表格として君臨するまでに至った。
【1989 KAWASAKI ZXR400】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ398cc 59ps/12000rpm 4.0kg-m/10000rpm ■162kg ■タイヤサイズF=120/60R17 R=160/60R17 ●発売当時価格:73万9000円
卵のようにエンジンを包むE-BOXフレーム。強烈なエアダクトホースは、タンクを貫通しヘッドを冷却する。
レーサーでは当たり前の倒立フォークを市販車で世界初採用。伸/圧の減衰力調整も可能。
【1993 KAWASAKI ZXR400】1993年、カワサキが悲願の8耐初制覇。これを記念した「伊藤ハム」カラーだ。
元祖E-BOX:1988 KAWASAKI ZX-4
サイドカムチェーン+前傾エンジンとE-BOXフレームを新設計。クラス最軽量を誇った。ZXR登場後も1年併売。
カワサキZXR400の系譜
【1989 KAWASAKI ZXR400】ZX-4をベースに大改良。K-CASや倒立フォークを獲得した。
【1989 KAWASAKI ZXR400】
【1990 KAWASAKI ZXR400】エンジン特性を熟成。KIS-ARMやスリッパークラッチも装備。
【1990 KAWASAKI ZXR400】
【1991 KAWASAKI ZXR400】フレームやフロントカウルを変更し、2kg軽量に。顔も刷新した。
【1991 KAWASAKI ZXR400】
【1993 KAWASAKI ZXR400】53ps化で中低速域を充実。以後は色変更のみで1999年まで販売された。
【1993 KAWASAKI ZXR400】
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