
電動スクーターはここ数年で何台かが市場に投入されてきましたが、その多くが法人向けや業務用の雰囲気をまとい、バイク好きが唸るようなモデルはさほど多くありません。一方で海外メーカーに目を向けると、EV先進国と呼ばれる国々では電動スクーターが一定の地位を築いたかのようで、乗ってみたいと思わせるモデルがちらほら。とりわけ、BMWが作る電動スクーターは、これまでの概念を打ち破るような意欲作が目立ちます。最新コンセプトモデル「Vision CE(ビジョンCE)」の紹介とともに、これまでの電動スクーターを振り返ってみましょう。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:BMW Motorrad
初の電動スクーターが「C evolution」
2017年、BMWモトラッドは初の電動スクーター「C evolution(Cエボリューション)」を発売。それまでのガソリンエンジンを搭載したC650に通じるスタイリングながら、市場でのインパクトは新鮮なもの。
同社にとって初の電動スクーターながら、航続距離は160km。0-50km/h加速:2.8秒というガソリン車に引けを取らないようなパフォーマンスには、新しもの好きが飛びついたのも大いに納得です。
また、BMWジャパンの働きかけによって、警視庁へ数台が寄贈され、交通機動隊が使用したこともニュースとなりました。
2017年に発売されたBMW初の電動スクーター、Cエボリューション。ゼロエミッションのメリットを活かし、警視庁によって駅伝の先導車にも活用されました。
ガソリンモデルとはスタイルからして決別したCE04
次いで、2022年になるとこれぞ本命とばかりにCE04が登場。新たにCEという電動モデル専用の車名が付けられ、ガソリンモデルとはスタイルからして決別しています。
2017年に発表されたコンセプトモデル「Concept Link」そのまんまのスタイルは未来的でありながら、マキシスクーターらしい実用性をしっかりとキープ。普通二輪免許(AT免許可)で運転可能というのも国内で歓迎されたポイントのひとつに違いありません。
それでいて、15kW(20ps)の定格出力、最高出力は31kW(42ps)は600ccクラスのガソリンエンジンに匹敵。パワーデリバリー制御も格段の進歩を遂げ、停止時からいきなりのフルスロットルでもなんら不安なく猛ダッシュが決められました。
とはいえ、胸のすくような走りを堪能していると最大航続距離130kmはなかなか到達できなかったことも事実。国内の充電環境に即したパーツが付属するのが、救いだったと記憶しています。
サイズは600/650クラスながら、普通二輪、AT免許で乗れるということで注目を集めたCE04。航続距離も130kmほどあるので、実用面でもそこまで不満はないでしょう。
車重231kgと重量級ですが、使いやすいバックギヤが装備されているため、取り回しにおいても不安はありません。
エクストリームスポーツを匂わせるCE02
そして、2024年にリリースされたのがEVコミューターという役割を担うCE02。エクストリームスポーツを匂わせる俊敏そうな車体で、定格出力6kW、最高出力11kw(15ps)は日本で乗るのにもちょうどいいバランスかと。
航続距離は90kmとされているのも、コミューターとして割り切ることができれば、環境次第では不満が生じるものでもないはずです。
バッテリーの重さから、電動スクーターは重量級と考える方が少なくありませんが、CE02は132kgと125ccスクーターとさして変わりません。また、ホイールベース:1353mmというコンパクトさも手伝って、想像以上にクルクルとよく走ってくれます。
そして、CE04でも装備していたリバース機能もあるとなれば、シティコミューターとしての仕上がりは万全。126万8000円は強気なお値段ですが、乗ってみればその価値は十分に感じられること請け合いです。
CE02はシティコミューターとして幅広いユーザーを想定した電動スクーター。航続距離は90kmながら、コンパクトで躍動感あふれる乗り味は大きな魅力。
CE02をベースに、よりカジュアルでプラクティカルなカスタムが施されたヴァガブンド(欧州専用モデル)は、随所にアイデアが盛り込まれたデザインが新鮮です。
ヘルメットやプロテクターが不要?! 攻めのEV「Vision CE」
BMWモトラッドの電動スクーターは上記の2タイプも攻めのモデルといっていいのですが、先ごろ発表された「Vision CE(ビジョンCE)」はさらにグイグイ来てるコンセプトモデルに違いありません。
なにしろ、ヘルメットやプロテクターを必要とすることなくカジュアルに乗れるほか、停止している際にも完全なバランスを維持するなど、スクーターの未来を先取り!
BMWは2000年にもルーフとセーフティケージを装備したスクーター「C1」をリリースしていますが、Vision CEはさしずめC1の電動仕様といったところでしょうか。
ケージとシートベルトで安全性を確保しつつ、風に当たるライディングを可能としているのはさすが「駆け抜ける悦び」を熟知したBMWならでは。もっとも、当時のC1は残念ながら日本ではヘルメット装着が義務付けられていました。
BMWが作った近未来の電動スクーター、登場の暁にはどうなることやら、今から目が離せませんね。
最新のコンセプトモデル、ヴィジョンCEは電動スクーターの可能性を大いに広げる役割。アクティブさとカジュアルを混在させたスタイルはさすがBMWです。
コンセプトモデルのスケッチながら、フェアリング&インパネや充電ソケットなどの仕上がりはすぐにでも実現できそうなイメージ。
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