エンジンの特許図も入手!

【徹底解説】ホンダ新型「GB350」ついに登場!! 注目の空冷単気筒ハイネスCB350の日本仕様


●写真:真弓悟史、Honda

ホンダは、2021年2月20日よりWEBでスタートする「ホンダモーターサイクルフェス2021」にて新型「GB350」を公開。インドで昨秋発表されたハイネスCB350の日本仕様版で、本誌既報通りの改名となった。車両はすでに量産が近いバージョンのようで、この3月末にも正式発表される模様だ。

日本の熊本製作所で組み立てを行う“ノックダウン生産”という噂も

これこそ、みんなが待っていた新世代の単気筒スタンダードだ! 丸目のLEDヘッドライトにシンプルな燃料タンク、そしてダブルシートへの流れるような水平ライン。ほぼ垂直に立った単気筒エンジンのシリンダーには冷却フィンが刻まれ、空冷であるこをと誇示する。2本ショックのリヤサスペンションにスチール製の前後フェンダー、リラックスしたライディングポジションなど、普遍的なバイクらしさをたたえたこのバイクの名は「GB350」である。

そう、このGB350こそホンダがインドで発売し、わずか4か月間で1万台を販売した「ハイネスCB350」の日本仕様だ。我々はこれまで日本への投入も確実と報じてきたが、ついにその実車がGB350として姿を現した。日本語のコーションラベルが貼り付けられているなど、すでに量産バージョンに近い試作車と見られるGB350は、この3月末にも正式発表される見通しだ。

単気筒トラディショナルバイクとして43年の歴史を刻んできたヤマハSR400がファイナルエディションとなったこのタイミングで、入れ替わるように登場することになるGB350。かつて存在したSR500をも超えるロングストローク設定の空冷単気筒エンジンを搭載し、“バイクらしいバイク”を求める層だけでなくシングルマニアにも注目されている。

「GB」というとまず思い浮かぶのが、1980〜90年代にかけてトラディショナルなシングルスポーツとして人気を博した250〜500のシリーズだろう。しかし、今回のGB350は単にトラディショナルなだけではなく、多くのモデルを乗り継いできたベテランライダーから初めてバイクに乗る若者にも広く開かれたプロダクトブランドとして「自由であることの楽しさ」を提供できるモデルを目指すとされる。詳細なスペックや価格などは正式発表時まで未公表となっているが、ここではひと足先にGB350のスタイリングやディテール、テクノロジーなどを探ってみた。

インドで絶大な人気を誇るロイヤルエンフィールド350の対抗機種として、ホンダが2020年秋に発売したハイネスCB350。日本仕様はこれをベースに細部が変更される。サイドカバーのエンブレムも「GB350」に変更だ。

【参考:HONDA H’ness CB350[2021 India model]】主要諸元■全長2163 全幅800 全高1107 軸距1441 最低地上高166 シート高800(各mm) 車重181kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC 348.36cc ボア×ストローク70mm×90.5mm 圧縮比9.5 21ps/5500rpm 3.06kg-m/3000rpm 変速機5段 燃料タンク容量15L■キャスター27°05′/トレール120mm ブレーキF=φ310mmディスク+2ポットキャリパー R=φ240mmディスク+1ポットキャリパー タイヤサイズF=100/90-19 R=130/70-18 ※諸元はインド仕様

CB400SFに負けない本格サイズ、この車格で50万円切りもあり得る!?【スタイリング解説】

今回撮影できた車両は日本仕様GB350の試作車両。量産モデルでは細部が変更される可能性はあるが、ほぼこの状態で最終仕様と見ていいだろう。撮影車両はインドには存在しないカラーリングとなっていることにも注目だ。

実車を前にしてまず驚かされるのが、単気筒モデルながらこのクラスとしてしっかり存在感のある車格。GB350のスペックは未発表だが、インド仕様のハイネスCB350で見ると、全長は2163mmでホイールベースは1441mm、車重は181kgとなかなかのもの。CB400スーパーフォアが全長2080mm、ホイールベース1410mm、車重201kgだと考えれば、そのサイズ感を想像いただけるだろうか。なるほどこれならベテランからビギナーまで、幅広いユーザーを狙っているというのも納得。長く付き合えそうな印象を受けるはずだ。

エンジンは完全新設計の空冷SOHC2バルブ単気筒。ほぼ垂直に立ったシリンダーがトラディショナルな印象をアピールしつつも、吸気系にはPGM-FIを採用してユーロ5相当の排ガス規制をクリア。トラコンに相当するホンダセレクタブルトルクコントロール(HSTC)も装備し、中身は現代的な最新設計を誇っている。

車体は、いかにもバイクらしいスチール製セミダブルクレードルフレームに正立フロントフォーク&リヤ2本サスの組み合わせ。前後フェンダーはスチール製となっており、こうした部分も立派な車格を演出する要素となっている。

気になる価格は、本誌の予測で税込み50万円前後。50万円を切ってくれると万々歳だ。さらに写真の車両の他にバリエーションモデルがもう1台用意されている様子(インドで発表されたCB350RSの日本バージョン?)。新時代スタンダードバイクが、もうすぐ日本のライダーの前にも誕生するぞ!

大径の前後ホイールや大きめの車体寸法により、堂々とした雰囲気を持つGB350。大柄な男性が跨っても違和感はないだろう。

タンク形状やエンジン外観などは、初期型のホーク/ホークIIあたりにも通じる雰囲気。撮影車はマットブルーにブラウンシートの組み合わせだったが、カラバリも気になる!

GB350はトラディショナルな外観に加えて、立派な車格も大きな魅力。そんなモデルが、ハンターカブCT125の車両価格44万円からプラス5万円で手が届くかも?

単気筒ではあるものの、前後ビューはなかなかどっしり感のある堂々としたもの。マフラーは右1本出し。ヘッドライト&テールランプや前後ウインカーはすべてLEDとなっている。

幅広で手前に引かれたバーハンドルはメッキが施され、中央に配置されたキーシリンダーやアナログメーターといった構成はシンプルそのものだ。とはいえ350ccクラスに求められる質感は備えており、安っぽい感じはしない。

アナログの見やすさと電脳装備が同居するメーター。速度計はフルスケール160km/hだ。液晶部はギヤポジションやトラコン表示のほか、リアルタイムで燃費や走行可能距離なども表示する。ただ、今回の車両ではスマホ連動機能HSVCSのブルートゥースマークは確認できず。

テールランプもLEDで中央部が円形&放射状に光る。省電力でバルブ切れの心配も少なく、ビギナーにも安心だ。

ヘッドライトは中央にスリットの入った丸形ハウジングで、中身はモダンなLED。ウインカーもLEDで、ポジションランプがリング状に光る。ホーンはハイネスCB350の標準モデルDLX同様にシングルだが、位置は逆の左側。

ボリューム感のある燃料タンク。容量は未発表だが、ハイネスCB350の15Lと同じかそう変わらないはず。サイドの“HONDA”エンブレムは立体で質感も上々だ。タンク上面には日本語のコーションラベルが貼付されていた。

シートは適度な段差のついたダブルタイプでグラブバーも装備される。タンデム部の座面はフラットで広く、荷物を積載する場合も活躍してくれそうだ。

最新技術で再現する古き良き時代の味、懐かしいけど新しいエンジンとは?

GB350は単気筒マニアも納得いくトラディショナルなスタイリングが特徴だが、実は現代的なトレンドを取り入れた完全最新設計。その最たるものがハイネスの諸元で排気量348.36ccとなる空冷SOHCエンジンだ。

シリンダーはクランク軸中心からオフセットして側壁への摩擦を低減し熱効率を向上。さらにボア×ストロークは70mm×90.5mmで、ボアスト比は1.293とした。これはテイストを重視したモデルとしてはぶっちぎりの超ロングストローク仕様で、極低速域からしっかり粘り、単気筒ながら回してもしっかり伸び上がる特性になっていると予想される。

また、ロングストロークは強い鼓動感が特色だが、このエンジンでは1次バランサーシャフトに加えてメイン軸にもバランサーを配置し、振動を程よく軽減しているのもポイント。車体面も、最新の解析技術で低重心化されたフレームをはじめ、オーソドックスながらも現代的な思想が詰まっている。最新技術で古き良き時代の味を再現しようとしているのだ。

なお、GB350の最終組み立ては高度な設備と熟練技術者を誇る熊本工場になるという噂。品質面も期待できそうだ。

長年作られてきたかのような外観のエンジンだが、中身はオフセットシリンダーや同軸バランサー、アシストスリッパークラッチといった技術が採用された完全新設計。レトロな皮をかぶった最新ユニットだ。吸気系はFIを採用しており、撮影車を見る限り通常のワイヤー引きタイプで、電子制御スロットルではない模様。その下には燃料の大気蒸散を防ぐキャニスターを装備している。

インド仕様のハイネスもバルブ数は未発表だが、2月12日に公開されたホンダの特許にハイネスそのもののエンジン図があり、これを見る限りは2バルブで確定だろう。ローラーロッカーアームやカムチェーンの右側配置も伺える。キックスターター軸が描かれた別図版もあったが、果たして…。

車体構成は奇をてらわずスタンダード

ライディングポジションはリラックスがただが、足着きには注意が必要かも。上体がすっくと直立したアップライトなポジション。膝の曲がりもきつくない。ただ、サイドカバーの張り出しが強く、股が開きぎみになってしまうために身長172cm/体重75kgでもかかとが浮いてしまうなど、足着き性はそれなりだ。

キャストホイールはY字7本スポーク型で、フロントフォークは正立タイプ(調整機構はなし)。ハイネスCB350はインドMRF製のタイヤを履いていたが、GB350はダンロップ・アローマックスGT601(100/90-19サイズ)を装着していた。キャリパーはおなじみニッシン製だ。

リヤのツインショックにはカム式プリロード調整を採用。スプリングは途中で巻き具合の変わるダブルレートタイプで初期作動と踏ん張りを両立。スイングアームはスチール製のボックスタイプだ。リヤスプロケットは小ぶりな印象。丁数は35Tだった。参考までに、ハイネスCB350のブレーキディスク径は前φ310mm/後240mm。

シフトペダルはハイネスCB350と同様に蹴り返しの付いたシーソータイプ。一般的なチェンジ方法にも対応しつつ、踵で踏み込んでシフトアップできるので、靴先を傷めたくないときにも便利だ。

マフラーはステンレス製のようで、先日インドで発表されたCB350RSよりも水平に近い角度となっている。

センタースタンド装備もうれしい。オプションになるか標準装備になるのかは正式発表を待ちたい。

クロームメッキの前後フェンダーを採用するハイネスCB350に対し、撮影したGB350はグレーの塗装仕上げ。しかし素材はハイネス同様スチールが用いられており、造形や重厚感は不変だ。

ステッププレートの仕上げはフレームと同系色とされ、ハイネスCB350のシルバー仕上げと異なっている。形状はどちらも一緒だ。

GB350はグラブバー途中とリヤショックマウント上部に荷掛けフックを追加されている。ヘルメットロックは共通のようだ。

GB350の詳細が未発表なので、ハイネスCB350のメカニズムをおさらい

写真はGB350のエンジン。

新設計の空冷SOHC単気筒は、ボアよりもストロークが20.5mmも大きなディメンションを採用。このロングストロークぶりはクラス随一で、テイスト面に大きく貢献する。GB350もそのままのはずなので大いに期待したい。

ロングストロークを採用した際には、ピストンとシリンダー側壁のフリクションロスが問題となるが、これを低減するためにシリンダーはクランク軸より前方にオフセットされる。吸気系にはFIを採用し、ユーロ5相当のインドの排ガス規制「BS6」をクリア。クランクケースはトランスミッション室との間に隔壁を設け、エネルギー損失を低減するクローズド型だ。

【現行テイスト系では最ロングストローク】ハイネスCB350のボア×スト比は、いわゆるテイスト系エンジンの中では排気量・気筒数などを問わず最大の1.293を誇る。数値を並べてみると直接のライバル・SR400よりももっと「ドコドコ感」を楽しむことができそうだ。

シリンダーはクランク軸中心よりオフセット。クランクシャフト前方には1次バランサーシャフト、後方のメインシャフトには同軸バランサーを配し、1次振動/2次振動をともにキャンセルする。

ハイネスの排気量は348.36ccで最高出力は21ps/5500rpm、最大トルクは3.06kg-m/3000rpm。フラットトルクでダダダッと地面を蹴りながらストレートに伸びていく、そんなクセのないスタンダードな出力特性が期待できる。

2重構造のエキパイと一室式のサイレンサーを持ち、中央の触媒で排気ガスを処理。音響グラフを導入した念入りなサウンド調整も行われ大胆な低音を自慢とする。インドにおけるユーロ5相当の排出ガス規制「BS6」をクリアしているので、日本でもほぼそのままいけるはずだ。

フレームはオーソドックスな鋼管セミダブルクレードルタイプだが、柔軟かつリラックスしたハンドリングを実現するために最新の解析技術に基づいた設計がなされている。最新の解析技術からエンジン搭載位置を下寄りとし、ヘッドパイプと離すことで低重心化とフロント荷重の最適化を図った設計だ。これに剛性に優れた鋼管ボックスセクションのスイングアームを組み合わせ、様々な路面状況にも対応する。

ハイネスCB350ではSTDとなるDLXに単色3種、上級版のDLX PROにツートーン3色が設定されている。GB350のカラーバリエーション設定は3月末の正式発表時に明らかになる。参考までに、ハイネスCB350は現地インドでスタンダード仕様となるDLXと上級版となるDLX PROの2グレードで発売されている。PROはスマホ連動のボイスコントロールシステムやツートーン塗装、ダブルホーンを採用。エンジンやトラコン、フルLED灯火類といったキモとなる装備は両車共通だ。

HONDA GB350[2021 model]

ヤタガイヒロアキが動画で解説!


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