見るほどに走るほどに、437万8000円のクオリティに納得

ビモータ KB4 試乗インプレ【圧倒的な軽さが生み出す衝撃の連続。スポーツバイクの未来を暗示させる独創性に富むビモータワールド】

KB4はなぜニンジャ1000SXエンジンを採用したのだろう?

KB4に試乗してニンジャ1000SXエンジンの守備範囲の広さを再認識した。市街地からサーキットまで走って感じたのは、どの回転でも扱いやすく、ライダーを急かさないこと。このキャラクターがKB4のハンドリングととてもマッチしている。

市街地をスタイリッシュかつトラディショナルに流すことも可能だし、ワインディングをリズミカルに駆けることも可能。当然、サーキットでは142psを解放させることもできる。さらにモードを変更することで、まるで排気量の小さなバイクに乗っているような感覚も味わえる。

もちろん、ニンジャ1000SXも同じエンジンだから、この感覚に近いところは味わえる。ただし、硬いシャシーとサスペンションは、モードを下げるとスロットルを開けた時の反応が遅れるような印象が強くなるのも正直なところ。これが重さに感じてしまうのだ。しかし、車体もサスペンションもフレキシブルかつ軽量なKB4にはそんな動きがなく、エンジンモードをより有効に使うことが可能なのだ。

軽くて短い車体構成とこのエンジンの組み合わせは、どんなシチュエーションでもライダーを警戒させないバランスの良さを持っている。

左はスチールパイプトレリスフレームとエンジンとスイングアームを連結する、アルミ削り出しのプレート。スイングアームは左右アーム部分とセンター部分を溶接で結合。ちなみにテージH2は溶接でなく接着だった。

ラジエターがないため、すっきりとしたエンジンの前部分。水冷エンジンで4本のエキパイがしっかり見えるのはちょっと新鮮。カワサキ製のメインキーにビモータマークが刻印される。

ホイールはOZ製のアルミ鍛造。タイヤはピレリ製のディアブロスーパーコルサSP。

これからのカワサキ×ビモータのタッグに期待!

「ビモータはカワサキのイタリア工場ではありません。そうなってしまったら面白くないですよね。それにカワサキがニンジャ1000SXを42kg軽量化するのは無理ですから。KB4、私にも乗れますかね〜。乗ってみたい!」とカワサキモータースジャパン社長の桐野英子さん。KB4発表時に少しお話をさせていただいたが、この桐野さんの言葉に今後の『カワサキ×ビモータ』のタッグがさらに楽しみになった。

ハイパワー化が進むスーパースポーツは、バイクの技術の集大成として確かに魅力的だが、その領域でライダーが自己発揮するのはすでに不可能。であればこれからのスポーツバイクは、スペックや速さを追求する電子制御だけでない未来が不可欠だ。

その答えの一つが、KB4のようなバイクなのではないかと思う。短い時間の試乗だったがそれを痛感した。もちろん今の段階では多くの方にとって現実的な価格ではないし、手が届かない。メーカーもこのパッケージを量産することはできない。

しかし、エンジンの搭載位置や方法、これまでになかった大胆すぎる車体設計が新しい感性のバイクを生み出していくことがよくわかった。KB4に乗って、やはり軽さは何にも変え難い正義であることもよくわかった。軽さはライダーに優しいのである。市街地でもワインディングでもサーキットでも、ライダーに寄り添うような優しさを持っているのである。

走るほどにこれなら長くスポーツバイクを楽しめるような気がしてくる。楽しんでスポーツするか、緊張してスポーツするか、KB4は明らかに前者であり、そこにスポーツライディングの未来があるような気がしてならない。

常識にとらわれない発想が面白いバイクを生み出し、これからのスポーツバイクを創造していく。そしてこの感性をビモータと共有できることは、カワサキの強みにもなっていくような気がする。そういった意味で『カワサキ×ビモータ』のタッグは、とても大きな希望に満ちている。

速さでなくハンドリングを楽しむ感覚はとても新鮮。そのバランスは新しさに満ちている。

メーターはカラーTFT。キーをオンにするとbimotaのロゴが浮かび上がる。モードは「スポーツ」「ロード」「レイン」から選べる。最大バンク角が表示されたりとなかなか楽しいダッシュボードだ。

ブレーキマスターはブレンボ製のセミラジアル。クラッチはワイヤー式。左右どちら側にもレバー位置を調整できるアジャスターが装着されているのはカワサキならでは。

複雑な造形もすべてドライカーボンで成形していく。このつくりを見ると量産に時間がかかるのも納得せざるを得ない。

ビモータの価格発表からかなり円安が続いているが、この価格はキープされるだろうか……。そのこだわりを知るほどに437万8000円はそれほど高くないのではないだろうか、と思えてくる。

ビモータらしさ、そしてイタリアらしさをアピールするワンポイントも上手い。

購入は抽選。随時受付中だ

437万8000円。それはとても高価だ。しかし、そのディテールを見るほどに価格には納得できるはずだ。KB4は抽選販売。気になる方はウェブサイトをチェックしてみよう。1回の入荷台数は限られるため、入荷タイミングと台数に合わせて随時購買権を抽選していく方法で、販売は一部のカワサキディーラーとモトコルセで行われる。

すでに第19期の抽選は終わっており(2022年7月4日現在)、第1期に購買権を得た方から納車も始まっている。

カワサキ×ビモータの第2弾であるKB4。比較的オーセンティックな車体づくりかと思ったが、そのハンドリングはやはり異次元の面白さに満ちていた。

軽いこと、それはすべてのシチュエーションでメリットになる。常識にとらわれないビモータのバイクづくりは本当に面白い。
主要諸元■全長2050 全高1150 全幅774 軸距1390 シート高810±8(各mm) 車両車重194kg ■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 1043cc 142ps/10000rpm 11.3kg-m/8000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量19.5L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70 R17 R=190/50 ZR17 ●色:赤×白 ●価格:437万8000円


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