
なにしろフェラーリが好きで好きでたまらないとか、宝くじ当たったらフェラーリを買うとか、フェラーリに憧れるクルマ好きは後を絶ちません。が、そんなフェラーリ好きが「これじゃない」と言うモデルもあるのだとか。せっかくのV12エンジンだろうと、ピニンファリーナの力作だろうとも「そういうことじゃないんだよ」って(笑)そんな不当な評価を受けている跳ね馬たちをチェックしてみましょう。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotheby’s
デイトナの陰に隠れてしまった残念モデル──365 GTC/4(1971)
フェラーリは北米でのニーズに応えるべく、60年代から2+2クーペをラインナップし続けていました。が、やっぱりメインストリームとはなりづらく、エンジンやシャシーを他のスポーツカーから流用した着せ替えモデルのイメージが拭いきれません。
365 GTC/4も車名があらわす通り、1気筒当たり365cc、それを60どの角度で12気筒にした伝統的なユニットを搭載し、/4は4カムシャフトをアピールしたクーペです。が、先代の365GT 2+2が4年間も生産されたスマッシュヒットだったにも関わらず、こちらはたったの1年間で生産終了という短命モデル。
同時期に発売された364GTB/4、いわゆるデイトナに比べて華がないとか、デイトナと同じエンジンなのに低中速にトルクを振ったためスポーティさに欠けるなど、とにかく評判が悪かったのです。が、そうはいってもスカリエッティがボディの製造&架装工程を引き受けてくれたおかげで、1年間で500台以上を生産し、先代以上の売り上げを達成! 十分にマラネロの懐を潤してくれたことは確かでしょう。
フロントマスクにクセがある365 GTC/4ですが、どこかしら後のBBシリーズの面影もあるっちゃある?
ぱっと見は地味ではあるものの、どことなく後の365BBを思わせるフロントマスクなど今となってはそれなりにフェラーリらしいところもあるんですが、やはり「そういうことなじゃない」と言われてしまうのでしょうかね。
この頃はスパッとテールを切り落としたようなコーダトロンカが流行。丸3つのテールランプはこの世代が最後で、次世代は丸2つになりました。
お金持ちにはウケたけどATイメージが合わなかったか⁉──400オートマティック(1976)
フェラーリ初のATを搭載した2ドアクーペで、また先代の365GT4 2+2(1971)から後継モデルの412まで加えると18年も生産され続けた超ロングセラー。つまり、世界の大金持ちからそれなりの需要があったということですが、フェラーリ好きのファーストチョイスにはなり得ていないようです。
超ロングセラーとなった365/400/412シリーズ。お金持ちには人気だったものの、オートマの印象からスパルタンなユーザーからは敬遠気味?
不人気の原因は「せっかくのV12なんだからMTでブイブイいわせたい」という声が多く、やはりATイメージが足を引っ張っているのかと。また、トランクを備えたノッチバックというスタイルも「ゴルフバッグ積めるとか、そういんじゃないんだよ」となりがち。こうした逆風も裏を返せばお金持ちには魅力に映っているはずなんですがね。
とはいえ、スタイリングは当時のピニンファリーナの中でも最高のスタイリストといわれたフィオラバンティですし、無論5MTだってラインナップしていたわけで、その気になれば240km/hオーバーの最高速だってマークできるのです。実際、スクーデリア・フェラーリの伝説的ドライバーだったニキ・ラウダも当時365GT4 2+2を日頃のアシに使っていたほど。
今となっては「メンテナンスコスト」の面で二の足を踏む方が少なくないようですが、1000万円ほどで手が出せるフェラーリはこのシリーズくらいなもの。マラネロのV12を一生に一度でも味わいたいなら、食わず嫌いせずに乗ってみるのも悪くないかもしれません。
シフトゲートのブラシ状カバーが時代を感じさせます。ATはアメ車でお馴染みのGM製THM400、3速キットを搭載。
史上最遅フェラーリを生み出してしまった悔しいモデル──Dino 308 GT4(1973)
その昔、スーパーカーブームの折から雑魚扱いという不遇のフェラーリこそ308GT4でしょう。なにしろ、先代の206/246ディーノの存在が偉大すぎて、またデザインもピニンでなくベルトーネ、しかも2+2というパッケージは子供でなくとも「これじゃない」と眉をひそめたに違いありません。しかも、イタリア国内の税制対策で作られた2リッターモデル、208GT4は最高速220km/hを出しつつ「史上最遅のフェラーリ」とまで貶められたのでは、人気の出ようもありません。
ガンディーニのシャープなボディが特徴の308 GT4。ディーノのブランドは1973年までで、以降はフェラーリ308GT4を名乗っています。
ですが、新設計のV8はその後のスモールフェラーリを支える名機となり、206/246譲りのミッドシップレイアウトは比較的軽量な1150kg(乾燥重量)の車重と相まって運動性能は見た目よりずっと良かったとか。また、近年ではベルトーネに在籍していたマルチェロ・ガンディーニによるエッジの効いたスタイリングも再評価がなされるなど、じわじわと中古車価格が上昇中。もっとも、これまでの評価が低すぎたゆえの低価格が、正統な評価=価格になってきた表れともいえるでしょう。
もうひとつ、308 GT4について知っておくべきことは73~80年の間に3000台近くが生産されたことで、歴代フェラーリの中でベストセラーとなっていること。「安かろう、遅かろう」と言われようと、それだけ支持は厚かったということ。ただし、中古車市場でタマがダブついたという弊害には目をつぶってあげましょう。
歴代フェラーリの中でも3000台近くロールアウトしたのは、史上初。なお、206GT4もイタリア国内だけで180台ほどリリースされています。
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