手に入れれば、生活のすべてが変わる可能性を秘めている。それがハーレーダビッドソンという乗り物だ。そんな暮らしを満喫中の個性派オーナーたちを、ハーレー専門誌『ウィズハーレー』が全国を渡り歩いてピックアップ。今回は1993年式FXSTCに乗るYさんのハーレーライフを紹介しよう。
●文/写真:ウィズハーレー編集部(森下光紹) ●外部リンク:マイパフォーマンス
都会から地元に帰ったとき、バイクに乗ってみたいと思った
長く付き合う良き相棒を手に入れたい。ハーレーを選ぶ時に、誰もが一度は考えるフレーズでもある。とくに旧車やカスタムバイクを選ぶ動機として、もっとも肝心なキーワードでもあるだろう。
Yさんは、山梨が地元だが、18歳で上京。学生時代から社会人になる過程を東京という大都会で過ごした。
「田舎から出て、ひとり暮らし。都会の生活は刺激的だったから満喫していましたね。でも新型コロナ禍になって、自分の中に大きく変化するものを感じました」
外出もままならず、自由を奪われての都会生活は窮屈なものだった。すると、故郷の自然豊かな環境が、懐かしく恋しく思えてきたという。少女時代は野山を駆け回っていたおてんばだったと笑う。
趣味人で行動的な父親に似て、じっとしていられない性格。では、都会から地元に帰ってどんな趣味を楽しもうかと考えたとき、バイクに乗ってみたいと思ったのだった。
「父にも相談して、ヤマハのSRとかどうかなって聞いたら、キックしかないからやめておけと言うんです」
他にも興味のある車種はあったものの、山梨に帰ってきた家のすぐ先に、なんとハーレーの旧車専門店があったのだ。
「何だろうこのお店って思いながら入ると、素敵なバイクばかりがずらりと並んでいて、スタッフが丁寧に説明してくれました。私にも乗れそうなモデルを一緒に探してくれたり、好みも考えてくれて」
彼女はそこで決断した。いろいろ考えて遠回りするより、本当に乗りたいと思えるモデルをこの店で見つけようと。そして、現在の愛車であるソフテイルカスタムに出会ったのだ。
小柄な身長でも楽々足の付くサドルシート。外装はノーマルの面影がほとんどないボバースタイルで軽量化されているから、押し引きも楽だ。唯一問題だったクラッチ操作の重さも、カスタムパーツで改善できるという。そしてハンドルバーも操作しやすいプルバックタイプに変更してもらえることになった。
納車されたのは2023年の5月。注文してから納車されるまでの間に免許を取得して、さっそく乗り出した。
「私、本物の馬にも乗れるんです。ハーレーは鉄馬って呼ばれるけど、本当ですね。機械だけど動物的な感じがして、似ています。だから違和感なく乗れたのかな。納車から1年はひとりだけで走らないって決めているのでまだまだですけど、今後の夢はいっぱいいっぱいありますね」
バイクツーリングは、ひとりでもグループでも楽しめることにある。釣りやハンティングにも興味があるというから、そんな趣味にもこの相棒はきっと活躍することになるに違いない。
インタビューの後、富士五湖方面へショートツーリングに出かけた。山を駆け上がると紅葉が深まりを見せる季節。彼女は精進湖に向かうワインディングロードも軽快に走って、ほどなく西湖のほとりに足を進めた。もう、初心者という表現は彼女には当てはまらない。この先、素敵な相棒とさまざまな時間を共有していくことだろう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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