
ヤマハは、新開発の204ccエンジンと軽量なシャシーを採用した新型スーパースポーツ「YZF-R2」をインドで世界初公開した。アセアン・新興国市場における高付加価値なプレミアムモデルとして位置づけられ、最上位仕様「YZF-R2M」を含む3つのグレードを展開する。日常での扱いやすさと、サーキットやワインディングでのスポーツ性能を凝縮した、新セグメントの開拓を狙う1台だ。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:インドヤマハ
R1のDNAとYCC-Tを凝縮。クラス最軽量149kgを掲げたYZF-R2の全貌
インドで世界初公開されたヤマハの新型YZF-R2は、急成長を続ける200ccプレミアムスーパースポーツセグメントに向けて開発されたグローバルモデルだ。すでに現地で定着しているYZF-R15の上位機種に位置づけられ、フラッグシップモデルから受け継いだ技術を惜しみなく投入している。
車体のパッケージングは、ヤマハが誇るスーパースポーツライン「YZF-R」シリーズの血統に忠実なデザインだ。フロントマスクには、中央にバイファンクショナルLEDヘッドライトを配し、その両脇を2本のLEDポジションライトが固める。
カウリングはYZF-R9のエアロダイナミクスからフィードバックされた造形であり、高速走行時の走行安定性を高める設計。リヤセクションには、YZF-R1をモチーフにしたブロックデザインのLEDテールライトをレイアウトしている。このスリムでタイトなスタイリングによって、クラス最軽量である車両重量149kgの軽快さと高い運動性能が視覚的にも表現されている。
R1譲りのDLCとセミドライサンプ。高回転域へ突き抜ける204ccエンジン
心臓部には、完全新設計となる204ccの水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒燃料噴射エンジンが搭載される。
このエンジンのバルブ駆動系には、ヤマハのスーパースポーツの頂点であるYZF-R1からフィードバックされた、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングが施された指動式ロッカーアーム(フィンガーフォロワー)を採用。動弁系の摩擦抵抗と往復運動質量を低減しており、高出力化とバルブ駆動効率、耐久性向上を実現。軽快な高回転域の吹け上がり特性を実現している。
さらに、エンジン内部の潤滑方式にはセミドライサンプ方式を採用する。クランクケース内のオイル量をコントロールすることで、クランクシャフトがオイルを攪拌する際の回転抵抗ロス(ポンピングロス)を抑え、出力向上に直接寄与する構造となっている。
最高出力は26.5PS、最大トルクは19.1Nm。低中回転域での扱いやすさと、126〜200ccクラスにおける最高峰のパワー特性の両立を目指して開発されている。
R6ジオメトリを反映した14kgスチールフレームと5点支持マウント
俊敏なハンドリングを実現するシャシーには、新設計の軽量高張力鋼管ダイヤモンドフレームを採用している。
フレーム単体の重量はわずか14kgに抑えられており、肉厚とパイプ配置の最適化によって高剛性と軽量化を両立させた。フレームのディメンションは、世界中のサーキットで数々の栄冠を手にしてきた名車「YZF-R6」のシャシー寸法から直接インスピレーションを得て開発されているという。あらゆるライディングシーンで自然かつ直感的なハンドリング特性を発揮する設計だ。
エンジンとフレームの接続には、通常の4点支持に加え、さらに1箇所の締結部を追加した「5点支持エンジンマウントシステム」を採用。エンジン自体をフレームの強度メンバーとして効果的に活用し、コーナリング中や激しい加減速時における車体フレームの不要なヨレや変形を抑制。車体姿勢の安定化と正確なフィードバックをライダーへもたらすようになっている。
M仕様が放つ頂点の質感。調整機構付き足まわりとR1ルックのマフラーエンド
ベースグレードに加え、フラッグシップモデル「YZF-R1M」の世界観を投影した最上位グレード「YZF-R2M」が設定された。
YZF-R2Mは、専用ボディカラーである「メタリックグレー」を身に纏い、サイドカバーには高級感を演出する立体的な3Dエンボス加工エンブレムが配される。ライダーとマシンが接するシートには、上質な質感と確実なホールド性を両立させるフェイクスエード調の表皮を採用。スイングアームはレーシーなシルバー塗装仕上げとされ、マフラーエンドキャップには高精度なショットブラスト加工と高輝度仕上げを施したR1ルックのパーツが装着される。
足まわりには、インナーチューブ径37mmの倒立フロントフォークとリヤリンク式モノショックを前後に配置。YZF-R2Mでは、この前後のサスペンションにプリロードおよび減衰力の個別調整機構をセット。左右のクラッチレバーおよびブレーキレバーにもダイヤル可調式を採用しており、乗り手の体格やコース状況に合わせたミリ単位のセットアップを可能にしている。
2026年9月中旬発売。アセアンプレミアム戦略を牽引するRの急先鋒
YZF-R2シリーズは、先進の電子制御パッケージもクラスを超えた内容を誇る。
スロットルグリップ開度をミリ単位で検知する「YCC-T(電子制御スロットル)」をクラス初採用。これを核とした「ヤマハ・ライド・コントロール(YRC)」により、ストリート、スポーツ、レインの3つのライディングモードを選択可能。
さらに、後輪の空転を制御するトラクションコントロールシステム(TCS)、急激なエンジンブレーキによるホッピングを防ぐアシスト&スリッパークラッチ、デュアルチャネルABSをすべてのグレードに標準装備している。中間グレードおよび最上位のYZF-R2Mには、シフトアップ・ダウン双方向に対応する第3世代クイックシフターも標準装着される。
インドでの現地価格は、デリー店頭価格で23万500インドルピーから。記事執筆時点における為替レートでの単純換算では、約40万円という価格設定である。
この新型は、2026年9月中旬より、インドヤマハのプレミアム専用ディーラー網である「Blue Square(ブルースクエア)」にて順次販売が開始される。生産はインド現地工場のIndia Yamaha Motor Pvt. Ltd.で行われ、アセアン市場における高付加価値プレミアム戦略を加速させる役割を担う。なお、現時点で日本国内への正規導入計画はアナウンスされていないが、最新のR-DNAと電子制御、そして超軽量シャシーを纏ったこの200ccマシンが、クラスの勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めていることは間違いない。
YAMAHA YZF-R2 / R2M [2027 model]COLORS
【YAMAHA YZF-R2M】●メタリックグレー
YAMAHA YZF-R2 / R2M [2027 model]SPECS
| 主要諸元 | YZF-R2 [2027 model] | YZF-R2M [2027 model] |
|---|---|---|
| 車両重量 | 149kg | 149kg |
| フレーム形式 | 高張力鋼管ダイヤモンドフレーム(単体14kg) | 高張力鋼管ダイヤモンドフレーム(単体14kg) |
| エンジン形式 | 水冷 4ストローク DOHC 4バルブ 単気筒 | 水冷 4ストローク DOHC 4バルブ 単気筒 |
| 総排気量 | 204cc | 204cc |
| 最高出力 | 26.5PS | 26.5PS |
| 最大トルク | 19.1Nm | 19.1Nm |
| 燃料供給装置 | 電子制御式燃料噴射 | 電子制御式燃料噴射 |
| 吸気制御 | YCC-T(電子制御スロットルシステム) | YCC-T(電子制御スロットルシステム) |
| クラッチ形式 | アシスト&スリッパークラッチ | アシスト&スリッパークラッチ |
| サスペンション(前) | 37mm径倒立フロントフォーク | 37mm径倒立フロントフォーク(プリロード&減衰力可調式) |
| サスペンション(後) | リンク式モノショック | リンク式モノショック(プリロード&減衰力可調式) |
| ブレーキ(前) | ディスクブレーキ[デュアルチャネルABS] | ディスクブレーキ[デュアルチャネルABS]、可調式レバー |
| ブレーキ(後) | ディスクブレーキ[デュアルチャネルABS] | ディスクブレーキ[デュアルチャネルABS]、可調式レバー |
| タイヤサイズ(前/後) | 前後17インチ | 前後17インチ |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
HY戦争の終結と「若者のためのスプリンター」という未開の地 1980年代初頭の日本のバイク界は、ホンダとヤマハによる激烈なシェア争い、いわゆる「HY戦争」の渦中でした。それが落ち着きを見せ始めた198[…]
岡崎静夏がXSR900 GPとGSX-8Tを比較試乗 全日本ロードレース選手権に参戦する岡崎静夏が、ヤマハの「XSR900 GP」とスズキの「GSX-8T」を公道で比較試乗。スズキのGSX-8Tは上質[…]
新形状シートと彫りの深いタンクが生み出すシルエットとエルゴノミクス 欧州で発表された2027年モデルのMT-125は、ヤマハが誇るハイパーネイキッド「MTシリーズ」の次世代デザイン思想を取り入れ、装い[…]
乗りやすさを優先するべきか、ハードルの高さを楽しむか… 同じようにレトロ調のデザインが与えられたGSX-8TとXSR900 GPですが、その走りには大きな違いがあります。GSX-8Tはバーハンドルの2[…]
名車YZF750Rの遺伝子!新色ネオンホワイトが放つグラフィック美学 ヤマハのスポーツヘリテージラインを牽引するXSR900の欧州2027年モデルにおいて、最大のハイライトとなるのが新色「Neon W[…]
最新の関連記事(新型スーパースポーツ)
K5エンジンとフロントウイングレットが生む極上のスポーツパフォーマンス スズキはミラノで開催されたEICMA 2026において、フルカウルスポーツモデル「GSX-10R」を世界初公開した。「FUN. […]
75%の部品を新設計! 剛性バランスを極めた新次元フレーム ホンダのフラッグシップ・スーパースポーツが、完全刷新を遂げてEICMA 2026で初公開された。「Total Control for the[…]
通算10勝の歴史を祝す専用グラフィックとシリアルナンバーの刻印 アプリリア・レーシングの歴史において、オーストラリアのフィリップアイランド・サーキットは極めて特別な意味を持つ。超高速コーナーが連なる同[…]
空力性能を追求したウイングレットとシャシージオメトリーの最適化 カワサキのフラッグシップスーパースポーツとして君臨するNinja ZX-10R。その走りのポテンシャルをサーキットでの戦闘力へ純粋に昇華[…]
カウル一体型スポイラーで洗練されたフロントマスクと空力性能の融合 欧州で2024年モデルとしてラインアップに再投入されて以来、根強い人気を誇るCBR600RRが、2027年モデルでアップデートを受けた[…]
人気記事ランキング(全体)
人気のフォーティーエイト、安定のアイアンも豊富 「スポーツスターはハーレーの中でも別格の人気です。大型免許取り立てのビギナーが選ぶ初めてのハーレーとして、あるいはリターンライダーが昔憧れたハーレーとし[…]
GSX250R限定の用品2万円サポートが始動 スズキは2026年10月1日から12月25日までの期間限定で、全国のキャンペーン実施店にて「GSX250R 2万円(税込)用品サポートキャンペーン」を開始[…]
HY戦争の終結と「若者のためのスプリンター」という未開の地 1980年代初頭の日本のバイク界は、ホンダとヤマハによる激烈なシェア争い、いわゆる「HY戦争」の渦中でした。それが落ち着きを見せ始めた198[…]
大排気量フラッグシップ「Z1100/SE」2027年モデル発表 カワサキモータースジャパンが、スーパーネイキッド「Z」シリーズの最高峰となる「Z1100」および上級仕様「Z1100 SE」の2027年[…]
都市の移動にフットボールの熱量を持ち込むイタリアンデザイン トゥカーノ・ウルバーノは、都市部での移動を快適かつおしゃれに彩るライディングギアを得意とするブランドだ。これまでにもACミランやインテルとい[…]
最新の投稿記事(全体)
① Tokyo GTXジャケット:街乗りからロングまで! まさかの“GORE-TEX Pro”採用ストリート系 ドロップショルダーを取り入れた旬のゆったりシルエットで、一見するとお洒落なカジュアルパー[…]
旅の領域を押し広げる丸目LEDと大型スクリーンのタフな装備 カワサキが北米市場で発表した2027年モデル「KLX300」シリーズに、派生モデル「KLX300 XPL ABS」が追加された。車名の「XP[…]
バイク専用設計のミリ波レーダー「SR-1」登場! バイクの安全運転をサポートする新アイテムとして、タナックスから「ミリ波レーダーモジュール SR-1」が登場。オートバイ専用に設計されたミリ波レーダーを[…]
大排気量フラッグシップ「Z1100/SE」2027年モデル発表 カワサキモータースジャパンが、スーパーネイキッド「Z」シリーズの最高峰となる「Z1100」および上級仕様「Z1100 SE」の2027年[…]
より自然なライディングポジションにするハンドル 手前に約50mm移動することで握りやすいグリップポジションを得ることができるフィフティーバーハンドル。2025年以降 ローライダーS/ローライダーSTの[…]
- 1
- 2












































