
AT小型限定普通二輪免許で運転できて、コスパに優れ積載性も確保しているのが原付二種スクーターだ。125ccが主流だが、コスパが特にいいのは数少ない110ccクラス。国内メーカーでラインナップするのはホンダ、ヤマハ、スズキの3社だ。
通勤エクスプレスには低価格も重要項目!
日常ユースに最適で、通勤/通学やちょっとした買い物、さらにはツーリングも使えるのが原付二種(51~125cc)スクーター。AT小型限定普通二輪免許で運転できる気軽さも持ち合わせている。
小径タイヤにコンパクトな車体、オートマチック設定によりハンドレバーで前後ブレーキを操作でき、シート下にはヘルメットなどを収納できるスペースも。ハンドル下にも小物入れがあり、カバンなどを背負ったり車体にくくり付けたりする必要なく便利に使うことができる。
そんな実用性の高い原付二種スクーターだが、価格帯は大きく分けて20万円台の普及価格路線と30万円台のプレミアム路線に分布している。通勤通学などがメイン用途になる場合は、コスパもしっかり計算に入れて購入を計画したい。
そんなわけで今回は、20万円台の原付二種スクーター6機種を紹介しよう。なお、生産終了とされてから長らく公式ホームページに掲載されていたスズキのアドレス110はついに姿を消した。そして2025年9月にはアドレス125がフルモデルチェンジを受けている。
20万円台・原付二種スクーターのメリットは?
安い!
そもそも価格で分類しているので当然とも言えるが、バイクだけでなく世の中の物価が上昇している中でこの価格を実現しているのは素直に素晴らしい。燃費もリッター50km前後と優れており、タイヤなどの消耗品も廉価だ。原付一種(50cc以下)と同様に任意保険のファミリーバイク特約も使えるが、バイク保険に比べて補償内容は限られるので検討の余地あり。
原付一種に比べて制限が少ない
二段階右折が不要で30km/hの速度制限がなく、タンデム走行可能。ただしタンデムは二輪免許を取得してから1年が経過した後でないと違反になるので注意が必要だ。
軽量コンパクト
ホイール径もあまり大きくないモデルが多く、車体は軽量コンパクト。駐車スペースが狭くても対応しやすく、小回りも利く。
20万円台・原付二種スクーターのデメリットは?
質感は高くない
コスパ重視の車体造りとされているため高級感はない。メーターやメインキーも一般的なものが使用され、多機能はあまり期待できない。
収納スペースや快適性はそこそこ
30万円台クラスに比べると収納スペースはやや小さめで、フルフェイスヘルメットは入らない機種も。コンパクトな車体と引き換えに、乗り心地やタンデム走行の快適性などもそこそこレベル。とはいえ実用には十分だ。
高速道路を走れない
125cc以下の全機種に共通だが、高速道路や自動車専用道路を走行することはできない。そのぶん保険料などが安く済んでいると考えれば大きなデメリットではないはず。
コスパで選ぶ国内メーカー原付二種スクーター5+1選!
ホンダ ディオ110(25万800円~)
空冷単気筒エンジンを搭載する通勤快速スクーターで、やや大径の前後14インチホイールを採用することで走破性を向上しているのが特徴。2023年のマイナーチェンジ時に廉価仕様の「ディオ110ベーシック」が追加された。ディオ110ベーシックは、標準仕様のディオ110からスマートキーを省略した代わりに、盗難抑止に効果を発揮するシャッター付キーシリンダーのイグニッションキーを採用している。
とはいえ、スマートキー装備の標準仕様でも車両価格は28万6000円と、きっちり30万円以下に抑えられている。シート下スペースの容量は約18L、WMTCモード燃費は55.6km/L(クラス1、1名乗車)。2025年モデルはカラーチェンジと価格変更を受け、3月6日発売。
【ホンダ ディオ110】主要諸元■全長1870 全幅685 全高1100 軸距1255 シート高760(各mm) 車重109kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 109cc 8.7ps/7500rpm 0.92kg-m/5750rpm 無段変速 燃料タンク容量4.9L■タイヤサイズF=80/90-14 R=90/90-17 ●車体色&価格:青、白、黒(ディオ110ベーシック)=25万800円/黒(ディオ110)=28万6000円 ●発売日:2025年3月6日※写真はベーシック
ヤマハ ジョグ125(26万7300円)
ヤマハの原付二種スクーターで最も廉価であり、125ccフルスケールのエンジン搭載車としては国内メーカーで最廉価。シート高735mmや車重95kgといった、小柄なライダーにも優しいスペックが並ぶ。走行時に発電し、始動時にはスターターモーターとして働くスマートモータージェネレーターや、左レバーを引くことでフロントブレーキも作動する前後連動型「UBS」などを装備している。
シート下スペースの容量は約21.3L、WMTCモード燃費は51.9km/L(クラス1、1名乗車)。2024年9月20日に価格改定された(カラーバリエーションとスペックに変更なし)2025年モデルが発売された。
【ヤマハ ジョグ125】主要諸元■全長1740 全幅675 全高1090 軸距1205 シート高735(各mm) 車重95kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 124cc 8.3ps/7000rpm 1.00kg-m/5000rpm 無段変速 燃料タンク容量4.0L■タイヤサイズ前後=90/90-10 ●価格:26万7300円 ●色:空色、赤、黒、白 ●発売日:2024年9月20日
スズキ アドレス125(28万500円)
リーズナブルな通勤快速として長らく君臨してきた原付二種スクーターが、スズキの看板モデルのひとつ「アドレス」シリーズ。2019年にグローバルデビューしたアドレス125の従来モデルは2022年に日本に導入されたが、早くもフルモデルチェンジした新型が2025年9月10日に発売された。空冷単気筒SEPエンジンは構成部品のほとんどが変更され、フレームも新設計に。よりスムーズで力強い発進加速と優れた燃費性能を両立する。
丸みを帯びたデザインはややシャープ寄りになり、新たにリヤキャリアを標準装備。燃料タンクキャップは直付けだった従来型からイグニッションキーで開閉できるフューエルリッド付きのスッキリしたデザインとし、外したキャップをリッド裏に収納できるようにして利便性を向上しただけでなく、燃料タンク容量を5L→5.3Lに、シート下収納スペースも21.8L→24.4Lと大容量化。デュアル仕様になったフロントポケット、デュアルユーティリティフック、USB-Aソケットなど便利な装備も抜かりなし。サイドスタンドとセンタースタンドも改良され、ハザードスイッチとパッシングボタンも新設された。
【スズキ アドレス125】主要諸元■全長1880 全幅690 全高1155 軸距1260 シート高770(各mm) 車重108kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 124cc 8.4ps/6500rpm 1.0kg-m/5000rpm 無段変速 燃料タンク容量5.3L■タイヤサイズF=90/90-12 R=90/100-10 ●価格:28万500円 ●色:白、薄緑、藍、黒 ●発売日:2025年9月10日
ヤマハ アクシスZ(28万3800円)
シート下に大容量37.5Lのトランクスペースを持ち、ジェット型ヘルメット2個を収納可能とするなど高い実用性で長く愛されるアクシスシリーズの最新版がアクシスZだ。2022年にモデルチェンジし、令和2年排出ガス規制に適合したほか静粛かつ振動の少ないエンジン始動が可能なSMG(スマートモータージェネレーター)を採用。
リヤブレーキ操作でフロントブレーキも作動するUBSの新装備やヘッドライトの光量アップなど細部にわたってアップデートされた。WMTCモード燃費はジョグ125と並んでヤマハ原付二種スクータートップの低燃費51.9km/Lを誇り、計算上の航続距離は285kmにもなる。前後10インチのタイヤサイズもジョグ125と共通だ。2024年10月24日発売のモデルで価格改定およびニューカラーの追加が行われた。
【ヤマハ アクシスZ】主要諸元■全長1790 全幅685 全高1145 軸距1275 シート高770(各mm) 車重100kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 124cc 8.3ps/7000rpm 1.00kg-m/5000rpm 無段変速 燃料タンク容量5.5L■タイヤサイズ前後=100/90-10 ●価格:28万3800円 ●色:艶消し暗緑、紫、黒、灰、白 ●発売日:2024年10月24日
スズキ アヴェニス125(28万4900円)
アドレス125と基本を共有しながら、スポーティなデザインとやや大きい燃料タンクを採用し、燃費はわずかながら向上している。ボディマウントのLEDヘッドライトやLEDリヤコンビネーションランプ、フル液晶ディスプレイなどを装備し、スポーティな段付きシートを採用。
シャッター付きキーシリンダーやシート下トランクスペース、5V2AのUSB充電ソケットを装備する蓋付きの左フロントインナーラック、500mlのペットボトルが入る右フロントインナーラック、ヘルメットホルダー×2個といった実用的な装備も充実している。シート下スペースの容量は未発表、WMTCモード燃費は54.3km/L(クラス1、1名乗車時)。
【スズキ アヴェニス125】主要諸元■全長1895 全幅710 全高1175 軸距1265 シート高780(各mm) 車重107kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 124cc 8.7ps/6750rpm 1.0kg-m/5500rpm 無段変速 燃料タンク容量5.2L■タイヤサイズF=90/90-12 R=90/100-10 ●価格:28万4900円 ●色:白、灰、黒 ●発売日:2022年10月21日
ホンダ CUV e:(車両本体価格20万200円)
この1車のみ変則的だが、バッテリーと充電器を含まない車両本体価格が20万200円ということで、東京・大阪で展開中の、バッテリーと充電器を購入せずに利用できる個人向けのバッテリーシェアリングサービス「ガチャコ(Gachaco)」の利用を想定して当記事でも取り上げることに。
交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(MPP)」を2個搭載する原付二種の電動スクーターで、原付一種のEM1 e:が定格出力0.58kW、最高出力2.3psなのに対し、定格出力0.98kW、最高出力8.2ps/3500rpmと断然パワフルで坂道もらくらくだ。MPP×2個で航続距離は57㎞(60㎞/h定地走行テスト値)を確保している。
【ホンダ CUV e:】主要諸元■全長1970 全幅675 全高1100 軸距1310 シート高766(各mm) 車重120kg ■EF18M・交流同期電動機 定格出力0.98kW 最高出力8.2ps/3500rpm 最大トルク2.2kg-m/2300rpm 変速機なし 一充電走行距離57km(60km/h定地走行テスト値)■タイヤサイズ前後=110/90-12 ●色:白、艶消し黒、銀 ●車両本体価格:20万200円 ●モバイルパワーパック:10万8900円[1個あたり] ●充電器:5万5000円 ●発売日:2025年6月20日
まとめ:実用的でマルチパーパスな選択肢
ビジネス用途のスクーターを除けば、国内3メーカーで12機種がラインナップされる原付二種スクーター。その中の半数にあたる5機種が20万円台の買いやすいゾーンに分布している。世界的にも支持されているこのカテゴリーは、コンパクトかつ廉価なのが特徴だが実用性は十分にあり、燃費などの経済性にも優れている。通勤/通学の用途のほかセカンドバイクとして足に使うにも最適だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(新型原付二種 [51〜125cc])
外観をスタイリッシュにリニューアルしたトリシティ125 前回のトリシティ300に続き、今回試乗を行うのも前2輪を持つLMWシリーズのトリシティ125。ちなみにLMWとは、リーニング・マルチ・ホイールの[…]
新色パールレッドだけでなくホワイトとブラックも色味新たに スズキは、原付二種スクーターの「アヴェニス125」をカラーチェンジ。2022年の発売以来、初めての変更を受けるアヴェニス125だが、ニューカラ[…]
スーパーカブ110はオレンジを廃止、クロスカブ110には新色×2を追加 ホンダは、「スーパーカブ110」「スーパーカブ110 プロ」「クロスカブ110」「クロスカブ110・くまモン バージョン」を価格[…]
国内導入予定はないけれど……のZ125プロ カワサキは北米で2026年モデルを続けざまに発表している。ここで紹介するZ125プロは、前年から全カラーに採用したゴールドの倒立フロントフォークに加えて20[…]
原付でエンジンがかからない主な原因 「原付 エンジン かからない 原因」とネット検索する方が多いように、バッテリー上がりやプラグの劣化、燃料不足など、複数の原因によってエンジンを始動できなくなるケース[…]
最新の関連記事(新型バイク(日本車/国産車) | 新型スクーター)
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
“マキシスポーツ”の系譜を受け継ぐAEROX E ヤマハはインドで電動スクーター2車を発表。このうち「AEROX E」は、ヤマハのマキシスポーツの系譜を受け継ぐ高性能電動スポーツスクーターで、ヤマハが[…]
電子制御CVTがもたらすワンランク上の加速性能 ヤマハ軽二輪スクーターのNMAX155は、ʼ25年型で大幅進化。パワーユニットの熟成、リヤのストローク5mm延長を含む前後サスペンションのセッティング最[…]
TMAX生誕25周年! 特別装備満載の記念モデルが登場! ヤマハは、”オートマチックスポーツコミューター”という独自のジャンルを築き上げた「TMAX」の誕生25周年を記念し、特別仕様車「TMAX560[…]
11/1発売:カワサキ カワサキ ニンジャH2 SX SE カワサキの最高峰スポーツツアラー「ニンジャH2 SX SE」の2026年モデルが、11月1日に発売された。スーパーチャージャー搭載のバランス[…]
人気記事ランキング(全体)
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。 20年ほど前はシートカ[…]
主流のワンウェイタイプ作業失敗時の課題 結束バンドには、繰り返し使える「リピートタイ」も存在するが、市場では一度締め込むと外すことができない「ワンウェイ(使い捨て)」タイプが主流だ。ワンウェイタイプは[…]
通勤からツーリング、サーキット走行まで使えるカウル付き軽二輪スポーツ 日本の道に最適といえるサイズ感や、通勤/通学からツーリングまで使える万能さが軽二輪(126~250cc)の長所。スクーターやレジャ[…]
400で初のV4でもホンダ・ファンは躊躇なく殺到! 1982年12月にリリースされたVF400Fは、このクラスでは12,500rpmの未経験な超高回転域と0-400mを13.1secという俊足ぶりもさ[…]
最新の投稿記事(全体)
通勤エクスプレスには低価格も重要項目! 日常ユースに最適で、通勤/通学やちょっとした買い物、さらにはツーリングも使えるのが原付二種(51~125cc)スクーター。AT小型限定普通二輪免許で運転できる気[…]
発熱により脚全体の冷えを抑えやすい構造 「EK-113」は、車両の12V電源を利用する電熱インナーで、太ももや腰まわりなど冷えやすい部分を効率よく温める設計だ。冬の走行中は下半身の冷えが疲労に直結しや[…]
丸山浩直伝! ホンダCB1000Fの嗜み やっぱりCBはストリート=公道のヒーローだった。 まず何が素晴らしかったかと言えば、低速域におけるトルク感とかあのドロドロっとした大排気量直4CBならではのフ[…]
「マスダンパー」って知ってる? バイクに乗っていると、エンジンや路面から細かい振動がハンドルやステップに伝わってきます。その振動を“重り”の力で抑え込むパーツが、いわゆるマスダンパー(mass dam[…]
油圧ディスクブレーキだけど、“油(オイル)”じゃない いまや原付のスクーターからビッグバイクまで、ブレーキ(少なくともフロントブレーキ)はすべて油圧式ディスクブレーキを装備している。 厳密な構造はとも[…]
- 1
- 2









































