’18年11月から日本でも販売がスタートしたBMWのスモールアドベンチャー「G310GS」。’21モデルでマイナーチェンジを実施し、ユーロ5に対応するとともに電子制御スロットルやアンチホッピングクラッチを新採用。灯火類のオールLED化で質感がアップしたのも見逃せない。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:松井慎 ●外部リンク:BMWモトラッド
’21 BMW G310GS
[◯] 良心的アップデートでよりビギナーに優しく
BMWのG310GSは、普通二輪免許で乗れる海外ブランドのアドベンチャーモデルとして人気を集めている。搭載する312ccの水冷単気筒は、前後重量配分の最適化を目的としてヘッドの吸排気レイアウトを前後逆とし、さらにシリンダーを10度後傾させている。3シーズン目となる’21年モデルは、ユーロ5対応を機に大掛かりなマイナーチェンジを実施。圧縮比を高めるとともに電子制御スロットルを新採用。最高出力は前年と同じ34psを維持する。
このエンジン、単気筒らしい1発ごとの蹴り出し感よりもスムーズな回転上昇が印象的だ。6000rpm付近から上ではやや微振動が多くなるものの、1万rpmから始まるレッドゾーンまでフラットにパワーが盛り上がる。そして、電子制御スロットル採用と合わせてオートマチックアイドリング機構も導入され、特に発進時はラフな操作でもエンストしにくくなった。加えて操作力の軽いスリッパークラッチや、左右レバーに調整機構が採用されたことで、よりビギナーに優しい進化を遂げている。
ハンドリングは、ベースとなったロードスターのG310Rとは明確に異なり、安定性を重視しているのが微速域から分かる。フロントホイールを17インチから19インチに大径化し、さらにキャスターを1.6度寝かせているのが要因であり、大らかに向きを変える様はまさにアドベンチャーのそれだ。特に気に入ったのはライディングポジションで、ワイドなハンドルバー/座面の広いシート/膝の曲がりが緩やかになるステップ位置/ボリューミーなニーグリップエリアなど、そのどれもが最上位のR1250GSの雰囲気に近しいのだ。加えて、シュラウドが横に張り出しているので特に下半身の防風効果が高く、長時間の巡航でも疲れにくい。末弟とはいえGSを名乗れるだけの要素はきちんと盛り込まれており、ただただ感心する。
なお、ブレーキは引き続きバイブレ製のキャリパーを採用する。フロントはシングルながらも舗装路で不足を感じず、またリヤはダートでもコントローラブルで扱いやすい。
[△] リヤサスの作動性にコストダウンを感じる
ホイールトラベル量は長めながらもピッチングを抑え気味としたサスペンションセッティングは、テレレバー採用以降のR‐GSに通じるところがあり、疲労軽減に役立っている。だが、リヤは深く沈んだあとの戻りが早く、マシンを安っぽく感じさせる原因に。
[こんな人におすすめ] バンブルビーと呼ばれた特別色。早めにゲットを
試乗車のブラックは、「バンブルビー」の愛称で親しまれたR100GSにインスパイアされた40周年記念カラーだ(’21限定車)。KTMの390アドベンチャーやホンダの400Xなどがライバルだが、G310GSはそれらよりも10万円以上安いのがアドバンテージだ。
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G310GS 概要 G310Rの基本構成を踏襲しながら、クチバシやシュラウドでGSルックを再現。ヘッドライトはフレームマウントとしている。前輪は17→19インチに大径化し、前後サスペンションストローク[…]
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