国産初のスクランブラー ホンダCL72 【1962年新車時試乗レポート】「バッタのようにぴょんぴょん走る」


●記事提供:モーサイ

ホンダ ドリームCL72スクランブラー

スクランブラーというと「ロードスポーツ車をベースに、アップマフラーやブレース付きハンドルなどを装備して不整地走行にも対応したモデル」と説明されるケースが多い。1962年に発売されたCL72についても「CB72のスクランブラー版」として、上記のように評されることがあるが、CL72に関しては「半分正解」となってしまうかもしれない。

ホンダ最初のスクランブラーであり、量産市販車として日本初のスクランブラーでもあるCL72は、車体面はCB72とは異なる専用設計のセミダブルクレードルフレームに、前後19インチという大径ホイールを組み合わせていた。
また、エンジンはCB72の250cc並列2気筒をベースとしているが、軽量化のためセルモーターが取り外されているなど、細部まで手が入れられている。それらを踏まえると、「CB72ベースのスクランブラー」と大まかに呼んでしまうのは少々申し訳ない(?)存在と思われる。

さて、1960年代はスクランブルレース/モトクロスというスポーツが一般ライダーに認知されていった時代だった。そうした競技にも参加でき、公道も走ることもできたスクランブラーCL72は1962年に発売され、歓迎をもって受け入れられる。そして、後継車といえるCL250が1968年に登場するまで長く販売が行われた。

そんな同車は当時のライダーにどのように映ったのか。デビュー直後、1962年のモーターサイクリスト10月号で掲載された試乗記を以下に紹介する。当時の時代背景などにも注目しつつ、読んでみてほしい。

■ホンダ CL72は先に北米輸出用が発売され、数ヵ月遅れて1962年6月に国内販売が始まった。エンジンはCB72のものをベースとするが、フレームはCB72がスチールパイプのバックボーンタイプなのに対し、CL72は専用設計のセミダブルクレードルとなっている。ホイールは前後とも19インチ。

国産市販スクランブラーの原点、ホンダ CL72試乗記「競技にも出れて、街も走れるスクランブラー」

ホンダのスクランブラーは昨年の自動車ショーにおいて発表され、非常な話題を呼んだが、主としてアメリカ向けとの事で、国内販売は見合わされていた。しかし現在は国内販売も開始して数は左程多くはないが、一般公道でしばしば見られるようになった。

当初は国内販売を始めるに当たっては性能を合わせて行うとの事であったが、引き続き、同性能のままであると見られる。しかしCL72が米国向けといっても市販されている以上純粋のスクランブラー、競技車という事になり、我が国では貴重な車だ。

そうなると純粋にスクランブラーと銘打って売られているのは現在のところこのCL72のみで、トーハツTR250ccになると、レース場ではお目にかかれるものの、CLの如く、保安部品をつけて、街で見かける所までいっていない。

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