
1980年代を通じて過熱し続けたレーサーレプリカブーム。このスペック至上主義の時代には、わずか1馬力の差がマシンの命運を分けることもままあった。今回は1984年に発売、バランスの高いスポーツ性能が多くのライダーに支持されたFZ400Rを取り上げる。※本記事はヤングマシン臨時増刊『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク323選』からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発
市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。
400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。
FZ400Rは、同年からスタートする全日本TT-F3参戦を睨んだワークスマシンと並行して開発。
心臓部は、軽量&コンパクトでハイパワーに定評のあるXJ400Z系の水冷直4を改良し、クラス最高の59psを絞り出した。
スチールの角断面パイプフレームは、ステアリングヘッドとスイングアームピボットを一直線に結んだ高剛性タイプである。
スイングアームはアルミ製で、レーサーと同様、過渡特性に優れたバリアブルダンパー付きのFフォーク、リンク式Rモノショックを組み合わせた。
車重はGSX-Rより重かったが、CBR400Fより10kg以上も軽量だった。
その戦闘力は高く、フロント16インチながら扱いやすいハンドリングとバランスの良さが評価された。
そして全日本F3では、ロード125ccからスイッチした国際A級のベテラン、江崎正選手が見事に年間タイトルを獲得。記念すべき初代の全日本F3チャンピオンに輝いている。
1985年にはノンカウルのFZ400Nを追加。翌年には後継のFZR400が登場するが、FZもマイナーチェンジを施され併売。
ベーシックなモデルとして1988年頃までラインナップされた。
サイクルの激しかった時代に、新型投入後も販売が継続されるのは稀。バランスの高いスポーツ性能が多くのライダーに支持された結果と言えるだろう。
【1984 YAMAHA FZ400R】■水冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 399cc 59ps/12000rpm 3.7kg-m/10000rpm ■165kg ■タイヤサイズF=100/90-16 R=120/80-18 ●発売当時価格:59万8000円
【双子の兄弟はワークスTT-F3】アルミ製の専用フレームにXJ400Zのエンジンを搭載したワークスF3マシン。車名はFZR400となる。
現代のヤマハに通じる「人間のための高次元バランス」をアピールしたカタログ。
ヤマハFZ400R 系譜
1984 ヤマハFZ400R
【1984 YAMAHA FZ400R】初期型は丸目2灯のハーフカウルや集合管を備えて登場。色は紺×白×赤のみ。
1985 ヤマハFZ400R
【1985 YAMAHA FZ400R】2型はメッキサイレンサーとアルミ製ステップを採用。ハンドルも形状を変更。
1985 ヤマハFZ400N
【1985 YAMAHA FZ400N】車名のNはネイキッドの略。高性能はそのままに、単眼の角型ヘッドライトとアップハンドルを採用。
1986 ヤマハFZ400R
【1986 YAMAHA FZ400R】3型でついにフルカウルに。色は紺×白と黒の2タイプ。これが最終型となった。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ホンダの“R”だ! 可変バルブだ‼ 1980年代に入ると、市販車400ccをベースにしたTT-F3やSS400といった敷居の低いプロダクションレースの人気が高まってきた。ベース車として空冷直4のCBX[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年6月に発売された[…]
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
名車の姿を変えた国内事情。“耕運機ハンドル”誕生の背景 1980年のケルンモーターサイクルショーで公開され、翌1981年に発売されたスズキ「GSX1100S KATANA」。日本刀をイメージしたシャー[…]
勝利のために常識を超えた装備を投入した特別なCB 1980年代初頭、世界のスポーツバイク市場で存在感を高めていたホンダが、持てる技術を惜しみなく注ぎ込んで生み出したのが「CB1100R」だ。その開発思[…]
ベスパとは異なるアプローチを見せた「もう一つの至宝」 現在のクラシックスクーター市場ではベスパが有名ですが、かつてその絶対王者に真っ向から勝負を挑み、世界中のファンを熱狂させたブランドがありました。そ[…]
ナンバー付きからレース専用車まで本格的スポーツ走行と模擬レースが体験できる 各地のサーキットには、ライダーの技量に応じてファミリー走行枠やスポーツ走行枠といったクラスが設けられていることが多い。また主[…]
軽量化への徹底したこだわりが生んだ、革新的なスーパースポーツ 1980年代、国内のバイク市場ではレーサーさながらの外観と高性能を備えた、レーサーレプリカの人気が急速に高まっていた。その流れを牽引する存[…]
人気記事ランキング(全体)
ボタンひとつで車体が自立!力作業を完全に不要にする電動油圧の技術 重い大型バイクやスクーターを停車・駐車する際、車体を支えながらスタンドを立てる作業は、時にライダーにとって大きな身体的負担や精神的スト[…]
名車の姿を変えた国内事情。“耕運機ハンドル”誕生の背景 1980年のケルンモーターサイクルショーで公開され、翌1981年に発売されたスズキ「GSX1100S KATANA」。日本刀をイメージしたシャー[…]
T40より手頃な価格設定を実現したボンネビルファミリーの新たな入門機 トライアンフがインド市場向けに投入した「ボンネビル T4」は、世界的な成功を収める400ccプラットフォームの技術基盤を活用しつつ[…]
配線工事不要で取り付けも簡単! クラファンで大きな注目を集めるドラレコ バイクに乗るうえで、万が一の事故やトラブルに備えて映像を記録しておくことは重要だ。しかし、一般的な車載型のドライブレコーダーでは[…]
ホンダ GB350シリーズ:日常の移動からツーリングまで幅広く対応するロードスポーツ 2021年4月に登場したGB350は、車体およびエンジンを新設計したロードスポーツモデルである。ホンダによれば本シ[…]
最新の投稿記事(全体)
狙うはクラストップの運動性! “RR”の血統を宿す177kgの衝撃 BMWのフラッグシップスーパースポーツ「S 1000 RR」をはじめとする、燦然たる“RR”のレーシングDNAを受け継ぐ新たなミドル[…]
【第1位】普通免許で乗れて車検不要! 全天候型電動トライク専門店が名古屋にオープン 普通免許で乗れて車検や車庫証明も不要な全天候型電動トライクの専門店「ビークルファン名古屋BASE」が開設された。ドア[…]
85%共通プラットフォームがもたらす多彩な展開力 ドイツ・ベルリンで産声を上げ、デザインと開発の拠点をイタリア・ミラノに置く新鋭電動モビリティブランド「GR1T(グリット)」。世界最大級のバイク見本市[…]
大盛り上がりだったサーキット試乗会 9月19日に鈴鹿サーキットで開催されたHondaGO BIKE MEETING 2026。 数あるコンテンツの中でも、ひときわ注目を集めていたのがサーキット試乗会で[…]
塗るか、落とすか? 面倒なサビ取りもBAN-ZIなら簡単で感嘆!! 近所の足代わりに重宝する原付スクーターはプラスチック製のカバーに全身を覆われ、骨格部品を見る機会は少ない。だがカウルを剥ぐと内部の鉄[…]
- 1
- 2








































