1月にインドで試乗してきたロイヤルエンフィールドのスーパーメテオ650がいよいよ日本で発売されることになった。東京モーターサイクルショーで初めてお披露目され、気になっていた方も多いはず! 箱根周辺を走り回ってきた。
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ロイヤルエンフィールド東京ショールーム
ロイヤルエンフィールドが放つ、本格クルーザー
インドで試乗したスーパーメテオ650の手応えはとても良かった。クルーザースタイルにも関わらずハンドリングを作り込んでいたし、今となっては希少な空冷の並列2気筒エンジンを名門ハリスフレームに搭載した車体は、とてもバランスが良く、ロイヤルエンフィールドならではの世界観を見せてくれた。
そのスーパーメテオ650が待望の上陸。僕は高速道路をしっかり走りたかったので、自走で東京から御殿場に向かうことにした。数日間付き合って見ると、同じエンジンを搭載するコンチネンタルGT650やINT650よりも、取り回しなどでは若干重さや大きさを感じる。しかし、これは良い意味で捉えれば存在感や重厚感であり、クルーザーらしさとも言えるだろう。
そのクルーザーらしさは、エンジンを低い位置に搭載するためとロー&ロングなスタイリングを実現する専用フレームと、フロント19インチ/リヤ16インチのホイールサイズが生み出すもの。良いのは、アメリカ製の巨大クルーザーのように身構える必要がないことだ。
ポジションは650ccのバイクにしては大柄。そしてフォワードステップは思いのほか前にあるものの、身長165cmの僕でもなんとか許容範囲。市街地では重厚感があるものの、交差点や狭い路地でも扱いやすい。スロットルを開けるとエンジンの鼓動感が身体に染み込んでいく。クルーザーというキャラクターやリヤの16インチタイヤに合わせるため、ギヤ比はコンチネンタルGT650やINT650よりもローギヤード化。エアボックスも拡大するなど、細部までスーパーメテオ650に合わせて作り込んでいる。
市街地では高いギヤ/低い回転で走ることができ、常用回転域はとても広い。ある程度速度が乗ってしまえば、4速や5速ホールドのままでも走れるシーンがとても多かった。
ストレスのない高速クルージングを披露
市街地をストレスなく抜け、高速道路に入る。合流ではエンジンを少し高回転まで引っ張ってみる。この時の後輪が路面を掴む感覚も心地よく、気持ち良さだけでなくパワー感も十分。100km/h区間はもちろん、120km/h区間も余力がある。スタンダードとツアラーの両方で高速道路を走ったが、さすがに高速道路ではツアラーが楽。ツアラーはシールドの効果をすぐに体感でき、身体に当たる風は少なく、疲労感も少ない。長距離&タンデムが多いなら、迷わずツアラーがオススメだ。
スピードが出ているシチュエーションでも、エンジンのトルク感/スロットルを開けた際のレスポンスはとても良い。ギヤを6速から4速に落としてスロットル全開で加速すると、心地良かったエンジンは素早く刻まれるビート感を伴いながら、スーパーメテオ650をどこまでも加速させる。5速にシフトアップしても力強さはそのままだ。
その時の直進安定性も良く、ここでは241kgの車重やホイールベースの長さも貢献。しっかりと減衰力を発揮させるサスペンションやハリスフレームがとても良い乗り心地を提供してくれる。ちなみに今回は2日間で500kmほど走行したが、お尻が痛くなることもなかった。
ツーリング先のワインデインングが待ち遠しくなる1台
今回はワインディングを走るのも楽しみだった。インドでも多少コーナリングを走り、手応えはあったのだが、道路に砂が浮いていたり、穴が空いていたりして心から満足のいく走りができなかったのだ。さっそく走り慣れたワインデインングに突入すると、スーパーメテオ650は苦手なコーナーが見つからないほど、元気な振る舞いを見せてくれる。
「スーパーメテオ650は、スタイリングはクルーザーですが、長距離を移動するだけのバイクではありません。コーナリングも楽しめるダイナミッククルーザーなんです」 そんなロイヤルエンフィールドの開発陣の声を思い出す。前後サスペンション/タイヤ/シャーシは、まるでコーナリングのために設定されたのではないかと思うほど、スポーツライディングが楽しい。
それは思わずペースを上げたい気持ちになるほどで、クルーザーのわりにはバンク角も深く、立ち上がりでスロットルを開けた際の後輪のグリップ感もとても良い。そしてその時のスーパーメテオ650の楽しそうな振る舞いといったらない。車体もエンジンもとても元気で活気に溢れているのだ。
走るほどにスーパーメテオ650との一体感が強まる。空冷648ccエンジンの息吹や、ハリスフレームのレスポンスの良さ、大らかなポジョンが完璧にバランスする。世の中には、ハンドリングを考慮していなかったり、バンク角がなくてワインディングが苦痛のクルーザーもある。しかし、スーパーメテオ650は違う。ハンドリングを磨き込み、コーナーをクリアするたびに嬉しい驚きが訪れる。
ステップのバンクセンサーを擦って「はっ」とするが、そこで走りの組み立てを変えてみる。きちんと向きを変えて旋回時間は短めに、すぐにスロットルを開けてサスペンションを伸ばしてバンク角を稼ぐ。ベテランはそんなチャレンジをしてみるのも面白いだろう。
レブルやメテオ350などすでにクルーザーを経験している方で気になっている方も多いはず。そんなクルーザーで育った世代にもぴったりのような気がするし、ありそうでなかったミドルクルーザーとしてもかなり面白いパッケージに仕上がっている。欧米でなく欧州イメージというのも、多くのライダーのライフスタイルにフィットしそうだ。
東京都杉並区にあるロイヤルエンフィールド東京ショールームでは試乗も可能(もちろん無料)。ロイヤルエンフィールドが提案するダイナミッククルーザーの世界観を体感してみてはいかがだろう。
日本では2モデル/5カラーバリエーションの展開
ロイヤルエンフィールドは、全車豊富なカラーバリエーションが魅力。スーパーメテオ650のスタンダードは3種類、シーシーバー付きシートと大型スクリーンを装備するツアラーは2種類のバリエーションが用意されている。
【ROYAL ENFIELD Super METEOR 650/Super METEOR 650 Tourer】主要諸元■全長2260 全幅890(ミラー除く) 全高1155 軸距1500 シート高740(各mm) 車重241kg(装備) ■空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ 648cc 47ps/7250rpm 5.33kg-m/5650rpm 変速機6段 燃料タンク容量15.7L ■タイヤサイズF=100/90-19 R=150/80 B 16
スタンダードのアストラルブルーとブラックは97万9000円
スタンダードのインターステラグリーンは99万8800円
ツアラーは2色展開で103万9500円
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
インドで開催されたスーパーメテオ650の試乗会に参加! EICMA2022でロイヤルエンフィールドが発表したスーパーメテオ650の試乗会に参加するため、人生2回目のインドにやってきた。デリーからジャイ[…]
市街地を散策しながら、そのポジションと鼓動を楽しむ まだ眠っている早朝の都内は、とても静かだった。日の出が早くなるこの季節、朝に乗るバイクがとても気持ち良い。コンチネンタルGT650のセパレートハンド[…]
9種類ものバリエーションから好みで選べる ついにクラシック350が発売になった。ついに、と書いたのはその期待値がとても高かったから。ロイヤルエンフィールドは2021年に同系列のエンジンを搭載するメテオ[…]
ロイヤルエンフィールドは空冷パラレルツインを熟成させ続ける 深緑の隙間からINT650に光が降り注ぐ。メッキパーツはキラキラと輝き、アルミ地肌のクランクケースカバーやエンジンのフィンは優しい輝きを放つ[…]
ハンター350やスーパーメテオ650も展示 2022年、東京浅草にオープンにしたカフェ「ORTIGA(オルティガ)」は、カリフォルニアにある砂漠のリゾートをコンセプトに、古い倉庫をリノベーションした空[…]
最新の関連記事(ロイヤルエンフィールド)
モーターサイクルショーで初公開されたINT 650 ロイヤルエンフィールド製品を輸入・販売するピーシーアイは、マイナーチェンジしたINT 650(アイエヌティー・ロクゴーマル)を2024年4月18日に[…]
クラシック350よりもモーターサイクルらしい醍醐味がある! JAIA(日本自動車輸入組合)による試乗会が4月上旬に開催された。いわば外国車イッキ乗りのようなイベントで、プレス向けに年1回行われている。[…]
近代化と90年の歴史、その絶妙ミックス! ROYAL ENFIELD Bullet350 「それは特徴的なタイガーアイ(=ポジション灯)や、ライダーが上半身を直立させ、胸を張って乗れるライディングポジ[…]
“ピュアモーターサイクリング”の原点 1891年に実業家ボブ・ウォーカーとアルバート・エディがレディッチ・ハントエンドのジョージ・タウンゼント社を購入し、1893年に社名をエンフィールド・マニュファク[…]
ロイヤルエンフィールド初の水冷エンジン「シェルパ 450」を搭載 ロイヤルエンフィールドにとって、ヒマラヤ山脈は精神的な故郷であり、いつも創造的なインスピレーションを与えてきた大切な存在。初代ヒマラヤ[…]
最新の関連記事(新型クルーザー)
こんにちは、マットです!! 今回はアメリカ最古のモーターサイクルメーカーで有名なインディアンモーターサイクルのクルーザーモデルである新型スポーツチーフに試乗してきました!! 排気量1890cc!!ど迫[…]
トルクが凄ぇ! でも意外なほど普通に走る 2294ccの直列3気筒エンジンを搭載した初代ロケットIII(現在はロケット3)を初めて目の前にしたとき、こんな大きなバイクをまともに走らせられるんだろうかと[…]
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
おもちゃ感溢れる‘60sレーサー風:ONE-JOY125 ホンダ モンキー125より小ぶりな車体に、ホンダRC166に代表される’60年代のロードレーサー風のデザインをまとわせた一台。シングルシートに[…]
パワー&トルクアップ、新型アルミホイール採用 量産車で世界最大となる2457cc直列3気筒エンジンを搭載するモンスターマシン・ロケット3シリーズがモデルチェンジ。車名には『STORM=嵐』の名が追加さ[…]
人気記事ランキング(全体)
330円の万能ソケット買ったので試してみたい いつ頃からだろうか?100円ショップが100円だけではなくなってしまったのは。工具のコーナーも例外ではなく、100円、200円、500円、ものによっては1[…]
↓メインビジュアルのALT設定をお願いします(枠をクリック→右サイドメニューのブロックタブで設定) 126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccク[…]
※2024年3月にWEBヤングマシンで大きな反響を呼んだ記事をあらためて紹介します。こちらは第4位の記事です(初公開日:2024年3月8日)。 車名が「セロー」になるかは不明だが、セロー的なものになる[…]
↓メインビジュアルのALT設定をお願いします(枠をクリック→右サイドメニューのブロックタブで設定) 燃料タンクは残し、カポッと被せて着せ替え完了! 車名の“エフモン”とは「CB-Fみたいなモンキー」の[…]
――はじめに、津久井高校の県内の位置付けや特色を教えてください。 熊坂:県立高校に移管される前も含めると、明治35年に始まった学校なので120年を超える歴史があります。全日制と夜間定時制の2課程ありま[…]
最新の投稿記事(全体)
↓メインビジュアルのALT設定をお願いします(枠をクリック→右サイドメニューのブロックタブで設定) 盗難されたナンバープレートは犯罪目的に使われる可能性も!? 警視庁のデータによれば、バイクやクルマの[…]
↓メインビジュアルのALT設定をお願いします(枠をクリック→右サイドメニューのブロックタブで設定) 125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~5[…]
排気量は“エンジンが1回に吸気できる容量”のこと 車検があるとかないとか、あるいは運転免許でもバイクのエンジンの大きさで制限など、さまざまに区分されているのは、ご存じのとおり。 そのエンジンの大きさを[…]
長いガラス繊維をシート状に編み込むことで飛散を防ぐ ガラス繊維を重ね合わせたグラスウールは、吸音性が高いものの、経年変化で繊維が飛散すると消音性能が低下するため、定期的なウール交換が必要。また一般的な[…]
↓メインビジュアルのALT設定をお願いします(枠をクリック→右サイドメニューのブロックタブで設定) 126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccク[…]
- 1
- 2