
二輪メディア歴50年のベテランライターが、日本におけるバイク黄金時代のアレコレを実体験と共に振り返る昭和郷愁伝。今回は1970年代の日本を駆け抜けた小排気量輸入車について振り返ります。
●文:ヤングマシン編集部(牧田哲朗) ●写真:牧田哲朗/YM Archives
昔の日本で大型輸入車に乗れるのは非常に限られた人だけ
現在の日本では様々な輸入車が当たり前のように走っているけど、昔は世界で1番厳しいとされた認証型式の取得や車検制度という高い壁があり、日本を走る外車&逆輸入車はかなり限られていたんだ。
通常、国産新車の場合にはメーカーが認証型式というのを取得することで簡単に新車登録ができるし、そのままの状態なら車検の継続審査もできた。ところが、外車の場合では必要書類を揃えて車検・登録となる訳だけど、この必要書類ってのが大変だった。なにせ、国から認証を得る型式の変わりになる書類だからね。その審査は非常に厳しく、実質、力のある大手輸入商社ぐらいしか揃えられなかったと記憶している。
当時の商社というとバルコムトレーディングさん、販売代理店では村山モータースさんが有名だったね。ちなみに、国産車の場合はホンダのCB750フォアの登場前後で性能競争がエスカレートしていたため、「国産車上限750cc」というメーカー自主規制が登場。その後は900~1100ccといったフルパワーの海外仕様を日本に逆輪入しても、外車と同様にそう簡単には車検が取れない。まあ、とにかく400cc以上の大型バイクには息苦しい時代があったんだ。
逆輸入されていないカワサキZ1に乗りたくても乗れない’70年代当時、ある知人は大枚をはたいてZ1のエンジンを輸入し、刻印を打ち換えてZ2の車体にスワップしていた(※違法です)。そんなことをしなくてもZ1のパーツをメーカーから引いて、Z2のエンジンに組み直せば安価にできたんだけどね(※これも違法です)。
同じ輸入車でも原付1種&2種なら簡単にナンバーが取れた
これが小さい軽2輪や原付となると話は別。250の輪入車も通関証明とか必要書類はあったけど、自動二輪ほど難しくはなかった。なにせ壁となる車検に適応させる必要はないしね。さらに原付1種/2種の場合には、区市町村が管轄だから、販売証明さえあればナンバーが取れたんだ。
さて、そうなると自動2輪と違って小さな輪入車には色々あったね。特にこういった小中排気量のバイクはイタリアメーカーが乱立していて、1970年代には日本にも色々入ってきていた。当時の日本車では変形ハンドルとして禁止されたプルバックハンドルが標準装備のものもあったし、トップ画像のチマッティの様なセパハンのカフェレーサー的なものもあった。ファンテックのチョッパー125&50なんか、アメリカンとかいう枠じゃなく、完全にカスタムされたチョッパースタイルだったしね。特におしゃれなイタリア車はスタイルが突き抜けていて、国産車とは違った魅力があったんだよ。
冒頭のメイン画像としても登場したチマッティのサイタリオ6/M50は、2スト50ccのイタリアン・カフェレーサーで、ホーンと一体化した角型ライトが自転車チックでいい雰囲気。本誌1975年11月号では表紙も飾っていて、跨っているのは現在もエンスーな女優さんとして活躍する長谷直美さん。とってもかっこいいね。
こちらはイタリアのファンテック・チョッパー。当時は映画「イージーライダー」の影響でチョッバーが世界的に流行ってたけど、日本ではそれっぽいハンドルに変更するだけでも整謂不良ですぐ反貝切符を切られた。でも小型輸入車のファンテック・チョッパーなら大丈夫。2スト単気筒で125ccと50ccがあったんだけど、5.00-16の極太リヤタイヤはハーレー1200FLHと同サイズだったというw。本誌の1976年7月号では125が表紙を飾っている。
イタルジェットのパッカウェイは、折りたたみ式の50ccレジャーバイク。面白いのは傷つけ防止のために、エンジン以外の全属部分が全てゴムでカバーされている点だ。写真は2代目のパック2。日本では成川商会さんの取り扱いでした。
ヤンマシ編集部員が副業でハーレーを輸入販売
時効ネタとして書いちゃうけど、当時アメリカのバイク事情に詳しかったヤングマシン編集部員の1人は、副業としてアメリカからハーレーを仕入れて売っていた。「ん?! 大型の輸入販売は難しいんじゃなかったっけ?!」って思うだろうけど、ハーレーといっても250ccと125ccなんだよ。しかも2ストの単気筒モデル。当時のハーレーはイタリアのアエルマッキを吸収合併して、通称アエルマッキ・ハーレーなる小排気量車も販売していたことがある。ちなみに90ccのキッズ用や250ccの2ストロードレーサーもあったんだ。丁度いまの個人輪入みたいな感じで、バイクを海外から持ってこれたのもこのクラスの魅力だったね。
イタリアのアエルマッキ社を吸収したハーレーが、小型2スト車を色々と出した時代もありました。上の写真はSX175/250ccで2スト単気筒オフロード車。
こちらのX-90は10インチタイヤのキッズ用ながら、4段変速で最高速度は85km/h。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(新型バイク(外国車/輸入車) | 名車/旧車/絶版車)
穏やかでない社名は南北戦争に由来。人種差別の意図はないと断言 1991年、成功を収めた弁護士、マシュー・チェンバースが興したバイクメーカー、コンフェデレート。和訳すると「南軍」を意味する社名は、創業地[…]
今回オイル交換で使用したスーパーゾイルシリーズ ベスパ200ラリーのギヤオイル交換作業開始[…]
都会から地元に帰ったとき、バイクに乗ってみたいと思った 長く付き合う良き相棒を手に入れたい。ハーレーを選ぶ時に、誰もが一度は考えるフレーズでもある。とくに旧車やカスタムバイクを選ぶ動機として、もっとも[…]
2サイクル用エンジンオイルはガソリンと混ざりやすい性能も必要 2サイクルエンジンを搭載したベスパは、“混合ガソリン”仕様として知られている。バイクブームだった1980年代には、数多くのベスパが街中に溢[…]
エンジンコンセプトより適性アライメント優先のイタリアン ドゥカティに代表されるイタリア製スーパースポーツは、不慣れなビギナーには向かない個性的な乗り味のハンドリング…といったイメージがある。たしかに、[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
名車の姿を変えた国内事情。“耕運機ハンドル”誕生の背景 1980年のケルンモーターサイクルショーで公開され、翌1981年に発売されたスズキ「GSX1100S KATANA」。日本刀をイメージしたシャー[…]
勝利のために常識を超えた装備を投入した特別なCB 1980年代初頭、世界のスポーツバイク市場で存在感を高めていたホンダが、持てる技術を惜しみなく注ぎ込んで生み出したのが「CB1100R」だ。その開発思[…]
ベスパとは異なるアプローチを見せた「もう一つの至宝」 現在のクラシックスクーター市場ではベスパが有名ですが、かつてその絶対王者に真っ向から勝負を挑み、世界中のファンを熱狂させたブランドがありました。そ[…]
ナンバー付きからレース専用車まで本格的スポーツ走行と模擬レースが体験できる 各地のサーキットには、ライダーの技量に応じてファミリー走行枠やスポーツ走行枠といったクラスが設けられていることが多い。また主[…]
軽量化への徹底したこだわりが生んだ、革新的なスーパースポーツ 1980年代、国内のバイク市場ではレーサーさながらの外観と高性能を備えた、レーサーレプリカの人気が急速に高まっていた。その流れを牽引する存[…]
人気記事ランキング(全体)
ボタンひとつで車体が自立!力作業を完全に不要にする電動油圧の技術 重い大型バイクやスクーターを停車・駐車する際、車体を支えながらスタンドを立てる作業は、時にライダーにとって大きな身体的負担や精神的スト[…]
名車の姿を変えた国内事情。“耕運機ハンドル”誕生の背景 1980年のケルンモーターサイクルショーで公開され、翌1981年に発売されたスズキ「GSX1100S KATANA」。日本刀をイメージしたシャー[…]
T40より手頃な価格設定を実現したボンネビルファミリーの新たな入門機 トライアンフがインド市場向けに投入した「ボンネビル T4」は、世界的な成功を収める400ccプラットフォームの技術基盤を活用しつつ[…]
配線工事不要で取り付けも簡単! クラファンで大きな注目を集めるドラレコ バイクに乗るうえで、万が一の事故やトラブルに備えて映像を記録しておくことは重要だ。しかし、一般的な車載型のドライブレコーダーでは[…]
ホンダ GB350シリーズ:日常の移動からツーリングまで幅広く対応するロードスポーツ 2021年4月に登場したGB350は、車体およびエンジンを新設計したロードスポーツモデルである。ホンダによれば本シ[…]
最新の投稿記事(全体)
目と鼻の先からの移転オープン ドゥカティ大阪ノースが2026年9月まで店を構えていたのは、新店舗から東へ150メートルほど進んだ場所だ。目の前にある横断歩道を渡るとすぐの場所で、引っ越しは自分たちスタ[…]
【第1位】普通免許で乗れて車検不要! 全天候型電動トライク専門店が名古屋にオープン 普通免許で乗れて車検や車庫証明も不要な全天候型電動トライクの専門店「ビークルファン名古屋BASE」が開設された。ドア[…]
狙うはクラストップの運動性! “RR”の血統を宿す177kgの衝撃 BMWのフラッグシップスーパースポーツ「S 1000 RR」をはじめとする、燦然たる“RR”のレーシングDNAを受け継ぐ新たなミドル[…]
85%共通プラットフォームがもたらす多彩な展開力 ドイツ・ベルリンで産声を上げ、デザインと開発の拠点をイタリア・ミラノに置く新鋭電動モビリティブランド「GR1T(グリット)」。世界最大級のバイク見本市[…]
大盛り上がりだったサーキット試乗会 9月19日に鈴鹿サーキットで開催されたHondaGO BIKE MEETING 2026。 数あるコンテンツの中でも、ひときわ注目を集めていたのがサーキット試乗会で[…]
- 1
- 2






































