
ドゥカティが2年に一度開催するオーナーズミーティングイベント『ワールド・ドゥカティ・ウィーク(WDW)』が7月3日(金)から5日(日)までの3日間で開催された。来場者数はおよそ12万人と史上最多を記録し、会場周辺はドゥカティレッドに染まったのだ!
●文:山下剛(ヤングマシン編集部) ●写真:山下剛、ドゥカティ ●外部リンク:ドゥカティ
ドゥカティしか実現できない豪華絢爛なゲストライダー陣
WDW(イタリア語ではヴーディーヴーと発音する)は、ドゥカティにとってホームともいえるミサノ・サーキットで行われる。ここは「ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ」といい、2011年のマレーシアGPで逝去した地元出身ライダーのマルコ・シモンチェリにちなんでいる。
また、サーキット入口へ続く道路は、2003年の日本GP(鈴鹿)で逝去した加藤大治郎を偲ぶべく、「viale daijiro kato」と名づけられていることでも知られている。
そんなミサノ・サーキットで開催されるWDWは、今回で13回を数える。ドゥカティファンにとってはすっかり定番となっているイベントだ。
今年はドゥカティ創業100周年ということもあり、ドゥカティ公式発表によれば3日間の来場者数は11万8036人。これはMotoGPのヨーロッパラウンドでの観戦者数と同等で、ドゥカティだけのイベントでこれほどの集客したことを考えると驚異的だ。ちなみに日本からの参加者は約200名で、これもやはり記録的な数字だ。
それだけにドゥカティが用意したコンテンツも100周年にふさわしい内容で、その数は膨大だ。すべてを書ききれないほど豊富で、主だったものを挙げるだけでも、
- MotoGPとWSBKのトップライダーによる『レース・オブ・チャンピオンズ』
- MotoGPチーム対WSBKチームによるエンジンの分解/組立競争
- デスモ250MXとデスモ450SM/EDSの初公開
- スタントライドショーとフリースタイルモトクロス
- 新型デザートXに乗れるDRE(ドゥカティ・ライディング・エクスペリエンス)
- パニガーレV4でサーキットを走れるDRE
- 公道で現行モデルに乗れる試乗会
- 100周年記念メーカーカスタム展示
- ドゥカティ100年のヒストリック車両展示
- 来場者によるパレード
- 現役/レジェンドライダー勢揃いのナイトショー
と非常に多く、しかもそのひとつひとつが濃厚なのだ。
さらにすごいのはゲスト陣で、MotoGPからは、マルク・マルケス、フランチェスコ・バニャイア、ミケーレ・ピッロ、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ、フランコ・モルビデリ。WSBKからはニッコロ・ブレガ、アルバロ・バウティスタ、ヤリ・モンテッラ、アルベルト・スッラ、ロレンツォ・バルダッサーリなどの現役トップライダーだけでなく、さらにケーシー・ストーナー、トロイ・ベイリス、カール・フォガティ・ロリス・カピロッシといったレジェンドライダーを含めてなんと総勢36名が集結したのだ。
これだけのライダーを一堂に集められるのはドゥカティだけだ。ドゥカティのブランドイメージの大きな柱は「レースでの強さ」だが、これこそが長年にわたって培ってきたドゥカティの財産で、創業00周年のWDWで開花したといったところだろう。
なお、イベント最終日に行われた『第4回レース・オブ・チャンピオンズ』の決勝を制したのは、今季のWSBKでもトップを独走しているニッコロ・ブレガ。余興レースといえども気を抜かない、そういう姿勢が今季の成績にも表れているのかもしれない。
また、彼らはあちこちのブースに登場し、トークショーやサイン会などに応じている。だから彼らが会場内を移動しているときなどはファンに囲まれてしまうし、やはりサインを求められる。しかしレース時と違って彼らもリラックスしているからか、けっこう気さくに応じていて、こんな場面でもWDWのすごさを感じずにいられない。
記者会見で一堂に会した、MotoGP、WSBK、各国のスーパーバイク選手権に参戦しているドゥカティ・ライダーたち。
ピット裏に詰めかけたファンのサインに応じているのは、MotoGPライダーのディッジャことファビオ・ディ・ジャンアントニオ。この後、着ていたチームシャツを脱いでサインをし、少年にプレゼントした。
世界限定500台で販売される『パニガーレV4チェンテナリオ』は、ドゥカティ100周年記念の特別モデルだ。
最新ドゥカティにヒストリックモデルのカラーリングをあしらった特別仕様車の展示には、往年の名車750イモラも展示された。(写真提供:ドゥカティ)
『レース・オブ・チャンピオンズ』を制したのはWSBKライダーのニッコロ・ブレガ。祝福のシャンパンを観客たちと分け合った。(写真提供:ドゥカティ)
カスタムコンテストに出品されていたドゥカティ・チョッパー。ちなみにベースモデルはXディアベル。
来場者のドゥカティもWDWを飾る展示車両だ
WDWがユニークなのは、日本のバイクイベントのように広大な駐車場が用意されているのではなく、会場内のそこかしこにバイクを停められることだ。もちろんブース入口前など通行の邪魔になるところには停められないが、会場内の指定枠内ならどこでも停められる。そのため、来場者が乗ってきたドゥカティがそのまま、ドゥカティ100年の歴史を体現する展示車両になっている。いわばWDW会場全体がドゥカティミュージアムなのだ。
私の観測範囲では、現行から10年ほど前までのモデルがもっとも多く、目立っていたのはムルティストラーダだ。次いで目についたのはモンスターで、こちらは初期型から現行まで比較的まんべんなくそろっていて、モンスター人気をあらためて痛感した。少々意外だったが、パニガーレを筆頭とするスーパーバイクはそれらに次ぐくらいの割合だ。
全体としてはやはりL型2気筒エンジン以降のドゥカティが大多数で、これもやはり「ドゥカティ=レース」というブランドイメージの地盤が強いことをあらためて認識させられた。とはいえ、ドゥカティ第1号機であるクッチョロが走っている姿も見かけた。ミュージアムなどで実車を見たことはあったが、動いているクッチョロを見たのは初めてだ。
こうした形態でのイベント運営を日本で実現することは、ルールや習慣の違いからむずかしいだろう。しかしこれこそがバイク本来の楽しみ方であり、オーナーズミーティングの本質であるようにも思えた。しかし、それこそが“お国柄”であり、文化の違いでもある。イタリアにはイタリアの、日本には日本のよさがある。
そのひとつが、ヨーロッパ特有の夏の夕方の長さだ。現地では17時ごろから日が傾き、夕暮れが22時ごろまで続く。そのためイベントも真っ暗になる深夜まで終わらない。初日は会場外の海辺でビーチパーティーが催されたし、2日目にサーキットのコース上に作られた特設ステージで行われたなナイトショーは20時40分すぎから24時ごろまで続いた。文字どおり、朝から晩までイベントが続くのだから、スタッフも来場者も本当にタフだ。
パレードは、最後尾が出発するまでに40分!
初日に行われたパレードもそうだ。何台が参加したのかは公式発表されていないので定かではないが、ドゥカティCEOのクラウディオ・ドメニカーリやミサノ市長のファブリツィオ・ピッチョーニらが先導するパレードは、最後尾がミサノ・サーキットを出発するまでに40分かかり、ゴールとなったリッチョーニの町までの18kmの道路がWDW参加者のドゥカティで埋め尽くされたというから、おそらく2万台近い隊列だったことは確実だ。
これほど大規模なパレードも、やはり日本で実現するのは困難だろう。周辺自治体の全面協力なしには不可能だし、それを可能とする文化的土壌──バイクは社会に必要な文化であり、ドゥカティはその象徴的存在であるという共通認識があってこそだ。
次のチェンテナリオ(100年)がどうなるのかは、誰もわからない。なぜなら今こうして生きている人間の大多数はこの世にいないからだ。しかしWDWに参加してみると、100年後の未来もきっとバイクはエキサイティングで、人生を豊かにしてくれる乗り物であり続けるだろうと思えたし、ドゥカティはやはりその中心的存在であるのだろうとも思えた。ドゥカティの強さはレースだけでなく、カルチャーとしても発揮されているのだ。
初日夕方からはじまったドゥカティ・パレードは、その隊列が18kmにおよぶほど長大となり、周辺の町をドゥカティが埋め尽くした。(写真提供:ドゥカティ)
WDW会場入口へ続く道路は大渋滞で、会場が近づくほどバイクがすり抜けすることもできなくなった。
WDW会場、入場ゲート付近の様子。会場内のそこかしこにバイクを駐車可能で、会場全体がドゥカティ・ミュージアムと化す。
ヨーロッパでたまに見かけるヘルメット用の被り物。数万人集まったなかでも彼らくらいしか見かけなかった。
WDW会場や周辺の町でもっとも目立っていたのはTシャツ&短パンムルティ。
時点は短パンモンスター。ヨーロッパではこんなふうに男同士でタンデムするのはめずらしくないが、日本であまり見かけないのはなぜだろう。
2日目夜に催されたナイトショーのステージにパニガーレV4Sで登場したレジェンドライダーたち。左からトロイ・ベイリス、カール・フォガティ、ロリス・カピロッシ。
ナイトショーのフィナーレはドローンと花火でミサノの夜空をドゥカティレッドで彩った。(写真提供:ドゥカティ)
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