![[自分だけのバイク選び&最新相場情報]ホンダCB400スーパーフォア(2021) 試乗レビュー](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
中古車を選ぶ際、なかなか悩ましいのが何を持って完調の状態といえるかわからないこと。そこで役立つのが、劣化や不具合のない新車当時の試乗レビューだ。自分が中古車を試乗して、それぞれの個体の状態を確かめる際の参考にしてみて。 ※以下、2021年5月公開時の内容に基づく
●文:伊丹孝裕 ●写真:長谷川徹 ●取材協力:本田技研工業
ホンダCB400スーパーフォア試乗レビュー
姿は変わらずとも進化を続けた直4ネイキッド
教習車として多くのライダーを路上に送り出してきたエントリーモデルであるのと同時に、普通二輪免許で手にできるフラッグシップでもあるCB400スーパーフォア。その懐の深さと広さは特筆されるべきもので、他に代わるモデルがないがゆえにロングセラーとベストセラーを両立してきた。
2000年代に入ってからの歴代モデルには、筆者はほとんど乗っていると思う。そのたびに「よくもまぁ、そんなにやることを見つけられるものだ」と感心させられるほど、さまざまな改良が施されてきた。
作動バルブ数の切り換えシステムやインジェクションの採用といった大規模変更のみならず、スロットルレスポンスの向上やハンドリングの見直しといったリセッティングレベルも含めて、着実にアップデート。およそ30年の間、姿形をほとんど変えることなく熟成に注力されてきたという点において、ヤマハSR400に通じるものがある。
シート高は755mm。シート前部がスリムなこともあり、足裏全体が地面に接地。ステップバーも降ろした足に干渉しない位置にある。上体の姿勢は極めて安楽で、シートとハンドルの位置関係も近からず、遠からずほどよいもの。取り回しもしやすい。(身長174cm/体重63kg)
燃料タンクにはそれなりのボリュームがあり、シートカウルは軽く上方に跳ね上がっている。そのため、単体では大柄に見えるのだが、いざまたがってみると拍子抜けするほどコンパクトだ。手を伸ばしたところにほどよい幅のハンドルがあり、平均的な体格の成人男性なら足つきは余裕のはず。2014年のモデルチェンジの際、ライディングポジションはより安楽な方向へ見直されている。
恐るべきエンジンの完成度
実際に走らせて、このエンジンに文句をつける人はそういないだろう。源流は1980年代半ばまでさかのぼれる長寿ユニットながら、フレキシビリティの手本のような仕上がりを持つ。
燃料供給方式がキャブレターからインジェクションになった頃こそ、ドン突きのような症状が見られたものの、いつの間にかそれも解消している。スロットル操作に連動して、どこからでもきれいにパワーが立ち上がっていく。
体感的にも物理的にも特別トルクフルではないのだが、完璧な燃調と適切なギヤレシオがそれをカバー。わずか2000rpmでギヤを6速に入れてもノッキングせず、そのままスルスルと加速していく。
このあきれるほど広いトルクバンドがCB400スーパーフォアの強みのひとつであり、教習車に採用されるのもうなずける。アシスト機構を標準装備するモデルと比較すると、クラッチレバーの操作力は重めだが、ウィークポイントというほどのものではない。
だからと言って、このエンジンが包容力に徹した、穏やかさだけがウリのキャラクターかと言えば、そんなことはない。ホンダ独自のバルブ制御システム「HYPER VTEC(ハイパーブイテック)」の採用が好例だ。
初採用されたのは1999年のことで、1気筒あたり4つあるバルブの内、低回転域では2バルブを、高回転域になると4バルブを作動させるというもの。これによって力強いトルクと刺激的なパワーフィーリングのイイトコロ取りをするというアイデアだ。
この機構は後にHYPER VTEC II、IIIと名称を変え、現在は「HYPER VTEC Revo(レボ)」へ進化。バルブの作動パラメータにはエンジン回転数だけでなく、ギヤポジションやスロットル開度も加えられ、よりきめ細やかな制御を実現している。
ハンドリングはニュートラルそのもの。コーナーではサスペンションのストロークやタイヤへの荷重をとくに意識しなくとも、リーンウィズのまま素直に旋回していく。一部のスーパースポーツにように手応えが軽すぎることもなく、接地感も分かりやすい。
バルブが切り換わるタイミングは、6速の時は6750rpmに設定されている一方、1速~5速では6300rpmと低くなっている。
ただし、5速以下でもスロットル開度が小さく、ジワジワと速度を上げるような場面では6300rpmを超えても2バルブ状態が維持され、6750rpmまで待機。逆にスロットルを一気に開けた時には即座に4バルブが開くなど、臨機応変な対応を見せる。
2バルブが4バルブになる瞬間は明確で、サウンドは甲高く、シャープなレスポンスを伴ってタコメーターの針が上昇していく。もちろん過給システムではないので、加速力自体は回転数に見合ったものにすぎないが、乗り手のテンションを確実に刺激してくる。演出を含んでることを考慮しても、ホンダエンジンらしい爽快さを堪能できるはずだ。
4バルブ時の印象が強いせいか、2バルブ状態で半端にスロットルを開けた時の車体の反応は少々鈍く感じられるかもしれない。
4000~5000rpmあたりでやや強めに加速しようとすると、車重の影響なのか、あるいはフレームの粘りなのか、ともかくフリクションのようなものがあり、ダイレクト感に欠ける領域があるからだ。好意的に捉えると重厚とも表現できるが、もっと軽やかな方がこの車格にはふさわしい。
それはさておき、既述の回転数はなんとなく定められたものではなく、日常の走行シーンに寄り添って設定されていることは明白だ。
というのも、メーター読みでは6500rpmあたりで4バルブになるのだが、高速道路を100km/hで巡航している時の針は、その直前である6400rpmを指している。つまり、法定速度の上限(一部の120km/h区間を除く)で流している時は燃料をいたずらに消費しない、ギリギリのところに境目が設けられていることを意味し、このモデルが日本の道路事情に特化していることの証だ。
HONDA CB400 SUPER FOUR[2021 model]型式はNC42だ。
そしてもうひとつ。ミラーの装着位置が絶妙で街中でもスイスイと走りやすい。ミラーの端から端、ハンドルバーエンドの端から端がほぼ同じ幅に設定され(わずかにミラーが広いが)、狭い場所を通過する時も空間が認識しやすく、それでいて後方視界は十分に確保されている。
念のために記しておくが、だからと言って法的に問題ない場所や方法でもすり抜けを推奨するものではない。しかし、扱いやすさへの配慮という点において、これもまた日本の実情に添った作りだと言える。
車体をバンクさせるのではなく、ハンドルを切って曲がるような極低速走行時の安定感も同様だ。ストップ&ゴーを繰り返さざるを得ない街中で、これほどストレスを感じないバイクも珍しい。アイドリング回転数もエンジンからの放熱も終始一定で、心理的にも肉体的にも我慢を強いられることがない。
数少ない欠点を探せば、シートの取り付け精度がそれだ。フチを持って上下に揺すると、そのままガタガタと大きく動いてしまうほどのクリアランスがあり、個体差の問題ではない。スポーツバイクなら看過できるレベルになく、街乗り重視のモデルだとしても許容しかねる。対策がそれほど難しいとは思えないのだが、少なくとも近年のモデルは一様に同じ傾向にある。
ともあれ、CB400スーパーフォア(スーパーボルドールも含め)が日本専用モデルとして作り込まれていることは間違いない。
ホンダCB400スーパーフォアの最新相場情報
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