〈電気系メンテ〉ハンダ付け/ギボシ/結線/コネクター…。仕上がりを左右する”配線いじり”テクニック

クリップ付きスタンド拡大鏡|デイトナ

バイクや車の電気系統によく使われている、着脱できるギボシ端子やカプラーに対して、恒久的に配線をつなぎ合わせる”結線”では、簡単に外れないように仕上げることが重要。ハンダ付けはもっとも基本的なテクニックだが、芯線の結び方で仕上がりが変わる!!


●写真/文:モトメカニック編集部 ●外部リンク:デイトナ

様々な”結線”、その基本はハンダ付け

芯線をこよってハンダを流すだけで恒久的に結線できるハンダ付け。子どもの頃にモーターに配線を繋いだり、トランジスタラジオを製作したことがあるベテランサンデーメカニックにとって、ハンダ付けは身近な工作だったはず。今や100円ショップでもハンダやハンダゴテが販売されていて、アクセサリー製作やDIYで活用する女性も多い。

電源とアクセサリーを接続したり、配線の長さを変更する際に、左右から配線を向かい合わせで結線することがある。この際、最終的にはハンダを使うものの、芯線同士の繋ぎ方が仕上がりを左右する。

たとえば、複数の配線をハーネスチューブに収めたハンドルスイッチ配線を短縮する作業では、各配線の切断位置を変えて結線位置をずらすことで、束にした配線がスリムに仕上がる。また芯線を繋ぐ際も、被覆より太くならないようにまとめてからハンダを流すことで、熱収縮チューブが盛り上がるのを避けられる。

結線の基本はハンダ付けだが、それ以外にも便利なアイテムがあるので、作業環境や内容に応じて使い分けるのが良いだろう。

ハンダゴテは電気工作用なら30~40W、サビ穴の空いたガソリンタンクにパッチを貼ったり鈑金工作を行うなら100~200Wクラスを使い分ける。大容量のコテは加温も早いが、余熱で配線の被覆が溶けたり半導体部品を破壊することもあるので、バイクの電気いじりで多用しすぎないように。

突き合わせ部分をハンダ固定

配線や部品をクリップで掴んで突き合わせられる商品はネット上で数多く販売されている。ここではクリップやルーペに加えて、ハンダゴテ台とコテ先清掃用のスポンジまで一体化された製品を紹介する。

クリップ付きスタンド拡大鏡 ●価格︙1000~2000円

配線を突き合わせる際は、芯線をスリムに繋ぐのがポイントで、芯線の両側を折り曲げて引っ掛けてねじると、引っ張り強度を確保しつつ太らずまとめられる。”温めた母材にハンダを流し込む”のがハンダ付けの基本で、コテ先で加温された芯線にハンダを当てて溶け込むのが理想的。

芯線が十分に加熱されていれば、溶けたハンダは毛細管現象で浸透してしっかり結線される。ただし加熱しすぎると、被覆の端部がブヨブヨに変質してしまうことがあるので要注意。

ハンダ付け前に配線に通しておいた熱収縮チューブをヒートガンで加熱すれば、強力な絶縁被覆となる。

分岐端子「スプライス」を使おう

「スプライス」と呼ばれることもある配線分岐端子は、ギボシ端子のかしめ部分だけを取り外したようなU字形の金具。

【デイトナ 配線分岐端子】●価格:330円

配線分岐端子を使う時も、芯線同士をねじり合わせておく。1本の配線を分岐する際は、既存線の被覆を切開して芯線を露出させ、新たに繋ぐ配線の芯線を巻き付ける。

端子の両端がねじった芯線に食い込むように電工ペンチでかしめることで、引っ張っても外れない強度を得られる。

ハンダ付けと同様に、熱収縮チューブで絶縁処理を行う。

熱の影響が懸念されるためハンダゴテが使いにくい/既存の配線から別の配線を分岐したい時に重宝する、配線分岐端子。

ハンダで固定する収縮チューブ

ヒートガンや携帯トーチで透明の収縮チューブを加熱することで、中央に配置されたリング状のハンダが溶けて結線できるアイテム。

【デイトナ ハンダ熱収縮チューブ】白リングはφ1.7mm(収縮後内径約φ0.9mm)、赤リングはφ2.7mm(同φ1.4mm)、青リングはφ4.7mm(同φ2.4mm)。●価格:385~550円

結合する前にチューブを通して芯線をねじり合わせて、その部分にハンダリングを被せる。

チューブを加熱(ヒートガン推奨)すると、約138度でハンダが溶解する。

透明チューブにより、絶縁と防水を両立。

コンパクトな110型カプラコネクター

’70年代中頃以降から、メーカー純正仕様として使われ始めた110 型コネクターセット。メインハーネスの修理や自作時に、このコネクターセットがあると仕上がりが良くなる。配線カシメには、圧着電工ペンチを利用しよう。

【デイトナ コネクターセット110型 2/3/4/6/9極●価格:363~660円

こちらが元祖サイズの250型ギボシコネクター

一般的に「平端子の大きな方」などと呼ばれているのが、250型サイズ。エンジンから立ち上がったハーネスとメインハーネスの接続部などには、このサイズ平端子+コネクターが採用される例が多い。端子の取り外しも簡単だ。

【デイトナ コネクターセット250型 2/3/4/6極 ●価格:330~627円

ブレーキスイッチまわりの改造時に便利な平型端子

250型平端子のように見えるが、微妙に寸法が異なり、コネクターに引っ掛ける折り返しが付かない端子。ブレーキスイッチから自作電源を取り出したりするような、配線の改造時にあると便利な端子セットだ。

【デイトナ 平型端子セット(ブレーキスイッチ端子用)187型 5個セット●価格:660円

ボルト締め付けアースなどワンタッチで取り付け可能なクワ型端子

ボルトナットの締め付け時に便利なクワ型端子には、圧着電工ペンチでカシメられるハンドツール型と、プロ用カシメ機器が必要なLEタイプがある。アースをまとめて車体にボルト固定する時にも便利に使える。

【デイトナ 各種クワ型端子セット Φ6/8 LEとハンドツールタイプ 各5個セット ●価格:385~440円

メーカー純正色の配線と合わせて自作ハーネスを作れる!!

メインハーネスに使われる配線サイズは一般的にAVS0.75サイズ。このサイズはマルチカラーも豊富だが、電源用の太目や細い0.5サイズは赤/緑/黒の3色。色の使い分けはメーカーによって異なるので、配線色を理解して結線を楽しもう!!

【デイトナ 純正色ハーネス】1m/2m AVS0.75/1.25/2.0/0.5 ●価格:各330~407円


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