
10月5日に決勝レースが開催された「2025MFJ全日本ロードレース第6戦 スーパーバイクレース in 岡山」では、JSB1000で中須賀克行選手が勝利を挙げ、13回目のチャンピオンを獲得。J-GP3では尾野弘樹選手が勝利し5連覇を達成した。
●文/写真:ヤングマシン編集部(佐藤寿宏)
8月後半から9月末の日本GP、10月の全日本へ怒涛のレースシーズン
アッという間に10月も半ばが過ぎてしまいました。全日本ロードレース選手権を中心に取材活動をしているボクにとっては、8月23日・24日に開催された第4戦もてぎから、オートポリスの事前テスト、第5戦オートポリス、岡山の事前テストからのMotoGP™日本グランプリ、そして第6戦岡山と怒濤に続きました。
レース数の少ない全日本ロードレースですが、なかなかの過密スケジュールでした。来シーズンは、オートポリスラウンドが5月末になったので、少し過密度が緩和されたのですが、鈴鹿8耐が7月アタマになったので、事前テストとか影響がありそうですね。
全日本ロードレースの事前テストは、初日に4メーカー合同(JSB1000とST1000のメーカーが認めたライダー)とST600の走行が2本、2日目は全クラス2本ずつ行われ、3日目にタイヤメーカー合同のセッションとスポーツ走行というスケジュールとなっています。
DUCATIやBMW、apriliaなどの外車勢は、4メーカー枠を走ることができないので、天候などコンディションで差がついてしまう場合があります。4メーカー枠を走る台数は、かなり減ってきているので、クラスごとに共通なスケジュールを組むのが、より公平になるのではないでしょうか。事前テストも前週にやるのではなく、レースウイークの木曜日に組み込むようにすれば、レース数を増やす可能性が広がると思うのですが、いかがでしょうか?
さて、全日本ロードレースJSB1000クラスは、第6戦岡山で最終戦を待たずにYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が自身13度目となるシリーズチャンピオンを獲得しました。事前テストから着実にマシンを仕上げ、レースウイークも金曜、土曜と難しいウエットコンディションとなりますが、転倒なく予選3番手につけると、ぶっつけドライとなった決勝では、序盤の混戦をうまく制してトップに出ると、絶妙なタイミングでペースを上げると独走態勢に入り、そのままゴール。通算94勝目を飾り、自ら花を添えました。
最終戦鈴鹿を待たずに13回目のJSB1000クラスチャンピオンを獲得した中須賀克行。開幕戦もてぎは、DUCATI水野涼が速さを見せたが、シーズンの流れを引き寄せた。
「1ポイントを獲ればチャンピオンという状況でしたが、J-GP3クラスの尾野選手も勝ってチャンピオンを決めていましたし、自分自身も勝って決めたい思いが強かった。チャンピオンは何度獲っても、それぞれのシーズンの“思い”がありますし、今回もレース前は緊張しました。最終戦鈴鹿は、思いっきり走るだけですが、2位の野左根選手、ダンロップで初表彰台を獲得した長島選手、復調してきたDUCATIの水野選手、BMWの浦本選手も戻ってくるので、いいレースがしたいですね」と中須賀。ライバルを讃えることも忘れない。通算100勝を目指すためにも、最終戦鈴鹿は勝っておきたいところでしょう。
飛び抜けた速さの尾野弘樹
J-GP3クラスでは、尾野弘樹(P .MU 7C GALESPEED)が5連覇を達成しました。ウエットとなった緒戦のSUGOこそ若松怜(JAPAN POST docomo business TP )が独走優勝しましたが、その後のレースは全て尾野が優勝。岡山でも成長著しい中谷健心(MotoUP Jr Team)との一騎打ちを冷静に制して勝ってタイトルを決めました。
タイヤ開発をしながらも事前テストから圧倒的な速さを見せることが多かった2025年シーズン。尾野もまた進化をし続けているライダーだ。
「ウエットでは事前テストから厳しい状態だったので“勝って決めたい”という気持ちを押し殺さないといけないかと思っていました。ドライになれば分があると思い最後に勝てるようにレースを組み立てることができました。理想の展開でチャンピオンを決められてうれしいです」と尾野。
今シーズンもアジアロードレース選手権シリーズ(ARRC)のTVSワンメイクシリーズにもダブルエントリーしています。今年で3年目ですが、当初は若手の見本になってほしいと言われての参戦でしたが、あまりも尾野が速すぎるため、ウエイトを積まされているそうです。ライダー込みの重量のため、TVSの直前は“デブ活”に励み、体重を増やし、全日本のときは、ダイエットに励むそうです。身体への負担は、かなりのものと容易に想像しますが、それだけストイックに勝利を目指しています。
かつて世界を戦い、日本に戻ってからはダンロップタイヤの実戦開発を担当する尾野。若手ライダーは、尾野から多くを学び、速くなってもらいたいものです。
MotoGP最高峰クラスを再び圧倒したM.マルケス
MotoGP™日本グランプリでは、マルク・マルケスが6年振り7度目のMotoGP™チャンピオンを決めましたね。今シーズンよりドゥカティワークスに入りすると、17戦日本ラウンドを終えた時点でスプリントレース14勝、レース11勝を挙げる圧倒的な速さで、5戦を残してタイトルを獲得しました。東コースのショートカット部分に施されたモニターの前に立ったマルケスは、自身の栄光と挫折が走馬灯のように映し出されると歓喜の涙を流しました。しかし、その翌週に行われたインドネシアGPでのアクシデントで負傷。当初は鎖骨の骨折のみで2戦欠場と言われていましたが、今シーズン中の復帰は難しそうですね。
2020年に負傷して以来、苦しいシーズンを送ってきたマルケス。昨年、ホンダからグレシーニに移籍しドゥカティ勢に加わり、今年はワークスシートをつかみ完全復活! 歓喜の瞬間が再びもてぎで見られた。
さて、今週末(10月25日・26日)は全日本ロードレース選手権最終戦が三重県・鈴鹿サーキットで開催されます。ちょっと天気が気になるところですが、ぜひサーキットでレースを楽しんでいただければと。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(レース)
原田哲也さんにエア肘擦りを見つかるの巻 2年に1回のクルマ・バイク、あらゆる乗り物の祭典・Japan Mobility Show2025に行って来ました。東京ビッグサイトに到着し、まずは2輪4メーカー[…]
2年に一度、世界各国から勝ちぬいたGSライダーが競う祭典への道 GS Trophyは2008年に始まったBMW Motorrad主催の国際的なアドベンチャーイベントだ。2年に一度、各国の国内選抜を勝ち[…]
岡山国際サーキットとの相性、新しいフロントタイヤと改良されたリヤタイヤ ついにこの日がやって来た。 2025年10月5日、全日本ロードレース第6戦の岡山(岡山国際サーキット)で長島哲太がついに表彰台に[…]
2025モトクロス世界選手権チャンピオンが全日本に参戦! 株式会社カワサキモータースジャパンは、2025年11月1日(土)・2日(日)スポーツランドSUGO(宮城)で開催される第63回 MFJ-GP […]
バトル・オブ・ザ・ツインの歴史に刻まれる存在 1981年に米国、デイトナスピードウェイで第一回が開催され、その熱が日本に伝わり、1984年に日本の筑波サーキットでも火蓋が切られることとなったレース“バ[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
第一世代登場は20年も前! まず最初に言っておこう。”喰わず嫌いしていると時代に取り残されてしまうぞ。いずれほとんど自動クラッチに置き換わっても不思議ではないのだ”と。なぜそこまで断言できるかというと[…]
世界初公開! 3タイプのEVバイクが未来の二輪車シーンを牽引する!? 10月30日(木)から11月9日(日)まで東京ビッグサイトにて開催されている「ジャパンモビリティショー2025」。ヤマハのブースで[…]
欧州では価格未発表だが、北米では前年から200ドル増の9399ドルと発表 ヤマハは北米で新型「YZF-R7」を発表。欧州で発表された新型「R7」にモデルチェンジ内容は準じつつ、北米独自のカラーリングで[…]
2026モデルのモトクロッサーYZ450Fをベースに電動化 電動トライアルマシンの「TY-E」でFIMトライアル世界選手権EVクラスに参戦するなど、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みにも積極的な[…]
スポーツライディングの登竜門へ、新たなる役割を得たR7が長足の進化 ミラノで開催中のEICMA 2025でヤマハの新型「YZF-R7(欧州名:R7)」が登場した。2026年から従来のワールドスーパース[…]
人気記事ランキング(全体)
空冷エンジンのノウハウを結集【カワサキ GPz1100[ZX1100A]】 航空機技術から生まれたハーフカウルとレース譲りのユニトラックサスを装備。デジタルフューエルインジェクション効果を高めるために[…]
月内発売:SHOEI 「GT-Air 3 AGILITY」 優れた空力特性とインナーバイザーを兼ね備えたSHOEIのフルフェイスヘルメット「GT-Air3(ジーティーエア スリー)」に、新たなグラフィ[…]
背中が出にくい設計とストレッチ素材で快適性を確保 このインナーのポイントは、ハーフジップ/長めの着丈/背面ストレッチ素材」という3点だ。防風性能に特化した前面と、可動性を損なわない背面ストレッチにより[…]
「特殊ボルト」で困ったこと、ありませんか? 今回は「でかい六角穴のボルト」を特殊工具なしで外してみようというお話。 バイクを整備していると時々変なボルトに出会うことがあります。今回は古い原付オフロード[…]
点火トラブルって多いよね 昔から「良い混合気」「良い圧縮」「良い火花」の三大要素が調子の良いエンジンの条件として言われておりますが、それはそのまま調子が悪くなったバイクのチェック項目でもあります。その[…]
最新の投稿記事(全体)
マイノリティ好きにはたまらない2スト250で3気筒、走りに刺激はなかったけれど海外でもファンが少なくなかった! カワサキが世界進出の勝負球として、500ccで2ストローク3気筒のマッハIIIをリリース[…]
プロテクター標準装備の冬用ライディングジャケット 一見するとカジュアルなパーカスタイルだが、中身は本格的なウインタージャケットである。本商品は、胸/肩/ひじ/背中の4部位にプロテクターを標準装備してお[…]
未塗装樹脂の白ボケ原因とツヤを復活させる方法 黒かったものが白っぽくなってくると古臭く見えてしまいます。…いいえ、「白髪」ではなくて「黒樹脂(未塗装樹脂)パーツ」のオハナシです。 新車の頃は真っ黒だっ[…]
第一世代登場は20年も前! まず最初に言っておこう。”喰わず嫌いしていると時代に取り残されてしまうぞ。いずれほとんど自動クラッチに置き換わっても不思議ではないのだ”と。なぜそこまで断言できるかというと[…]
原付の排気量区分は? 原付には、50ccまでの原付一種と51ccから124ccまでの原付二種があり、一般的に原付と言うと50ccまでを指すことがほとんど。今回の記事でも特に表記がないがきり原付一種を原[…]
- 1
- 2











































