レーシングライダー・鶴田竜二選手が代表を務めるトリックスターは、ル・マンやボルドールなどの世界耐久選手権やアジアロードレース選手権など、世界中で活躍している実力派ブランド。またニンジャH2Rなどでの最高速アタックにも精力的に挑んでいる。そんなトリックスターが、「最速じゃないとウチではない!」とZX-25Rでも最速を目指したパーツ開発をスタート。鶴田代表や同社が誇るアジア選手権AP250クラス初代チャンピオン・山本剛大選手の走行データをベースに、人気のイカヅチマフラーをはじめ戦闘力の高さを引き出す。
イカヅチマフラーを筆頭に、実戦に向いたパーツを開発
IKAZUCHIマフラー販売開始!
IKAZUCHI独特のサイレンサーは、円筒状の内部から六角形のエンド部に向かって形状が変化することで排圧をかけつつ流速が上がる構造。ZX-25R用がついに市販化。ロングのほか、ショート管も選べる(17万9300~21万7800円)。なおステンレス仕様は焼き色なしもアリ(17万9300円)。
トリックスターの超フルパワーZX-25R計画:45ps国内仕様と50psインドネシア仕様を実測検証
最強のZX-25Rを求めて、トリックスターがインドネシア仕様を超えるフルパワーカスタム実現に動き出した。まずはその第1段階として両仕様の違いを探り、糸口をつかむ!
ダイノマシンと実走の両面でチェック
パワーアップを狙っていく上で気になるのは、45psの国内仕様に対して50psを発揮するインドネシア仕様の存在。どこでその違いが生まれているのか。トリックスターではインドネシア仕様のパーツを現地から取り寄せ、国内仕様に組み込んで実際に検証。数々の事実が判明した。
パワー測定には、負荷条件など厳密な測定で辛めだが、実際の走行状態と近い結果を出せるトリックスター自慢のダイノマシンを使用。さらにパワーだけでなく、スパ西浦をはじめとしたサーキットで実際に走行を行い、そのフィーリングにおいても検証を行った。
最終的にイカヅチマフラーを組み合わせて、ノーマル国内仕様から約7psのパワーアップに成功。スパ西浦モーターパークではこれまでCBR250RRが出した市販車最速タイムの59秒6を1秒近く上回る58秒7をマークした。
トリックスターでは、今回のテスト結果をベースに、今後フルパワー化キットを開発する予定。最強のZX‐25R計画が本格的にスタートだ!
[TEST-1] 吸気系の違いが大きい!
まず、インドネシア仕様はエアダクト形状が異なっていた。ECUは国内仕様のままでエアダクトを変えてみると、1万4500rpmから上でやや詰まったような印象となる国内仕様に対し、インドネシア仕様ダクトは1万8000rpmまでストレスなく吹け上がり好感触。これだけでも随分と変わる。さらにエアボックス内も異なっていたので、これも変更。パワーグラフでは分からないレベルの差で、低中速は国内仕様の方が出ることとなった。が、実際に走ると加速感や過渡特性がかなり違う。1万rpmを超えて開け待ちの場面、3速ではかったるかったのが前に出ていくようになる。まるで排気量が上がったような感触だ。以上からZX-25Rチューニングの上で、これら吸気系パーツの交換は必須という結論となった。
[TEST-2] ECUだけではそんなに変わらない?
次に国内仕様のECUとインドネシア仕様のECUを比較。吸気ダクトとエアクリーナーボックスはインドネシア仕様のまま国内仕様のSTDマフラーで計測しているデータなので、イカヅチを装着していたテスト1とは比較せずに、純粋にECU同士の比較として見てほしい。この2車では1万4000rpm以上の伸びで明確な違いが生まれ、パワーも約1psアップした。とはいえそれ以下のパワーカーブは、国内仕様もインドネシア仕様もほとんど同一のラインを描いており、データを見た感じは吸気系ほどの差はないように感じる。ところが、走ってみると全体的にベースが嵩上げされた印象で、エンジンもガソリンがきれいに燃えているようなフィーリング。トータルで言うと速い。
[TEST-3] インドネシアECU・吸気系+イカヅチマフラーで、出たぞ7psアップ!
さらにインドネシア仕様の純正マフラーも入手し、ALLインドネシア仕様と国内仕様の差も計測。メーカーの公称値通りに約5psの差が付いた。そしていよいよALLインドネシア仕様にイカヅチマフラーの組み合わせ。さらに全域でパワーアップし、トラクションコントロールが外から聞いていても分かるほど異様に介入するように! それだけパワーが出ている。最終的に2気筒ではありえないくらいタイヤが摩耗した。タイムはALL日本仕様が1分00秒6、ALLインドネシア仕様が59秒2。ALLインドネシア仕様+イカヅチマフラーが58秒7だった。
トリックスターでは、今回の結果をベースにフルパワー化キット開発に取り組む。なお、インドネシア仕様のパーツをそのまま売るわけではない。そもそもECUは入手も困難なうえ、イモビライザー機能などにも影響があるため、フューエルインジェクション制御まわりは独自に開発予定。吸気系まわりもインドネシア仕様を超える性能を発揮するものを作り出し、文字通り”最強のZX-25R”を国内仕様ベースで実現していく。
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
50ps出せるものは出したいじゃないか! 「4気筒車には数字だけでは表せないロマンがある」これが今回の比較テストを担当したヤングマシンメインテスター・丸山浩の持論だ。だがしかし! 数字だって欲しいじゃ[…]
トリックスター:話題作りにも注力するぞ! 2気筒のニンジャ250にも力を入れているトリックスターは、いち早くインドネシアで車両を入手してパーツを鋭意開発中。同社はZX-25Rを2輪業界を盛り上げる起爆[…]
性能からものづくりまですべてに手を抜かない 4気筒らしい澄んだ高回転サウンドを実現しながら、いかにしてパワーアップとノーマル同等の扱いやすさを両立させるか。これがマフラーメーカーの老舗・ビートのZX‐[…]
初期ロットは受注完売! 次回は2月デリバリー カワサキのニンジャZX-10Rで全日本ロードレースに参戦したエヴァンゲリオンレーシングチームや、2018-2019シーズンの世界耐久選手権でチャンピオンと[…]
3番勝負概要:限界テストから普段使いまで、新4気筒250cc・ZX-25Rの真価を炙り出す ついに発売となったニンジャZX-25R。現代に蘇った唯一無二の"直4・250"で、噂どおりクラス最強としてブ[…]
最新の記事
- 今が見頃!一生に一度は絶対に見たい500万本! 曼珠沙華群生地〜巾着田(埼玉県日高市)へ行ってみた
- カワサキ新型モデル「ニンジャ1100SX」登場! 排気量アップで新生、ブレンボ&オーリンズのSEも同時デビュー
- 黒玉虫とグリーンボール! カワサキ「Z650RS」の2025年もモデルが10月1日発売
- カワサキ「ヴェルシス650」新グラフィックで10/1発売! 可動ウインドシールドやトラコン、スマホ接続も装備するミドルツアラー
- 電子制御シフト搭載! クラッチ操作も不要のヤマハ新型「MT-09 Y-AMT」9月30日に発売
- 1
- 2