
バイク好きの中にはSF大好きライダーも少なくありません。例えば、AKIRAに出てきた金田のバイクや、バットマンが操った極太タイヤのマシンを再現する強者もいるくらいです。そんなSFバイクの筆頭といえば、トロンのマシンの右に出るものはないかと。アメリカのコレクターがワンオフで作ったマシンは、なんとEVとして実走可能という仕上がり。最新の映画版マシンも結構ですが、トロン:レガシーに登場したこちらもまた厨2マインドを大いに刺激してくれます。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotheby’s
映画の世界を正確に再現したEVバイクをカスタムビルド
トロンは1982年にディズニーが作ったSF映画で、全面的にコンピュータグラフィックスを使ったのは世界初の試みでした。コンピュータのプログラム世界の中で繰り広げられるアクションシーンで登場するバイクは、リアルに未来のバイクを表現したとされて大人気を博しました。
すると、前述の通り映画と同じマシンをスクラッチビルドしてしまうマニアも多数出現。前傾を通り越して腹ばいに近いポジションや、球体かのようなタイヤ&ホイールハウスなど優れた出来栄えのレプリカが現れたものです。が、映画と同じくリムのあたりが光るくらいのギミックはあったものの、多くがディスプレイオンリーのスケールモデルに終始していました。
超有名なコレクターがワンオフ製作を決意
ここに不満を抱いたのが、アメリカの有名なコレクター、アンドリュース夫妻。テキサスに大規模なミュージアムを構え、クルマやバイクのコレクションはもちろん、ミニチュアカーやヴィンテージトイの収蔵数はアメリカ屈指のレベル。そんな彼らがディズニー映画のトロンに興味をひかれないはずもなく、コレクションに加えようとさまざまなトロンバイクを物色したそうです。
当然、夫妻は実走可能なモデルを探したものの、当時は走らないモデルしか見つからなかったのだとか。そこで、アメリカ人らしく「だったら作っちゃえ」と大胆、かつジョークのようなアイデアを思いついたのです。さらに、時あたかも電動バイク黎明期の2011年ということもあり、EVとして実際に走れるトロンバイクが作られたのでした。
実走行ができるEVのトロンバイク。有名なコレクターがワンオフで作り上げたものですが、雰囲気は映画のマシンそのもの。
モーターを2基搭載して実走行できるトロンバイク
モデルに選ばれたのはパート2にあたる「トロン・レガシー」に登場するバイク。パート1同様にライダーと一体化するようなフォルム、極太&大径タイヤ、しかもホイール内部が空洞になった独特のデザインが特徴です。アンドリュース夫妻は製作元、ならびに費用を明らかにしていませんが、期間は1年ほどかかったとコメントしています。
詳細なスペックは不明ながら、コンピューター制御の電子トランスミッションと組み合わされ、ダイレクトドライブ電気モーター(96V)によって前後輪を駆動するとのこと。特異なタイヤホイールはスプリングプリロードフロントサスとリジッドのリアサスが組み合わされ、ここに前後油圧式ブレーキシステムを装備するとのこと。いずれのメカニズムも、トロンバイクの外観を損ねるどころか、SFチックなイメージそのものを再現しているといっても過言ではありません。
映画では走行時にホイールハウスや車体が光るギミックがありましたが。もちろん再現されており、夜はひときわカッコいいはず。
アンドリュース夫妻は「これと同様のバイクはこれからも発売されることはないでしょう。トロンの世界観をリアルに体現した走行可能なモデルとして、世界でも指折りのコレクターズアイテムとなりました」と自画自賛。ですが、飽きてしまったのか夫妻はオークションに出品してしまい、7万7000ドル(約1200万円)で落札されています。気軽に買える値段ではありませんが、トロンの世界にどっぷりと浸かりたいファンにとってはプライスレスな魅力に事欠かないはずです。
シート高は約72センチと低いもので、あたかもドラッグレーサーのようなポジションでのライディングになりそうです。
フロントセクションにはLEDでしょうか、ヘッドライト的な物が装備され、ボディの隙間からはゴムタイヤが覗いています。
フロントカウルの上部はタイヤが顔を出しており、そこそこ走った様子がわかります。
トロン・レガシーの走行イメージ(AIによる生成)
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