’65年の創業以来、カスタムパーツメーカーの第一人者であり続けるビート。その裏にはレース活動やマフラー開発で培ったノウハウと、こだわりの姿勢がある。性能からものづくりまですべてに手を抜かない同社が手がけた、カワサキ ニンジャZX-25R用マフラー「ナサート エボリューション タイプII」について掘り下げる。
性能からものづくりまですべてに手を抜かない
4気筒らしい澄んだ高回転サウンドを実現しながら、いかにしてパワーアップとノーマル同等の扱いやすさを両立させるか。これがマフラーメーカーの老舗・ビートのZX‐25R用マフラー「ナサート エボリューション タイプII」のコンセプトだという。
そのキモとなるのがビート独自のサイレンサー構造・パルスコーンだ。サイレンサー内部を複数の部屋に区切って消音する隔壁構造の場合、排気が”壁”にぶつかってバタバタと雑音が出やすい。しかしパルスコーンは排気効率の高いストレート構造を採用しつつ、排気口に向けて徐々に径を絞り込むことで音量も抑制。パワーと雑味のないサウンドを両立できるのだ。
とはいえ、近年のノーマルマフラーはかなり完成度が高く、ZX-25Rも例外ではなかったそうだが、そこは長年のノウハウを持つビート。セッティング不要のポン付けでありながら、ノーマルにある谷や落ち込みをきれいに解消し、さらに8000rpmから上では完全に凌駕してきたのはさすが。特に25R最大の魅力である高回転域では、回転数と速度の上昇がきっちりシンクロしたシャープな加速感(ノーマルはこれがやや希薄)を楽しめるという。
小排気量ゆえの低速の薄さを補うために、エキゾーストパイプはあえて細めのサイズを選択しているのもポイント。ビート自慢の耐熱チタン合金・スーパータイエックスを採用するこのエキパイ、バフがけ後に炙って焼け色を付けているのだが、これらがすべて職人による手作業なのもビートが掲げるこだわりの一例。高品質なものづくりのために、同社が販売する全てのマフラーは「自社設計/自社生産」というポリシーを貫いているのだ。
〈YM編集長テストライド〉この雄叫び! これぞニーゴー直4の音だ
僕は250cc4気筒の全盛期を現役で知る世代。最近もCBR250RR(MC22)とZXR250に触れる機会があり、レブリミット付近のすさまじい絶叫っぷりに改めてシビれたばかり。あの音を知っていると、ノーマルのZX-25Rは少々おとなしく感じてしまう。
でも、それはビートのマフラーですべて解決できることだった。1万4000rpmからレブリミットの1万8000rpmへ向けて突き抜けていく「クワァァーン!」という高周波な雄叫びは、あの時代のニーゴーにも匹敵する超快音! むしろ雑味を濾したような澄んだ音色はMC22やZXRにはないもので、カセットデッキからMDに買い替えた時のよう(たとえが古い!?)。設計が新しいゆえの快感をビート号は味わわせてくれる。
ノーマル同様に6速30km/hから加速できる扱いやすさを持つ一方、1万rpm付近からぐーっと伸び上がっていくフィーリングはノーマルにはないもので、1psアップという数値以上に体感的には別モノ。この出力特性と例の澄み切った音が相まって、高回転をキープして走らせるのは涙が出そうなほど気持ちいい。オートブリッパーが1万8000rpmめがけて作動したときの音なんて、そりゃあもう…。
マフラー以外に、ステップやラジエターガードも展開
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