
本田技研工業において二輪商品の開発業務に携わってきた安藤弘之氏による個展「“55mm”の夢の世界 =ミニチュア・モーターサイクルで綴る風景=」が開催される。本展は、独自の手法と感覚を用いて制作された、全長わずか55mmのミニチュア・モーターサイクル作品を間近で鑑賞できる機会だ。退職後に制作スピードが向上したことで、新たに生み出された渾身の作品群が並ぶ本イベントについて、展示される名車たちの背景情報とともに詳細を解説しよう。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:さかつうギャラリー
全長55mmの空間に広がるモーターサイクルの世界観
この個展の最大の魅力は、実車の構造を熟知した開発経験者ならではの視点で造り込まれたミニチュア作品の数々だ。全長約55mmという極小のスケールでありながら、金属の質感やエンジンの造形などががデフォルメに見合った形で忠実に再現されている。ただバイクの模型を展示するだけでなく、人物像を組み合わせることでひとつの情景(風景)として成立させている点も見逃せない。
ミニチュア化された歴史的名車とその背景
会場には、二輪史に名を残す名車をモチーフにした作品が展示される。ここでは、それら実車の歴史的背景を振り返っておこう。
浅間火山レースを席巻した4気筒マシン「1959年型 RC160」
展示作品のひとつである「1959年 RC160」は、ホンダ初の250ccレーシングマシンがモチーフ。1959年8月に開催された「第3回 浅間火山レース」に投入されたこのマシンは、空冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載していた。
14,000rpmという高回転から生み出されるエキゾーストノートは「アサマフォア」と呼ばれ、最高出力は35PS以上、最高速度は220km/h以上を誇った。同レースにおいて1位から3位を独占する圧勝を収めた伝説のマシンだ。
世界市場に挑んだフラグシップ「ドリームCB450」
当時のホンダがヨーロッパ製大型バイクに対抗すべく「コンドル計画」のもと開発したのが、1965年発売の「ドリームCB450」。量産オートバイとして世界初となるDOHC機構を採用した排気量444ccの並列2気筒エンジンを搭載し、最高出力43ps/8,500rpmを発揮した。
日本国内では「クジラ」、海外では「キャメル」と称された特徴的な燃料タンクを持ち、「オートバイの王様」というキャッチコピーで販売された当時のフラグシップモデルだ。
常勝を誇った耐久レーサー「RCB」と人物像の融合
また、「耐久レーサーRCBとクリスチャン・レオン選手」の情景作品も展示される。トリコロールカラーが映える無敵の耐久レーサーと、それに跨るライダーの姿が一体となって表現されている。
このように、車両単体だけでなく人物の表情やポージングを含めた作品造りが、安藤氏のミニチュア・アートの真骨頂なのだ。
個展参加ガイド
会場は、東京都豊島区巣鴨にある「さかつうギャラリー」となっている。最寄り駅はJRおよび地下鉄三田線の巣鴨駅であり、駅から徒歩1分という非常にアクセスの良い立地だ。
また入場料は無料で、誰でも気軽に作品を鑑賞することが可能。開催期間は2026年4月11日(土)から4月19日(日)までとなっているが、期間中の4月16日(木)は定休日となっているため、訪問のスケジュールを立てる際には注意が必要。開館時間は10:00から19:00だ。
全長55mmに込められた情熱をその目で確認しよう!
二輪開発のプロフェッショナルが引退後に注力する、緻密で温かみのあるミニチュア・モーターサイクルの世界。名車たちの歴史的背景を思い浮かべながら、全長55mmに込められた情熱を観察してみてはいかがかな。
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