ビモータKB4の抽選販売の第一回に申し込み、当選した大阪のケイファクトリー。納車から数日で、さっそくチタンのフルエキゾーストを制作。ケイファクトリーらしい煌びやかなゴールドが眩しく、KB4にもよく似合う。約7.5kgの軽量化を達成できる認証マフラーで、KB4の軽さをさらに追求することのできる逸品だ!
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:石村英治 ●外部リンク:ケイファクトリー
いきなり、ニンジャZX-25Rの重量に『あと3kg!』まで迫る!
ビモータKB4のあまりの完成度の高さと衝撃的なハンドリングに驚いたレポート記事をこちらに公開したばかりだが、大阪のケイファクトリーがそのKB4をさっそくカスタム! なんというスピード感だろう……。Z900RS、KATANA、ハヤブサなどもそうだったが、ケイファクトリーのこの対応力の早さには毎回ワクワクさせてもらっている。
KB4はWEBでの受付による抽選販売なのだが、ケイファクトリーは第一回の受注開始と同時に申し込み、見事当選。無事納車となったのは最近のことだが、それをいきなりカスタム。今回はチタン製のフルエキゾーストとマジカルレーシング製のミラーを装着して、軽量化を実現している。
KB4最大のトピックは軽さだ。その重量は、同エンジンを搭載するニンジャ1000SXより42kg軽いことに目がいくが、実はニンジャZX-25Rより11kg重たいだけでもある。
ケイファクトリーではKB4発表時からここに注目。「ZX-25Rよりも軽い1000ccスポーツバイクがあったら、とても楽しいのではないか……」とKB4に期待。期待するだけでなく、実際に車両を購入してカスタムしてしまう行動力はさすがである。
「購入の動機は、カワサキエンジンを搭載していることと、カワサキ販売店から買えるというのが大きかったですね。外車のエンジンだったら買っていなかったと思います。カワサキのお客さまだったらケイファクトリーのイメージもあると思うんです。あとはウチくらいしかやらないんじゃないかと思って。僕のまわりにも、もう一度スーパースポーツに乗りたい!っていう人は多いんです。そんな時にKB4の軽さは魅力。さらにKB4でカワサキプラザに行ったらステイタスもあるじゃないですか」とケイファクトリー代表の桑原さん。
まずは各車、各パーツの重量を見てみよう!
以下の数値を見るほどにKB4がいかに異質な存在かがわかる。この重量を達成するために、どんなことをしなければいけないか……。ビモータはきっと途方もない時間をかけて考え抜き、その答えを導き出しているはずだ。KB4は、どこまでも無駄をなくし、合理的にバイクをつくっていくビモータのスタンスが昇華した1台といえるだろう。
そしてそんな思いにケイファクトリーが応える。
●装備重量
KB4:194kg
ニンジャ1000SX:236kg
ニンジャZX-25R:183kg
ケイファクトリー KB4:185.902kg
●マフラー重量
・KB4ノーマル:12.16kg
・ケイファクトリー製:4.6kg
計7.56kgの軽量化
●ミラー片側の重量
・KB4ノーマル:460g
・マジカルレーシング製:191g
計538gの軽量化
★計8.098kgの軽量化を達成!
8kgの軽量化が生み出す圧倒的軽快感!
今回は元カワサキのテストライダーで、現在ケイファクトリーの製品テストや車体のセットアップを担当する斉藤昇司さんと一緒に試乗した。
まずは僕が走り出す。走り出すと確かに軽いのだが、リヤサスがまったく動かない……。一度止めて斉藤さんに見てもらうと、リヤの圧縮側の減衰力がほぼ最強になっていた……。KB4オーナーになられる方はサスペンションの設定を確認した方が良いかもしれない。基本的には軽い車体なので減衰力は弱めで大丈夫だ。
減衰力を弱めて走り出す。やはりマフラーで7.56kg軽くなった車体はとても軽快。コーナー進入でなんの躊躇もなく、思い通りのラインに乗せていける。素早くも寝かせられるし、ゆっくり流していてもラインのトレース性はとても高い。1000ccのスポーツバイクなのに常にライダーのコントロール下にある感じは本当に異質。快感である。
バイクの重心から離れたサイレンサーの大幅な軽量化は、マスの集中を促進させ、ハンドリングへの影響がとても大きい。
また、エキゾーストノートはマイルド。ジェントルなカワサキらしい4気筒サウンドを奏でる。それは、ライダーを疲れさせないとても心地よい音だ。
ただし、走るほどに気になるのは、マフラーの重量が軽くなったことでリヤサスペンションの動きがとても硬く出てしまっていること。プリロードは最弱で、減衰力も弱めだが、そんな印象なのだ。そもそも軽い重量からの-7.5kgだからそのバランスが崩れやすいのかもしれない。
今後、バネ下などの稼働部分を軽くする場合はバネレートを下げないと、良いハンドリングを出せないような感じだ。
また、マジカルレーシング製のミラーはとてもよかった。視認性も高く、さらに軽量(ミラーで538g軽量化できるって冷静にみたら凄いこと)なためノーマルよりも上下動がなく快適。
ノーマルミラーはアルミ削り出しなのだが、重さがあるため走行中の上下動が激しく、さらに大きなギャップなどを超えるとかなり衝撃を受け、ちょっとカウルの耐久性が心配になるほどなのだ。
ケイファクトリー製のフルチタンマフラーとマジカルレーシング製のミラーは、こだわるすべてのKB4オーナーにオススメしたいアイテムである。
元カワサキテストライダー斉藤さんもその軽さを絶賛
現在、ケイファクトリーの製品開発に携わってる元カワサキのテストライダーである斉藤昇司さんは1953年生まれ。1972年にカワサキに入社し、入社直後はオフロードバイクの担当が多かったという。ロードモデルは1980年頃からZ1000J/Rに携わり、後にZZR1100系〜ZX-12Rまでカワサキが強さを誇ったフラッグシップシリーズを担当。他にもゼファーなど数々のバイクを手がけてきた。
また、チーム38の結成メンバーでもあり、1985年の鈴鹿8耐にはチームグリーンからGPz750Rで多田喜代一さんと参戦し、10位でチェッカーを受けている。
斉藤さんは、カワサキのレジェンドなのだ。年齢を感じさせない華麗な走りでケイファクトリーの様々なバイクを走らせている。そして、広い知見で様々なことを分析し、それをケイファクトリーの製品にフィードバックしているのだ。人当たりがよく、物腰が柔らかく、とんでもない引き出しの数々を持っている斉藤さんの見識が、いまケイファクトリーのパーツに少しずつ注がれているのである。
「KB4の1390mmのホイールベースは、最初に数値だけで見るとさすがに短すぎるよなぁと思いましたね。1000ccのエンジンでこのホイールベースじゃなぁ、と。KB4は車体のつくりも硬そうですしね。正直、最初は危ないんじゃないかとも思ったんですが、意外と普通に乗れました。走り出した瞬間に軽いし、スラロームをしても安定している。コーナリングをしてみても旋回性が凄くいいし、接地感もある。
『えー』と思いましたよ、本当に。やっぱりバイクは軽くてコンパクトなのがいちばんなんですね。重心もそれほど高くないし乗りやすい。正直ネガティブな面は感じられませんでした。
オートポリスでも走ってみたのですが、ステアリングダンパーもほとんど必要なく、全抜きにしても安定してましたね。これだったら10Rエンジンを積んでも暴れない! と思うほどでした。
つくり込みに無駄がなく、細部までカッコいいのもいい。ステップのアジャスターとかよく考えています。KB4には、日本人にはない想像力と発想力がありますね」と斉藤さん。
次回、ZX-25Rにどこまで迫れるか?
ZX-25Rの重量まで、あと3kgまできた。でも正直なところ、ここまでは想定の範囲内でもある。
問題はここからだ。KB4の外装はオールドライカーボンだし、ほとんどのパーツはアルミ削り出し、ホイールもアルミ鍛造製だから、ここから先は気が遠くなる作業となる。ノーマル状態で完成度の高いKB4は、すでに手を入れる余地が残されていないのである。
チタンボルト? カーボンホイール? などなど妄想は膨らむものの、ホイールはまだ適合が取れていないし、さらにここからのカスタムはコストパフォーマンスがとても悪い……。
というわけで次回はいつになるか未定だが、いつかZX-25Rよりも軽い1000ccスーパースポーツをお披露目できればと思う。乞うご期待!
【動画】今回のテストの模様はMCジェンマのYouTubeで公開中!
※本記事は“ミリオーレ”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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