
「そりゃないぜ〜」とつい言いたくなるケースがあるかもしれないが、駐車違反はNG、取り締まりの対象だ。現在は“緑のおじさん”こと駐車監視員が取り締まり業務を行っているが、彼らの立場を理解しておくことは非常に重要だ。もし業務を妨害した場合、公務執行妨害罪が適用されるケースもある。駐車の仕方についても改めて考える機会になれば幸いだ。
●文:ヤングマシン編集部
「緑のおじさん」こと「駐車監視員」の概要
緑のおじさんは、正式には「駐車監視員」と言い、警察から業務委託を受け、駐車違反車両の取り締まり業務に当たる人を指す。
緑のおじさんと呼ばれているものの、18歳以上かつ警察が定める条件に適合した人物であれば、誰でも業務に就くことができる。
つまり、緑のおじさんの正体はただの一般人。ただし駐車監視員の業務を行うには、講習や試験を受け、公安委員会から”駐車監視員資格者証”の交付を受ける必要がある。
多くの場合には、公安委員会に法人登録している派遣会社/警備会社へと一括委託され、駐車監視員資格者証の交付を受けた人員が派遣される仕組みになっている。
駐車監視員は、各警察署で定められた駐車監視員取締活動ガイドラインに従い、2人1組で指定された時間帯に管轄のエリアを巡回し、放置車両を取り締まる。
駐車違反車両を発見したら、携行端末を操作し、「駐車違反確認標章」と呼ばれる黄色いステッカーを発行。バイクのミラーやハンドルまわりに貼り付けて、違反車両の撮影を行うまでが一連の作業だ。
駐車違反車両には“放置車両確認標章”が貼り付けられる。
“公務執行妨害”で逮捕される恐れも
緑のおじさんこと駐車監視員ができることは、駐車違反を確認して確認標章を貼ることだけなので、警察官のようにその場で違反キップを切ったり、車両の移動指示を出したりすることはできない。
活動ガイドラインや定められたルールに従って業務を遂行するため、交渉などには応じられず、一度違反が成立してしまえば取り消しも不可能だ。
ただし、業務中は”みなし公務員”の扱いとなるため、暴力や暴言により駐車監視業務を妨害すると、警察官に対するのと同じく公務執行妨害罪などが適用され、逮捕される恐れもある。
加えて、駐車監視員に違法駐車を見逃してもらうために賄賂を渡した場合、贈賄罪が成立し、同じく逮捕となる。
実際、過去には駐車違反に腹を立てた違反者が駐車監視員に暴行を加え、実際に公務執行妨害罪で逮捕された事例もある。
みなし公務員は「公共サービスの実施に従事する公務員以外の者を刑法上の公務員とみなすことを定めるもの」とされ、「刑法の贈収賄の罪や公務執行妨害罪等を適用することが可能」だという。
駐車監視員制度と駐車場整備のあり方
以前はこうした駐車違反の取り締まりを警察官や警察関係者が行っていたが、業務の効率化を図るため、2006年6月1日の道路交通法改正で民間に業務委託する駐車監視員制度が導入された。
また、法改正でバイクの取り締まりが強化されたことが重なり、制度導入翌年は約52万台ものバイクが駐車違反で取り締まられる結果に。
この制度により、たしかにバイクの路上駐車は大幅に減少したものの、同時にバイク用の駐車場が不足している実態も浮き彫りとなった。
以降、バイク駐車場の整備が進められつつあるが、それでも圧倒的に足りていない状況だ。
このように、緑のおじさんに駐車違反で取り締まられないためには、駐車禁止に違反しないことが一番なのは言うまでもない。そのためには、駐車禁止場所と付近の駐車場を把握しておくことが大切だ。
バイクの取り締まり重点路線は、各都道府県警察ウェブサイトの駐車監視員取締活動ガイドラインで公開されているので、あらかじめ確認しておくとよいだろう。
全国のバイク用駐車場は、日本二輪車普及安全協会やナビタイムのウェブサイトで検索できる。また現在は、自転車置き場に排気量を問わず二輪車が駐車できるよう条例を改正した自治体もある。
東京都内なら、公益財団法人東京都道路整備保全公社が配布している“都内オートバイ駐車場MAP”や、ユーザーが製作したGoogleマイマップが駐車場探しに役立つはずだ。
短時間であっても、駐車禁止区域に駐車するのはやめよう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(交通/社会問題)
大型連休の休日割引除外から、年間すべての3連休へ除外対象を拡大 4月から始まる’25年度は、GW、お盆休み、年末年始およびシルバーウイーク(昨年度から追加され、’25年度は9月13日(土)~15日[月[…]
都市部では今や日常的に見かける「特定小型原動機付自転車」 運転免許不要で公道上を走ることのできる新カテゴリー「特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)」が注目されて久しい。 2023年の法改正で特[…]
ある日のこと。街をぶらぶら歩いていると路肩に駐車されている、YAMAHAドラッグスターを見つけました。「やっぱりアメリカンはかっこいいな」と足を止めて見ていたところ、そこに警察官が来て駐禁ステッカーを[…]
スマホで各種申請書を作成、二次元バーコード経由でプリントアウト可能に 自動車検査登録手続きのデジタル化を推進する国土交通省は、関東運輸局にて2025年2月より「登録手続き申請書メーカー」を運用開始した[…]
無事故・無違反で居続けるためには、日頃から事故に遭わない・起こさない、違反をせず安全運転を心がけるという「意識」が大切 日頃からクルマやバイクを運転しているなら、長い間、無事故・無違反で居続けるのは簡[…]
最新の関連記事(バイク雑学)
日本のハイオクは海外ではレギュラー!? オートバイに限らずクルマでも輸入車はほぼすべてハイオク指定。世界に誇る高性能な日本車は、基本的にレギュラーガソリンの給油で事足りる。 そういうところが日本の技術[…]
バイクを購入するための、自由になるお金があることが大前提 同居家族にバレずに……という悩みを抱える人のほとんどは、これまでの取材経験に基づくと、奥様の猛反対を受けている旦那さんか、親と同居している若い[…]
燃料コックのポジション“ON/OFF/RES”の意味と使い方 多くの現行モデルの燃料供給方式は、FI(フューエルインジェクション|電子制御燃料噴射)だ。 言うまでもなく、燃焼効率/環境性能の向上になく[…]
止められても切符処理されないことも。そこにはどんな弁明があったのか? 交通取り締まりをしている警察官に停止を求められて「違反ですよ」と告げられ、アレコレと説明をしたところ…、「まぁ今回は切符を切らない[…]
元々はブレーキ液の飛散を防ぐため フロントブレーキのマスターシリンダーのカップに巻いている、タオル地の“リストバンド”みたいなカバー。1980年代後半にレプリカモデルにフルードカップ別体式のマスターシ[…]
人気記事ランキング(全体)
マーヴェリックの愛機「カワサキGPZ900R」劇中車を振り返る 滑走路で戦闘機と加速競争する姿、美人教官とのタンデム、苦悩を抱えて丘の上に佇む夕暮れ──。数々の印象的なシーンに初代ニンジャ=GPZ90[…]
日本のハイオクは海外ではレギュラー!? オートバイに限らずクルマでも輸入車はほぼすべてハイオク指定。世界に誇る高性能な日本車は、基本的にレギュラーガソリンの給油で事足りる。 そういうところが日本の技術[…]
2025年2月6日改訂 125ccスクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)[…]
2025新型「KLX230」「KLX230 S」について知るなら… KLX230シリーズの振り返りや、無印/Sについてまずおさらいしたいなら、こちらの記事をチェック。 カワサキがKLX230シリーズを[…]
ASEANモデルのプレミアム化を推進するヤマハ 以前からスクープ情報をお届けしているとおり、WR155シリーズやYZF-R15などが200ccに進化して登場することになりそうだ。 国内のヤマハから公道[…]
最新の投稿記事(全体)
ヤマハは、新型「テネレ700」の発売に合わせ、シート高が約30mm下がるローシート&ローダウンリンクを装備した「アクセサリーパッケージ Ténéré700 Low」をヤマハモーターサイクル エクスクル[…]
設置・格納時の利便性を追求したシェード 朝からバイクで遊ぶ時の、トランポでの車中泊に。車内でツナギに着替える際の、目隠しに。 バイク乗りなら意外と気になるのがクルマのサンシェード。できれば、パッと広げ[…]
ブランニュー色はライトグレーのボディにライトブルーのホイール ヤマハが「MT-25」「MT-03」の2025年モデルを発表。YZF-R25&R3と同様にシートまわり&テールカウルが変更されたほか、アシ[…]
新たな2眼ポジションライトでシャープな表情に ヤマハが「YZF-R25」「YZF-R3」を発表。ヘッドライトまわりは中央にプロジェクターLEDライト、これまでに見たことのないデザインの左右2眼(4眼?[…]
光岡自動車が運営するトライアンフ横浜港北 昔からのバイク好きであれば、ボンネビルやタイガーという名称に懐かしさを覚え、若いライダーならスピードトリプルに接する機会もあるであろう、英国車を代表するブラン[…]
- 1
- 2