
ハイクオリティで、操作性を含めて機能的。日欧のスポーツバイクで培った技術とノウハウをもとに、ハーレー用カスタムパーツを続々とリリースし、人気を博している「SPEEDRA(スピードラ)」の製品企画/開発現場に潜入することができた。その場所はなんと、ハーレーダビッドソンの正規ディーラーだから驚きを隠せない。サーキット/オフロードでスポーツライディングを愉しむH-D高崎の武井社長と、実車を前に綿密な打ち合わせが行われていたのだ!
●文:青木タカオ(ウィズハーレー編集部) ●写真:ミヤシーノ宮下豊史 ●外部リンク:ハーレーダビッドソン高崎、株式会社SSK
何がいま求められているのか、販売の現場で徹底リサーチ!
「ステップをミニフットボードに交換するのに伴って、シフトチェンジペダルをカカトでも踏み下ろせるようにシーソー式にしたいという要望を耳にしますね」
ハーレーダビッドソン高崎の武井幸司社長が、お客様との会話の中で得たそんな“生の声”を一語一句聞き逃すまいと真剣に向き合っているのは、SPEEDRA(スピードラ)をリリースするSSKの椎名達也代表と営業担当の坂本直人氏だ。
「角度や長さはどのぐらいが最適でしょうか? フットペグのソールが接する面はアールをつけて、先端には足が外れないよう引っかかりを設けています。また、どんなデザインや仕上げの色が好まれると思いますか?」
製品や開発中のサンプルを手に取ったり、あるいは車両に装着した状態でじっくりと議論を交わす。レバーならグリップとの位置関係や指のかかり具合、長さや形状などフォルムはもちろん調整機構も綿密に確かめる。
ドライカーボンやアルミビレットパーツなど、高機能素材を用いた製品を完全にボルトオン化。装着を容易にし、ユーザー自身によってグレードアップが図れると、日欧のスポーツバイクで人気を博してきたスピードラが、昨今ハーレー用のパーツを続々とリリースし、注目を集めている。間近で見て触れば頷ける、圧倒的な高機能とクオリティの高さが人気の秘訣だ。
その製品開発の企画段階に立ち会うことができた。驚くのは打ち合わせの最中、ハンドスキャナーにて実車の形状を寸分狂わず計測し、データ化するという、じつに先進的な作業を開発過程にて行っていることだ。
実際には車両からパーツを取り外し、膨大な時間を要してあらゆる角度からスキャニングするのだが、一例をデモンストレーションとして公開してくれた。
もちろん、椎名代表自身ハーレー乗りで、ローライダーSTに加えて新型ロードグライドも愛車に加わり、両モデル用の製品開発に拍車がかかる。今回のように販売店で意見や要望を聞いたら、その場で即座にデータを持ち帰り、正確かつスピーディな製品開発を実現しているのが、同社の強みにもなっている。
「こんなことは前代未聞、初めてですね」
武井社長はそう言って目を丸くする。販売店やユーザーが求めているカスタムパーツのサンプルがすぐに出来上がり、それでいて品質/機能が抜群に優れていると舌を巻く。
最新の加工技術で成形されるドライカーボンパーツは超軽量/超強度を誇り、綾織とフォージドカーボンでそれぞれ艶ありか艶消しかをチョイスできる。
高強度アルミニウム合金素材A6061-T6より高精度切削加工されるアルミビレットパーツは、変色や腐食を防ぎ、耐摩耗性を向上させ鮮やかな発色を維持する独自のアルマイトで仕上げられる。カラーバリエーションは豊富だ。
サーキットやオフロード、オン/オフを問わずスポーツライディングを満喫する武井社長にとっては、見た目の良さはもちろん、独自思想の3Dデザインによる優れたコントロール性や機能へのこだわりを徹底追求している点もまた大きな魅力となっている。
椎名代表は自信に満ちあふれた表情で「ブレイクアウト用の新作パーツも各種いろいろとも開発中です」と教えてくれると、さらにこう続けた。
「ハーレーのカスタムは多彩で、日本や欧州車とのカルチャーの違いに最初は驚きましたが、高い品質やデザイン性がユーザーに求められていることがわかり、やりがいを感じています!」
スピードラのパーツを目にする機会が、今後もますます増えそうだ!!
ハンドスキャナーで即座にデータ収集!!
「先進的な企画/製品化をしている」と、ハーレーダビッドソン高崎の武井社長も感心するのが、ハンドスキャナーによる正確なデータ収集だ。カスタムパーツの要望を伝えると、即座にプロダクト化へ向け動き出す。
ファクトリーには大型の3Dプリンターも導入された。トレンドを反映し、タイムリーに新作パーツが続々とリリースされる秘訣は、こうしたハイテク導入によるところも大きい。
◆ローライダーST用のアルミビレットレバーがいよいよニューリリースされる。握り心地やタッチ、形状/長さ、そして調整機構や目盛りの刻み方など細部にわたって検討され、とことん議論が交わされる。妥協は一切ない。
◆クラフトマンシップにのっとったSPEEDRAのプロダクト。ペダルなど操作系のパーツは、見た目や質感はもちろん、機能性にも優れていなければならないというポリシーがある。販売店やユーザーの要望に耳を傾け、試作を重ねていくことで完成へと至るのだ。
◆ハーレーダビッドソン高崎(群馬県高崎市小八木町1493-2)では、SPEEDRAのアルミビレットパーツやドライカーボン外装を間近で見て触り、取り付けを依頼することもできる。ローライダーST/パンアメリカ1250/S/スポーツスターSなどのオーナーはとくに必見。関越自動車道・前橋インターからすぐ、ツーリングの途中に立ち寄るのもいいだろう。
SPEEDRA(スピードラ)のカスタム車両記事
SPEEDRA:質感向上に欠かせない高品質素材。色とりどりのアルミビレットパーツ スポーツスターS/ローライダーSTなどを皮切りに、新たにハーレー市場に参入。アルミビレッドパーツやドライカーボンカウル[…]
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』のお買い求めはこちら↓
ウィズハーレーの最新記事
筑波サーキットにH-D Xたちが集合 H-D Xでのサーキット走行をおすすめしたい。X350はあきらかにXR750をモチーフとしたデザイン。「スポーツライディングを楽しんでほしい」というメーカーからの[…]
〈WEBIKE FESTIVAL〉2024.10.19 SAT. ロングウッドステーション(千葉県長柄町) 【X500 ヒデヨリさん】「見た目など、あえてハーレーらしさを捨てたチャレンジ精神の塊のよう[…]
ホンダやヤマハなど国内車両メーカー用のパーツ、排気量問わずに原付からスーパースポーツ、さらにはレース関連をサポートするパーツを得意とするメーカー。今回X350用のパーツでハーレー市場に参入した。 ここ[…]
ゲイルスピード タイプE/N/R 鍛造アルミホイールメーカーとして名高いゲイルスピード。ストリートからレースシーンで活躍しているカスタムホイールだ。サイズはいずれも純正と同じF3.5-17/R5.5-[…]
欧州スタイルの正規販売店イベント 週末をハーレーダビッドソンディーラーで過ごし、ブランドの世界観の中で仲間たちと過ごす。ヨーロッパにて行われているH-D正規販売店の『HARLEY NIGHT(ハーレー[…]
最新の関連記事(カスタム&パーツ | ハーレーダビッドソン)
筑波サーキットにH-D Xたちが集合 H-D Xでのサーキット走行をおすすめしたい。X350はあきらかにXR750をモチーフとしたデザイン。「スポーツライディングを楽しんでほしい」というメーカーからの[…]
ホンダやヤマハなど国内車両メーカー用のパーツ、排気量問わずに原付からスーパースポーツ、さらにはレース関連をサポートするパーツを得意とするメーカー。今回X350用のパーツでハーレー市場に参入した。 ここ[…]
ゲイルスピード タイプE/N/R 鍛造アルミホイールメーカーとして名高いゲイルスピード。ストリートからレースシーンで活躍しているカスタムホイールだ。サイズはいずれも純正と同じF3.5-17/R5.5-[…]
クラウス:オーリンズ ツーリングモデル用フロントエンド クラウスとオーリンズとのパートナーシップにより実現した、ツーリングモデル専用設計のフロントエンド。アグレッシブな走りを支える高次元の路面追従性/[…]
空冷スポーツスター用カスタムパーツを世に送り出し続けているグリーミングワークス(大阪府)。一方で水冷スポーツスターSやナイトスター用パーツもラインナップし、自然な流れでX350用パーツの開発も手がける[…]
人気記事ランキング(全体)
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル 直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ[…]
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
最新の投稿記事(全体)
廉価&シンプルなハイブリッドシステムで燃費性能を向上! ヤマハモーターインディアは、15年以上にわたってシリーズ累計150万台以上を販売してきた人気モデル「FZ-S」の最新モデルとして「FZ-S Fi[…]
EVは脱炭素社会実現と移動課題の改善に寄与するか 「バイクラブフォーラムin南国みやざき」で実施されたパネルディスカッション、「電動二輪車利活用による社会課題(脆弱な二次交通)解決」において、次のトー[…]
150万円切りはほぼ確実と思われるが…… ヤマハは台湾で、欧州および北米などで発表済みのスーパースポーツモデル「YZF-R9」の導入価格を発表。日本国内にも2025年春以降の導入が案内されており、正式[…]
100万都市・千葉市のバイク駐車場問題 上総台地の平坦地に位置する千葉市は、人口98万人強の大きな自治体で、現在も増加中であることから「最後の100万都市」とも呼ばれている。 高度経済成長期には大規模[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]