
オートバイの走行動画、V LOGを撮ってみたい。でも動画撮影はほぼ初心者。そんな筆者が注目したのが、DJIの最新360度カメラ「Osmo 360 II」だ。最大8K/60fpsの高精細撮影に加え、軽量ボディや強力な手ブレ補正、防水性能など、ツーリングの撮影で気になる機能も充実している。今回はあいにくの悪天候続きで実走撮影はお預け。そこでまずは、スペックや操作性を初心者目線でじっくりチェックしてみた。
●文&写真:ヤングマシン編集部
本当なら、バイクで走ってみたかったけど
普段は静止画撮影がほとんどの筆者にとって、動画撮影は少々ハードルの高い存在である。静止画と違って動画は撮影する際のセッティングがシビアであることを取材現場で痛感しているからだ。
そこで気になっていたのが360度カメラの存在。最大のメリットは「360度すべてを撮って、あとから好きな方向を選ぶ」ことができるのは面倒な画角決めから解放され、後処理でなんとでもなり便利そうだ。その一方で動画設定や編集が難しそうにも感じる。
今回試してみたいと思ったのが、DJIの最新モデル「Osmo 360 II」である。
最大の目的は、オートバイに取り付けて走行シーンを撮影すること。ところがここ最近は全国的に悪天候が続いていて、雨のなかでいきなり動画撮影に挑戦するのは初心者には少々ハードルが高い。
今回は実走撮影をいったん見送り、まずは本体のスペックや操作性を中心にチェックしてみることにした。
結論からいえば、動画初心者でも「これならバイクに付けてみたい」と思わせる機能がかなり多いカメラである。
DJIの360度カメラの第二弾「OSMO 360Ⅱ」。用途に合わせたアクセサリーが付属する「コンボ」が現在10種類用意されるが、左のセットがもっとも基本の「スタンダードコンボ」。右はオートバイ用に特化した「バイク マルチ POVコンボ」に含まれる「1m高強度カーボンファイバー インビジブル セルフィスティック」と「ヘビーデューティクランプマウントキット」、「デュアルヘビーデューティクランプ」。
8K・60fpsという数字にまず驚く
Osmo 360 IIの大きな特徴が、360度動画で最大8K/60fpsの撮影に対応していることだ。
解像度は7680×3840。しかも24、25、30、48、50、60fpsから選択できる。簡単な動画撮影しか経験していない筆者からすると、数字だけでもかなり本格的に感じる。
しかも360度撮影の場合、撮影後に映像の一部を切り出して通常の動画として仕上げられる。つまり「撮影時にカメラをどこへ向けるか」という悩みがかなり減る。
これはオートバイ撮影との相性が良さそうだ。実際、DJIもプロモーションでオートバイ撮影に力を入れているから間違いないだろう。
走行中は当然ながらカメラの向きを細かく調整できない。しかし360度撮影なら、前方の道路だけでなく、ライダー自身や後方の景色まで記録できる。
「とりあえず全部撮っておいて、あとで考える」という初心者的な使い方ができるのは大きな魅力だ。
前モデルから進化しライバルを上回る機能が「8K/60fps」の高精細かつ高フレームレートの動画撮影だ。動画だけでなく静止画切り抜きでも圧倒的に有利で、スチール専用デジタルカメラ並の高画質写真を任意の場所、任意の画角で簡単に切り出せる。メニューもわかりやすい。
1インチ級センサーとAI SuperNight 2.0
画質面で気になるのがセンサーだ。
Osmo 360 IIは、360度撮影用として新開発の1インチ級スクエアHDRセンサーを採用。最大14.5ストップのダイナミックレンジを実現しているという。つまり大きなセンサーで幅広い明暗差を克明に記録できるということ。さらに夜間や暗所での撮影性能を強化した「AI SuperNight 2.0」も搭載した。
オートバイでの撮影では、昼間の快晴だけが撮影条件ではない。夕方や曇天、山間部、トンネル内など、光量が安定しない場面も多い。
その意味では、単純に「8Kだから高画質」というだけではなく、明るい部分と暗い部分をどこまで同時に記録できるかという性能にも期待できる。
また、画質に影響する「10bit記録」と「D-Log M」にも対応している。これは本格的な編集をする人には嬉しい機能だが、動画初心者なら最初から無理に使う必要はなさそうだ。
まずは通常の設定で撮影し、動画編集に慣れてきたら後処理に有利な「D-Log M」に挑戦する、という順番で十分だろう。
「AI SuperNight 2.0」は光量の少ないシーンで効果を発揮する。特に360度カメラは暗所での撮影を苦手としていたが、「AI SuperNight 2.0」を使えば夜間でも鮮明な動画を撮影可能。右の写真では前方を横切ったクマの姿を確認できるだろうか。
183gという軽さはバイク撮影で効いてくる
本体重量はわずか183g。サイズも61×36.3×81mmとコンパクトだ。
オートバイにカメラを取り付ける場合、重量は意外と重要である。
重いカメラをハンドルや車体に装着すると、振動や取り付け部分への負担が気になる。その点、183gならかなり扱いやすい部類だろう。
さらにOsmoシリーズの両方向クイックリリースにも対応しているため、アクセサリーとの組み合わせによって取り付け位置を変更しやすい。
ハンドル周辺だけでなく、ライダーの身体や車体後方など、いろいろな場所から撮影してみたくなる。
61×36.3×81mmとコンパクトなボディは既存のアクションカメラに比肩する小ささ。底面にはマグネットで簡単に着脱できるアタッチメントが装着でき、DJI Osmoエコシステムの様々なオプションを利用できる。また、レンズが傷ついたらユーザー自ら交換可能になったのもトピックだ。
「撮る前に構図を決めなくていい」のが初心者向き
360度カメラの最大のメリットは、やはりここだと思う。
普通のアクションカメラなら、撮影前に「どこを撮るか」を考える必要がある。しかし360度カメラなら、とりあえず周囲を全部記録しておける。
Osmo 360 IIには、被写体を追従してフラットな4K映像として書き出せる「Spotlight Follow」も搭載されている。スマホで使う「DJI Mimo」やPCで編集する「DJI Studio」の各アプリを使って、撮影後の映像編集も行える。
動画初心者にとって、この「撮影時に考えすぎなくていい」という部分はかなり大きい。
走行中の景色を撮りたいのか、自分のライディングフォームを撮りたいのか、あるいは後方から迫ってくる景色を撮りたいのか。それらすべてを何も考えず360度撮影し、あとから動画を確認して選択できるからだ。
360度すべてを撮影し、あとから任意の画角を選んで動画を作成できるし、ジンバルカメラのように常時水平を保つこともできるので、とにかくアバウトに設置して撮影すればなんとでもなる。右のようなユニークな全天球写真も作り放題だ。
バッテリーと内蔵ストレージも安心感がある
8K/30fpsで最大100分の連続撮影に対応する。エンデュランスモードなら最大120分という仕様だ。
さらに本体には105GBの利用可能な内蔵ストレージを搭載し、microSDカードにも対応する。
ツーリング先で「SDカードを忘れた!」となると悲惨だが、内蔵ストレージがあるのは初心者にとって心強い。
一方で、8K動画は当然ながらデータ容量も大きい。撮影を続けていけばストレージはどんどん消費するので、PCやスマートフォンへのデータ移行、不要な映像の整理は早めに覚えておきたい。
バッテリーは2150mAhを使用し、PD 3.0に対応しているので急速充電も可能。オプションの「マルチファンクションバッテリーケース」は3個のバッテリーを一気に充電できるので、長時間の撮影にはぜひ利用したいギアだ。
雨を気にせず撮影できるのもバイク向き
本体はIP68の防水性能を備え、カメラ単体で10mまでの防水に対応する。さらに防水ケースを使えば50mまで対応する。
もちろん、オートバイで雨天走行する場合は、防水性能だけを頼りにするのではなく、取り付け部分やアクセサリーも含めて十分な確認が必要だ。
とはいえ、突然の雨を必要以上に恐れなくてよいというのは、ツーリング用カメラとして大きな安心材料である。
単体で10m防水(IP68等級)設計のため、不意の雨でも問題なし。持ち運びの際に気になるレンズの保護はシリコンレンズキャップが同梱されているので安心だ。セルフィスティックを使って水しぶきが激しい滝の様子を撮影するなんて芸当も。
悪天候で分かった「まず操作を覚えたい」ということ
今回は残念ながら、実際にバイクへ取り付けて走行するところまでは試せなかった。
しかし、だからこそ感じたのは、Osmo 360 IIは「高性能すぎて初心者には難しいカメラ」というより、「高性能なのに初心者でも使い方を広げていけるカメラ」なのではないかということだ。
最初は通常の8K撮影だけでもいい。慣れてきたら360度映像の編集に挑戦し、さらにD-Log Mやスローモーションなどへ進めばいい。
特にオートバイでは、撮影者自身がカメラの向きを操作できない場面が多い。その弱点を360度撮影で補えるのは非常に魅力的だ。
左は撮影の幅を広げる「1m高強度カーボンファイバー インビジブル セルフィスティック」と「ヘビーデューティクランプマウントキット」、「デュアルヘビーデューティクランプ」。右はヘルメットに固定する「サードパーソン ヘルメットマウントキット」。
次はバイクに取り付けて撮影します
スペックを確認するだけでも、Osmo 360 IIがオートバイ撮影をかなり意識したカメラであることは伝わってくる。
8K/60fps、強力な手ブレ補正、AI SuperNight 2.0、183gの軽量ボディ、そして10m防水。さらにジェスチャーや音声による操作にも対応しているため、走行中にカメラへ触れることなく撮影を開始できる。
動画撮影初心者としては、まず難しいことを考えずにバイクへ取り付け、走ってみたい。
天気が回復したら、今度こそ実際のツーリングで試してみようと思う。
360度カメラならではの「撮ってから構図を決める」という撮影スタイルが、果たしてオートバイ動画でどこまで威力を発揮するのか。そこが次回の楽しみである。
製品概要
- 製品名: DJI Osmo 360 Ⅱ スタンダードコンボ
- 価格: 9万3610円(税込)
ひとまずクルマのダッシュボードに取り付けてテスト撮影してみたが、14.5ストップのダイナミックレンジは明暗差の激しいシーンでも効果的だと感じた。また1.2億画素のHDR360度全天球写真というのも興味深い。次はオートバイでの撮影にチャレンジする予定だ。
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