さまざまなモノやコトでグローバル化が求められる昨今、“ガラパゴス化”というとネガティブなイメージが先行しがちだが、日本市場で独自に進化/発展することで揺るぎない文化や個性が確立することもある。バイク界でいうなら、400cc4気筒ネイキッドモデルが最たる存在と言えるだろう。CB400F/XJR400/GSX400インパルスなどが、各メーカーの代表格とも言える。グローバル化の前に風前の灯火となった日本独自のバイク文化を、レッドバロンの譲渡車検車両ラインナップから振り返る。
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:レッドバロン
20世紀末の400ccネイキッド、ガラパゴスと言うなかれ
’80年代中盤以降のレーサーレプリカブームに対するカウンターパンチのように巻き起こった、ネイキッド旋風。きっかけは1989年に登場したカワサキゼファーで、丸型ヘッドライト/パイプハンドル/スチール製ダブルクレードルフレーム、そして400cc4気筒エンジンが定番スタイルとなった。
世界に類のない独自のスタイルが成立したのは、当時の日本がバイク大国だったから。現在ではアジア圏を筆頭に諸外国のマーケット規模は我が国をはるかに上回り、高コスト型のニューモデルも姿を消しつつある。20世紀末の400ccネイキッドは、バイク界のガラパゴス化の象徴なのかもしれない。
だが、スマホに取って代わられたガラケーと違って、あの頃のバイクには今でも通用する魅力がある。むしろ、各部に贅を尽くした往時のネイキッドの方が、400ccクラスでは現行モデルよりステータスは上かも知れない。
製造から20年以上を経過して、メンテナンス面でもパーツ面でも不安を感じることもある絶版車だが、全国306店舗(2022年10月現在)を展開するレッドバロンの場合、品質の高さと安心保証の「譲渡車検」をクリアした販売車両が数多くある。あの頃のネイキッドの魅力とは何だったのか? それを再確認するために、レッドバロンのショールームを訪ねた。
’98 ホンダCB400スーパーフォア バージョンS:ブレンボキャリパーを標準装備したホンダ50周年記念限定モデル
ゼファー登場と同年の1989年にCB-1をリリースしていたホンダが、さらにオーソドックスなスタイルのCB400スーパーフォアを発売したのが1992年。同時期にリリースされたレーサーレプリカのCBR400RRと比べると何もかもが“普通”だったが、その普通さが最大の武器となり大ベストセラーに。キャブレター仕様は2006年まで続いた。このバージョンSは、本田技研設立50周年を記念した500台限定モデル。
’97 ホンダCB400フォア:4本マフラーでCB750フォアへのオマージュを鮮明にした新ヨンフォア
車名から現代版CB400フォアかと思いきや、4本出しマフラーがそうであるように、メーカー資料でもCB750フォアをモチーフにしているという、1997年登場のCB400フォア。スーパーフォアがスポーツ志向を高めるなか、ノスタルジックなロードスポーツにこだわり、ドロドロと迫力のあるサウンドを奏でる4本独立マフラーや、SFベースのエンジンながらミッションを5速化するなど、徹底したこだわりを見せつけた。
’06 ヤマハXJR400R:スポーツ性を前面に押し出したXJR。熟成が進んだ4気筒ネイキッド最終モデル
ホンダCB400スーパーフォア登場の翌年=1993年にデビューしたのがヤマハXJR400。ゼファーがGPZ400F系空冷2バルブエンジンをベースにしたのに対して、XJRは空冷16バルブエンジンを完全新設計した上で、当初から高いスポーツ性をアピール。これに対抗するようにカワサキは、1996年に新設計16バルブのゼファーχをリリースしている。2001年にフルモデルチェンジを行い、2007年発売モデルが最終となった。
’95 スズキGSX400インパルス:バンディット/カタナと異なるアプローチでオーソドックスなネイキッドスタイルを体現
1981年の初代/1986年の2代目の後に「インパルス」の名称が登場したのは1994年。同時期のバンディットやカタナ400に比べて落ち着いた雰囲気で、これで4メーカーの400ネイキッドが揃い踏みとなった。カタナベースの水冷16バルブエンジンはNK4レースでも好成績を残し、いったん販売終了となったものの2004年にインパルス400 として再登場。2008年に最終モデルとなるスペシャルエディションが発表された。
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