
「これはぜひともみなさんに共有せねばならぬ!」・・・そんな妙な使命感に駆られつつ、今このレポートを書いております。話には聞いていても、マニュアルに書いてあっても、実物はめったに見られない「劣化したクラッチ」をぜひとも皆様にお見せしたいのです。てことで「ボロボロクラッチを愛でる会」の始まりはじまり~!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
クラッチは消耗品と知っているけれど…
四輪二輪問わずに「クラッチが減る」という経験をした方はどれぐらい居るでしょうか? クラッチは消耗品です。乗り方や操作のクセで寿命は変わりますが、たとえどんなに丁寧に扱っても確実に、減っていくのがクラッチなのです。
でも、クラッチが痛むのは「減る」だけじゃあない。長い時間が経過したクラッチは部品交換したほうがいいとは聞いていました。自分も古いバイクを直すときは実際そうやってきました。とはいえ、その「劣化」をまのあたりにすることはなかった。そう、「あの時」までは・・・。
1984年式モンキーのエンジン
それはとっても古いホンダのモンキー(1984年式 Z50J 50KF-Ⅶ)エンジンを分解した時のこと。
クランクケースカバーを開けた瞬間、エンジンの底にゴミが溜まっているのを発見!
見たこともないような黒いカタマリ? 最初はエンジン内部の部品が欠けたのか?と思ったものの、どうやら金属ではない模様。それほど硬い物質はないようで「オイルが何かしら変質して固まったカスかな?」程度に考えてました。
ところが。よくよく見てみると、その量が尋常じゃない。アッチにも、コッチにも、エンジン内部のそこここに散らばっているのです。あらやだ。ナニコレ?・・・怖い。
指でつまんでみると意外な弾力性とパリパリとした手触り。あ、これ知ってる。大好きな静岡のお菓子「バリ勝男クン。」そっくりだ(←伝われ!)
・・・いやまて、冷静になれオレ。これは何だ? ナンだコレは?? 何かの部品が粉砕したのか? そう思い、注意深く観察しながら慎重に作業を進めました。
正体はクラッチのフリクションディスクでした
そしてけっきょく、原因がわからぬままエンジン腰下までオーバーホール。ミッションも欠けてないし、クランクケース内部も問題なし。ベアリングが粉砕してる様子もないし
・・・ハテ? アレはなんだったのでしょう?? 首をかしげつつエンジンを組み直し、いよいよ最後クラッチを組み付ける段になって。ふと裏側を見たら。
・・・おや・・・似たような破片が、くっついているね。これって、ひょっとして。クラッチの部品かにゃ???
これまで何年もバイク整備をやってきましたが、こんな状態は見たことがない。だけど言われてみれば「あの部品」っぽい気もする。
そそくさとクラッチを分解してみたら・・・
お前だ~~! 破片の正体は、なんとフリクションディスクが剥がれ落ちたものだったのでした!
ここでちょっとクラッチの仕組み
バイクのクラッチは、フリクションディスク(摩擦材付きの板)とクラッチプレート(鉄板)が交互に重なって構成されています。クラッチレバーを離すと、スプリングのチカラで両者が押し付けられエンジンの力がミッションへ伝わって、レバーを握ると切り離されて動力が遮断されるというカラクリ。
この“摩擦材”であるフリクションディスクが、いわばクラッチの主役。その主役が使っているうちに「減る」のは知っていた。でもね。劣化して最後には「剥がれる」ってのは聞いてなかったぞ!??
ボロボロクラッチを愛でる会
バイクのクラッチフリクションディスクは、コアプレートに摩擦材を貼り合わせた構造です。その素材には、紙(ペーパーベース)やコルクに樹脂を浸透させたもののほか、ケブラー繊維や金属繊維を配合したものがおもに使われています。
つまり素材は何であれ「貼り付けられて」いるのは共通ってことですよね。それが経年劣化によって接着力が低下して剥がれる・・・わかっちゃいるけど、こんなにポロポロ剥がれるとは。
せっかくなのでゆっくりご覧ください。愛でてやりましょうや。
ちなみに、まだコアプレートに残っている摩擦材も、ちょっと爪でつついたら「ぱかっ」ってとれちゃいました。どんだけ弱ってんねん!ってツッコミいれたらまた一枚剥がれる始末。
・・・マジか。こんなに弱るんだ・・・。限界突破した長年の激務、お疲れ様でした~!!
古いクラッチはオーバーホールすべし!
古くなったフリクションディスクは交換した方がいい。そんな話は何度も聞いてきたし、実際これまでもそうしてきました。だけど。まさか、こんな姿になるとは。
正直、このクラッチが何年モノだったのかは分かりません。はたして何年放置すればこうなるのか。そんなわけで、声を大にして言いたい。古いバイク。長らく眠っていたバイク。エンジンをもう一度動かそうとするなら・・・クラッチの中身、絶対に交換した方がいいです!!
こんな剥がれた破片がエンジン内部を駆け巡るなんて、想像しただけでゾッとしますよね。ていうか、オーバーホール前の状態を改めてみると破片がエンジン中に駆け巡ってたし。掃除したら、細かいゴミがいっぱい出てきたし!
あー、危なかった・・・。もし、これに気付かずにエンジン組み上げて、そのまま始動なんかしてたらせっかくオーバーホールしたエンジンを一発でぶっ壊すところでした(あっぶね~!!!!!)
あ、もちろん新品の強化クラッチを購入して組み付けましたとさ。これで安心、安心。
クラッチ舐めずにナイスなバイクライフを
この記事を読んでいるようなバイクメンテナンス先輩方はこんなミスしないとは思いますが、もし古いバイクや古いエンジンを愛でているエンスーな皆様でクラッチは放置していた・・・なんて諸兄はぜひともチェックをお願いします。同じトラブルが発生しないことを祈っております!
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
スプリングピン(ロールピン)って何者? まずはコイツの正体からいってみましょう。スプリングピン(ロールピン、とも呼ぶらしい)ってのは、こういう「切れ目の入った筒状のピン」のこと。 スプリングっていうぐ[…]
ガレージREVOのリフトアップ方法 移動式バイクスタンドであるガレージREVOにとって、スタンドとバイクの接点は重要です。前後左右に押し歩く際にスタンドに載せたバイクが転倒しては一大事なので、スイング[…]
鬼門!ボールベアリングの交換 今回の作業はボールベアリング交換。最近は樹脂のリングボールを保持するボールリテーナー(ケージ)タイプが主流ですが、旧車や自転車のハブではいまだにバラ玉が現役だったりします[…]
軽視されがちな重要パーツ「ガソリンホース」はキジマ製品が安心 バイクにとって極めて重要にもかかわらず、軽視されることが多いのがガソリンホースやフィルターだ。経年劣化でカチカチのホースに触れても「今度で[…]
怪しさ100%夢も100%! ヤフオクで1円で売ってた溶接機 正直に言います。この溶接機、最初から怪しすぎます。スペックはほぼ不明。説明は最低限。ツッコミどころは満載です。・・・ですが、だからこそです[…]
最新の関連記事(工具)
差込角と測定レンジの違いで8タイプをラインナップ アストロプロダクツには様々なボルトの締結時のトルクを管理をするツールが揃っている。今回、店頭で手に取ったのはプリセット型トルクレンチの新製品だ。 測定[…]
スプリングピン(ロールピン)って何者? まずはコイツの正体からいってみましょう。スプリングピン(ロールピン、とも呼ぶらしい)ってのは、こういう「切れ目の入った筒状のピン」のこと。 スプリングっていうぐ[…]
鬼門!ボールベアリングの交換 今回の作業はボールベアリング交換。最近は樹脂のリングボールを保持するボールリテーナー(ケージ)タイプが主流ですが、旧車や自転車のハブではいまだにバラ玉が現役だったりします[…]
怪しさ100%夢も100%! ヤフオクで1円で売ってた溶接機 正直に言います。この溶接機、最初から怪しすぎます。スペックはほぼ不明。説明は最低限。ツッコミどころは満載です。・・・ですが、だからこそです[…]
「ハケで塗るサビ落とし」を使ってみた正直レポート サビとの戦い。バイクに乗っている限り、これはもう避けて通れない宿命ですよね。ましてやレストアともなると、錆との闘いが延々と続く…そう言っても過言ではあ[…]
人気記事ランキング(全体)
ライダーに向けた特別な仕様のInsta360 X5(限定版) 誰でも手軽に映像作品や写真をSNSなどでシェアできる時代、スマホでの撮影でも問題ないが、他とは違うユニークな映像や写真を撮影したいと考える[…]
1300馬力は予選ごとにタービン交換がマスト チーム・ロータスが1986年のF1に投入した98Tは、前年度にNo.2ドライバーだったセナを初めて優勝に導いた97Tを改良して作られたマシン。サスペンショ[…]
日常の足として”ちょうどいい”を訴求 日々の買い物、駅までの送迎、あるいは農作業。そんな日常の足に、大型の自動車はオーバースペックであり、重い維持費がのしかかる。かといって、二輪車は転倒のリスクや悪天[…]
【2026年モデル】カワサキ「W175 L / STREET」インドネシアで登場! FI&ABS搭載で信頼性十分 カワサキはインドネシア市場向けに、クラシカルなスタイリングが特徴のアンダー200cc[…]
待望のホンダ・ネオクラシック 124psを発揮するスーパースポーツ譲りの999cc直列4気筒エンジンを搭載し、2025年に満を持して登場したホンダ「CB1000F」および上級仕様の「CB1000F S[…]
最新の投稿記事(全体)
3/5:ホンダ「X-ADV」2026年モデル ホンダのアドベンチャースクーター「X-ADV」2026年モデルが3月5日に発売される。前年のマイナーチェンジでシャープな外観やクルーズコントロールを手に入[…]
クラッチは消耗品と知っているけれど… 四輪二輪問わずに「クラッチが減る」という経験をした方はどれぐらい居るでしょうか? クラッチは消耗品です。乗り方や操作のクセで寿命は変わりますが、たとえどんなに丁寧[…]
「走る」を変える次世代の相棒 一般的なガソリンバイクが燃料を燃焼させてエンジンを駆動するのに対し、電動バイクはバッテリーに充電した電気でモーターを回して走行する。そのため、排気ガスを一切排出しない、環[…]
805ccは4,500rpmの低回転で7.0kg-mもの強大トルク! 1990年、スズキは創業70周年を迎え、その記念のひとつとして国内モデルが750ccを超えて認可が得られるようになったのを機に、8[…]
“速さこそ正義!”の先駆けだったマッハ カワサキといえば風を切り裂く「ザッパー」。シグナルGPで「速ければ正義!」という実にシンプルなイメージがあります。60代以上のライダーは特にその印象が強いと思い[…]
- 1
- 2













































