ヤマハは欧州でトレーサー900のフルモデルチェンジ版となる「TRACER 9」および「TRACER 9 GT」を発表。先行発表されていた新型MT-09をベースにフレームから専用チューニングとし、各種制御に加えて上級モデルのGTには電子制御サスペンションやコーナリングランプを採用する。
トルクフルな新890ccエンジンに新設計フレーム、独自製法の軽量ホイール
ヤマハはMT-09、MT-07に続いて2021年モデルの「TRACER 9」および「TRACER 9 GT」を欧州で発表した。同社のYZF-R1シリーズを思わせる鋭い表情になり、スポーツ性能とツーリングなど多用途に使える実用機能を磨き上げ、電子制御も最新トレンドを盛り込んでいる。
エンジンは新型MT-09が採用するものと同様の890cc水冷4ストローク並列3気筒で、ピストンやコンロッドなど主要パーツの多くを新設計したうえでストロークを3.1mm延ばすことにより排気量を45cc増大。燃費は従来比9%改善し、3psのパワーアップと0.6kg-mのトルクアップを達成した。新たにアクセルポジションセンサーグリップ=APSG、および完全にワイヤーを排した電子制御スロットルも採用している。
軽量なCFアルミダイキャストフレームはMT-09用に新設計されたものだが、トレーサー9用に専用のチューニングを施し、スポーツツアラーに必要な剛性バランスとした。また、サブフレーム(シートレール)とスイングアームは専用設計で、ホイールベースは新型MT-09の1430mmからトレーサー9は1500mmに。これらにより優れた高速安定性とタンデム居住性を確保している。ホイールは新型MT-09でも話題になったスピンフォージド技術で、鍛造並みの強度と靭性を達成した。タイヤはブリヂストン製のブランニュー「BATTLAX SPORT TOURING T32」を専用チューニングして装着する。
電子制御は、MT-09と同様にYZF-R1比で50%の小型化と40%の軽量化を実現したIMUを搭載し、これを軸にトラクションコントロールシステム、スライドコントロールシステム、リフトコントロールの3種を統合制御。もちろん各システムとも調整とON/OFFが可能だ。
ヘッドライトはLEDで、スーパースポーツのYZF-R1を思わせるような睨みの利いたポジションランプを組み合わせる。メーターは3.5インチTFTをツイン装備し、燃料計やシフトインジケーターなど表示する情報は選択も可能。クルーズコントロールのセット速度もメーターで確認できる。
ウインドプロテクションは従来モデルよりも向上したほか、シート高は810mmすることで足着きも安心。また、ステップとハンドルバー、シート(ライダー側)はそれぞれ2ポジションに調整可能だという。
TRACER 9 GTは電制サスやコーナリングランプ、クイックシフトでツーリング性能を大幅に向上
トレーサー9 GTには、新たにKYB社と共同開発の電子制御サスペンション「KADS(KYB Actimatic Damper System)※Actimatic: ActiveとAutomaticから成る造語」を採用。IMUとECU、そして「HU(Hydraulic unit)」の情報に基づき、「SCU(サスペンションコントロールユニット)」が走行中に減衰レベルを最適化する仕組みで、減衰力の調整機構にはヤマハ初のソレノイド駆動を用いる。モードは、ドライ/ウエットでのスポーティな走りを主体とした「A-1」、長距離走行時などで快適な乗り心地を狙った「A-2」の2つが用意される。
同じくGTの専用装備には、夜間走行でライダーの負担を軽減するコーナリングランプも。これは、コーナリング時に暗くなってしまうコーナーの先のイン側を照らすもので、ハイビーム/ロービームのいずれにも対応し、バンク角を検出して点灯、さらにバンク角が深まるのに伴い明るくなる。
シフト操作をサポートするクイックシフトシステム=QSSについては、従来はシフトアップのみだったが新たにシフトダウンも可能な上下対応となった。
YAMAHA TRACER 9 ABS / TRACER 9 GT ABS[2021 model]
【YAMAHA TRACER 9 ABS / TRACER 9 GT ABS[2021 model]】主要諸元■全長2175 全幅885 全高1430[1470] 軸距1500 シート高810/825(各mm) 車重213kg[220kg]■水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ 890cc 119ps/10000rpm 8.5kg-m/7000rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ※諸元は欧州仕様/[ ]内はGT ●価格:未発表 ●日本導入時期:2021年春以降
YAMAHA TRACER 9 ABS / TRACER 9 GT ABS[2021 model]ディテール
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
↓↓追加情報が出ました↓↓ 排気量は3.1mmのストロークアップで847→890ccへ|IMU+電子制御スロットル採用 欧州ヤマハは新型MT-09を発表。エンジンは排気量を45cc拡大するとともにユー[…]
↓↓続報はコチラ↓↓ 北米価格は7599(約79万5000円)→7699ドル(約80万5000円)、日本でも価格上昇は最小限か ヤマハは欧州および北米で新型「MT-07」を発表! 今までに全世界で12[…]
各部をブラックアウトし、ダブルステッチのシートやシルバーアルマイトのスイングアームも ヤマハは欧州で新型「MT-09 SP」を発表した。先日発表されたばかりの新型MT-09をベースに特別装備を与えたモ[…]
LEDフェイスと倒立フォークで武装した2020年モデルを踏襲、よりアグレッシブなカラーリングへ 2019年10月に欧州と北米で先行発表され、日本では2020年3月に発売されたヤマハ「MT-03」および[…]
トレーサー700:YZF-R顔になって精悍さが倍増 並列2気筒を持ったMT-07の兄弟車となる「トレーサー700」は、'20でYZF-Rシリーズのようなフロントフェイスとなってモデルチェンジ。同時に吸[…]
最新の記事
- カワサキが新型「KLX230 シェルパ」を発表!! KLX230シリーズに加わった“トレッキング”仕様
- 名車がスケールモデルで蘇る! ホンダCB400FOURが1/12完成品バイクとして登場
- 125cc以下のバイクを原付免許で運転可能に 2025年4月1日から、ただし運転できるのはあくまでも“新基準原付”
- 【2024年11月版】50cc原付バイクおすすめ12選! クルマの免許でも乗れるカブ系/スクーター/電動バイクを網羅!
- 「前時代的? な気合とド根性が現代のMotoGPをさらなる高次元へ」【ノブ青木の上毛グランプリ新聞 Vol.19】
- 1
- 2