
8月1日~3日に開催された「2025 FIM世界耐久選手権 “コカ·コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会」は、ホンダのワークスチームであるHonda HRCが地力を見せつけた。2位のYAMAHA RACING TEAMも速さを見せたものの1歩、いや半歩及ばず──。55チームそれぞれにドラマがあった鈴鹿8耐を振り返る。
●文/写真:ヤングマシン編集部(佐藤寿宏)
路面温度が70度に迫るなか、2人で走り切った#30 Honda HRC
鈴鹿8耐が終わってからアッという間に時が過ぎましたが、とにかく暑いですね。鈴鹿8耐のレースウイークも日本列島は、史上最高気温を更新! 連日40度越えを記録! なんてニュースが飛び交い、実際に鈴鹿サーキットも路面温度が70度に迫ろうかという暑さでした。
そんな酷暑で行われた2025年の鈴鹿8耐は、やはり#30 Honda HRCが強かったですね。イケル・レクオーナが直前のレースで負傷し、チームメイトのチャビ・ビエルゲが代役に指名され水曜日のテストセッションは走ったものの、手続き上の問題で出場できず。急きょ高橋巧とヨハン・ザルコの2人で走ることになりました。
予選でトップ、トップ10トライアルでポールポジションと順調に進み、決勝も1スティント目でトップに立つとレースをリード。セーフティーカーが入ったタイミングでリードを失うものの、ザルコの力走でヤマハワークスを引き離しゴールと強さを見せつけました。ただ、やはり2人で酷暑の8時間は厳しいものがあったそうです。
困難を乗り越えて着実に自分自身の仕事をこなした高橋巧。4連勝で最多勝利数を更新する7勝目を挙げた。この記録は、当分破られそうにない。
高橋もザルコもアスリートとして徹底的に鍛え上げていますが、そんな一流のライダーでさえも2人で走るのは大変な状況でした。ただ、やはりマシン的にも、レベルが高く、準備もしっかりできたことが勝因でした。レースは、ほとんど、それまでの準備で勝敗が決まってきますからね。そんな強いワークスチームを目標に、他のメーカー、チームが挑む構図が理想の一つと言えるでしょう。
あ、そうそう、Team HRCではなくなったのは、HRCが4輪と一緒になった関係で“Honda HRC”というのが2輪、4輪のHRCとしての共通の表記となったそうです。ただ、4輪では現状で“Honda HRC”を使う場がないとのことなんですね。
逆バンクで写真を撮っているとザルコが左足をステップから外していた。最初はピットインの合図でもしていると思ったので“緊急ピットインか!?”と思ったら、数周同じことをしていました。さすがのザルコも足がつり気味だったようです。
ワークス復活の#21 YAMAHA RACING TEAM
2位となった#21 YAMAHA RACING TEAMはヤマハ発動機、創立70周年記念として6年ぶりにワークス体制を復活。絶対王者・中須賀克行を中心にMotoGPライダーのジャック・ミラー、スーパーバイク世界選手権(SBK)のエース、アンドレア・ロカテッリの3人でした。
鈴鹿8耐初参戦のロカテッリが、どんな走りをするか注目しましたが、初めてのTOP10トライアルではジャックの転倒後に2分04秒316をマーク、そして決勝では安定した速さを見せ、SBKライダーのレベルの高さを実証しました。
ジャックは、言うまでもなく現役MotoGPライダーの実力をまざまざと見せつけてくれました。そして、2人に“43歳なんて信じられない”と言わしめた中須賀は、チームの屋台骨を支えましたが一歩及びませんでした。
アンドレア・ロカテッリは鈴鹿初登場、ブリヂストンタイヤも初めてだったが、素晴らしい速さを見せた。
転倒を喫しながら表彰台の#1 YOSHIMURA SERT MOTUL
EWCフル参戦チーム最上位となる3位には#1 YOSHIMURA SERT MOTULが入りました。序盤にダン・リンフットがS字で転倒しますが、マシンのダメージが少なかったため、そのまま走行を続け、レース終盤に#73 SDG Team HARC-PRO. Hondaを引き離して昨年に続いて表彰台の一角を占めました。グレッグ・ブラック、ダンと共に鈴鹿8耐はレギュラーライダーとして採用された渥美心も安定した速さを見せ成長を感じさせました。
転倒しても素早いリカバリーで、そのまま走行を続けた判断が3位表彰台を引き寄せた#1 YOSHIMURA SERT MOTUL。EWCフル参戦組では最上位だけに優勝に匹敵する3位と言っても過言ではない。
表彰台をつかみたかった#73 SDG Team HARC-PRO. Hondaでしたが、キット仕様のHonda CBR1000RR-Rの燃費に苦しみました。それでもスタート直後から國井勇輝がトップを快走し、表彰台圏内を走り続けていました。鈴鹿8耐にインディペンデントクラスがあるのであれば、#73 SDG Team HARC-PRO. Hondaがトップだったと言えるでしょう。
一方で転倒やトラブルなども例年以上に多かったですね。セーフティーカーも2回入りましたし。また、#76 AutoRace Ube Racing Teamや#37 BMW MOTORRAD WORLD CHAMPIONSHIP、#3 SDG-DUCATI Team KAGAYAMAなども力を出し切れなかった印象ですね。
#76 AutoRace Ube Racing Teamもレースウイークに急きょライダーが変わったため水曜日のテストセッションはオーディションに費やされてしまった。それでも予選で見せた浦本修充の速さは目を見張るものがあった。
#76 AutoRace Ube Racing Teamは浦本修充が予選で速さを見せ、外国車初のポールポジションなるか!? と期待もふくらみました。#37 BMW MOTORRAD WORLD CHAMPIONSHIPも今年からブリヂストンになり、マシンも速く、ライダーも実力ぞろいでしたが、思わぬトラブルに見舞われていました。それでも5位に入るところはチーム力の高さを感じさせました。
#3 SDG-DUCATI Team KAGAYAMAは、SUGOでのマシン炎上、水野涼のケガの影響が大きかったですね。レースウイーク水曜日のテストセッションで水野は久しぶりにマシンに乗りましたが、かなり厳しい状況でした。それでも予選ではチーム最速タイムをマークする意地を見せました。決勝はバックマーカーと接触し転倒するアクシデントもあり大きく後退してしまいました。結果は悔しいものとなりましたが、スポンサーやクラウドファンディングなど、多くの助けがあってドゥカティ2年目の鈴鹿8耐を戦い切りました。
本来ならば水野涼がスタートライダーを務めたのだが、まだ完調ではなく、レオン・ハスラムが代わって出走。エンジン始動のトラブルのためスタートで出遅れるものの着実に追い上げていたのだが……。
改造範囲の狭いSSTクラスはBMW勢が速い!
SSTクラスでは、今年もBMW勢が速さを見せましたが、ぶっつけ本番で臨んだアプリリアの#49 Revo-M2が3位に入ったのは驚きでした。#19 Team TATARA apriliaの隣のピットだったのですが、本当にモノが少なく“これで大丈夫なの?”と思わせるほどでした。終わってみれば表彰台に上がっているんですから、すごいですよね。
SSTクラスのトップ争いも熾烈だった。#25 Team Étoileと#73 TONE Team 4413 EVA 02 BMWが日が暮れた時間でテールtoノーズで繰り広げていた。
55チームが参戦し、今年もそれぞれのチームにストーリーがありました。秋開催となると言われていた鈴鹿8耐でしたが、来年は7月になりそうというウワサが流れてきました。熱中症アラートが毎日出ていて、外出を控えましょうと言われているんですから、そろそろ真夏は避けていいと思うのですが……。
と言いつつ、今週末(8月23日・24日)は栃木県・モビリティリゾートもてぎで全日本ロードレース第4戦が行われます。確実に残暑が厳しいざんしょ……なのですが、ぜひMotoGP日本グランプリの前に全日本ロードレースを観戦するのはいかがでしょうか? 土曜日は午前中は予選、午後はJSB1000、ST1000、JP250の決勝レースが、日曜日は全4クラスの決勝が見られますよー。
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